2020年11月27日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


米国のパンデミック対応と大規模核戦争
 
Lynn Eden

(要旨)
 本論文は、米国に焦点をあて、「パンデミック」のように極めてまれに起こる「惨事」を把握、防止、準備して、その害を緩和させるか、という計画立案と、大規模な「核戦争」に勝ち残るための計画立案が、いかに異なるかについて検討したものである。パンデミックへの対策を準備し、暗にその実行を示唆することは意味があるといえる。しかし、核戦争計画は、その計画が実行されないときにのみ、意味があるといえるのだ。
 この両方の計画において、多くの犠牲者が予想される。しかし、その規模はけた違いとなる。防止策や緩和策、という言葉は共通であっても、パンデミックの可能性は我々の知識と社会・政治的行動に大きく依存している。一方、核戦争を戦い、そして「勝ち残る」ための「実行可能な」詳細計画を構築する理由は、敵国に対し、「敵国」が自分たちや同盟国を攻撃しないと脅かすためなのである。パンデミックに対しては、脅かすことにより、攻撃を抑止することはできない。しかし、敵国を壊滅させるとの想定で作られた核戦争計画が敵国の攻撃を抑止できないと、その計画は想像もできない全人類の破滅につながることが確実なのである。
 トランプ政権が、パンデミックに対して準備ができていなかったことは不可解である。米国の核戦争計画を構築している人たちが、自分たちが何を計画しているのかを理解して行動していることも不可解である。本論文はこの両方を検討している。

キーワード: パンデミック、シナリオ、政府組織、米国の核戦争計画、立案者、結果、測定、感情の排除、ユーモア

著者紹介: リン・エデン博士は、米ミシガン大学で社会学博士号を取得、現在は米スタンフォード大学名誉研究員。主な研究分野は、社会学、歴史学、政治学の接点についての研究である。過去、ほとんどの研究歴は、スタンフォード大学フリーマン・スポルギ国際研究所国際安全保障と協力研究センター(CISAC)で過ごしてきた。CISACでは長い間副センター長を勤めた。その前には、カーネギーメロン大学の歴史学科で教鞭をとっていた。主に、狭いコミュニティの人々がどのように計画・行動し、他の人々に害を与えるかについて多くの論文を執筆してきた。最初の著作は「ウォータータウンにおける危機」で、全米図書賞の最終候補に選出されている。また、KKK(Ku Klux Klan)による、ミシシッピー州シュヴェルナー、チェイニー、グッドマン公民権運動殺人事件についても論文を執筆している。ほとんどの著作は、米国政治、核軍備管理、そして米国の外交・軍事政策に係るものである。「全世界が攻撃対象:組織、知識、核兵器のもたらす壊滅」は、科学技術に関する研究図書として、2004年のロバート・K・マートン最優秀作品賞を受賞している。歴史資料と個別インタビューをもとに、エデン氏は現在、核戦争に勝ち残るために、いかに倫理観の高い米国軍人が核戦争の運用計画を修正し、構築していくかについて、組織の日常作業や抑止論、冗談やユーモアを交えて執筆中である。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

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2020年11月26日

オンライン配信の不具合に関するお詫び

 このたびは、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)主催による被爆75年記念特別シンポジウム「平和・軍縮教育の新たな展開~核兵器禁止条約の時代を見据えて」(11月25日)にご参加いただき誠にありがとうございました。

 今回のZoom配信につきましては、冒頭の配信開始が遅れましたことに加え、日本語の音声が20分ほどにわたって配信されないというトラブルが発生いたしました。原因については現在調査をしているところですが、ご不便をおかけし大変心苦しく感じております。主催者を代表して深くお詫びいたします。      

RECNAセンター長 吉田文彦  

 

Category お知らせ
2020年11月4日

【被爆75年記念特別シンポジウム】平和・軍縮教育の新たな展開~核兵器禁止条約の時代を見据えて(11月25日)開催のお知らせ

チラシ (PDF版) 間もなく発効する「核兵器禁止条約」は、軍縮教育の重要性を明記しました。「被爆者のいない時代」を前に、今求められる教育とは何か。研究者、実践者、関心ある市民とともに、新たな時代における平和・軍縮教育を構想します。

 日時: 2020年11月25日 (水) 18:00~20:15
 ※ 17:00 に開場
 会場: NBCビデオホール( NBC別館 3階)
 ※ 日英同時通訳付き

 1. 特別講演
「戦争の由来と人類の未来」
 講師: 山極 壽一 第26代京都大学総長

 2. パネル討論(以下の参加者のうち * はオンラインでの参加となります)
「新たな時代の平和・軍縮教育」
モデレーター:
西村 幹子* 国際基督教大学(ICU) 教授
パネリスト:
バレール・マンテルス* 国連軍縮局(UNODA) ウィーン事務局長
笹尾 敏明* 国際基督教大学平和研究所(ICU-PRI) 所長
イ・キホ* 韓信大学校(韓国)平和と公共性センター長
中村 桂子 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) 准教授

 ★ 会場は事前登録不要で入場無料です。(定員:140名程度)
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、会場への入場人数を制限させていただきます。定員により当日の参加をお断りさせていただく場合がございますので予めご了承ください。
※ 専用駐車場はありませんので、公共交通機関等をご利用ください。

 ★ ご来場予定の皆さまへ:新型コロナウイルス感染拡大防止にご協力願います。
※ 開場は17時です。入口で密となるのを避けるため、時間に余裕をもってお越しください。
※ 受付で検温を行います。受付時に高熱(37.5度以上)又は風邪の症状がある方は、ご入場をお断りさせていただく場合があります。また、発熱・咳・倦怠感・体調不良などの自覚症状がある方はご来場をご遠慮ください。
※ 感染拡大防止のため、必ずマスクの着用をお願いします。
※ 氏名と緊急連絡先のご記載及びご提出をお願いします。
※ 来場前に新型コロナウイルス接触確認無料アプリ「COCOA」のインストールを推奨します。

 本シンポジウムでは、会場においでいただけない方々のために、ビデオ会議ツール「Zoom」を使って、オンラインによるライブ配信も行います。

 ★ Zoomでの視聴には事前登録が必要です。
事前登録は こちら からお願いします。〔 締め切り: 11月23日(月)〕

 オンラインによるライブ配信を視聴するためのURLは後日お送りしますので、届いていない場合は、お問い合せ先(Email: recna_staff@ml.nagasaki-u.ac.jp)へご連絡ください。

 主催: 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
 協力: 国際基督教大学平和研究所(ICU-PRI)

 

2020年10月30日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


核兵器近代化計画の評価
 
Petr Topychkanov

(要旨)
 本論文は、最近核保有国で下された、軍事計画における核兵器の役割を増加させる決定について評価したものである。その決定は、安全保障戦略においてより顕著になった核兵器の存在を反映したものである。これは、冷戦直後、核兵器の役割を相対的に縮小させようとした動きに逆行するものである。核保有国の政治・軍事指導者たちは、核兵器の役割を核兵器の攻撃に対してのみに限定する「唯一の目的」という考え方から離れようとしているのだ。その代わりに、通常兵器による攻撃、さらにはサイバー攻撃に対しても核兵器の役割を強調し始めた。これは核兵器使用の「敷居」を下げることであり、その動きは核軍備管理の停滞の動きと連動している。同時に、ロシアと米国・北大西洋条約機構(NATO)、さらには米国と中国の不信感も増加している。

キーワード: 核兵器、核理論、先制不使用、核抑止、核兵器近代化、軍備管理

著者紹介: P. トピチュカノフ博士は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の核軍縮・軍備管理と核不拡散プログラムの上席研究員。主に、核不拡散、核軍縮、軍備管理、先端技術が核戦略安定性にもたらす影響などについて研究。2018年にSIPRIに参加するまでは、ロシア科学アカデミーの世界経済国際関係に関するプリマコフ国家研究所の国際安全保障センター上席研究員を務めた。2006年から17年までは、カーネギーモスクワセンターの核不拡散プログラム・フェロー。モスクワ国立大学アジア・アフリカ研究所で2009年に歴史博士号取得。最新論文には「AIがもたらす戦略的安定性と核リスクへの影響:南アジアの視点から」(SIPRI, 2020、共編著)がある。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

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COVIDワクチンへの公平なアクセス:研究と生産能力における協力が不可欠
 
David G Legge and Sun Kim

(要旨)

COVID-19パンデミックは、家族やコミュニティを破壊し、社会・経済活動を混乱させた。世界全体で100万人以上の方が亡くなり、多くの人が苦しんでいる。SARS-2コロナウィルスに対して効力があり安価なワクチンが入手できれば、パンデミックがもたらした混乱から早期に脱することができる。

パンデミック初期から、世界保健機関(WHO)事務局長は、地球規模で対応するには「連帯」が不可欠だと強調していた。当初は、ウィルスのゲノム配列情報の公表や、核酸試験の手順などで「連帯」が示されていた。しかし、ワクチン開発や製造を加速させるために技術を共有しようという提案は、薬品業界や政府には受け入れられなかった。WHOが提案した「連帯したワクチン治験」は、ワクチンの効力、安全性、価格に有効な比較情報をもたらすはずだったが、薬品業界によりボイコットされた。

3月末になると、COVID対応の地球規模協力にむけての交渉は、WHOからG20諸国がスポンサーとなった「COVIDツールアクセラレーターへのアクセス(ACT-A)」に移った。これは、診断・治療法・ワクチン開発・生産及び平等なアクセスを促進する地球規模の政府と民間の協力イニシャティブである。ACT-Aの「ワクチン部門」では、複数の選ばれたワクチン候補について、前もって参加国が共同購入契約を行う「コーバックス(Covax)・ファシリティー」が形成された。「Covax」はさらに、低所得諸国への供給を促進する募金活動も行うよう企画されていた。また、参加国において、優先順位の高い人たち(最大20%)にワクチンが配布されることも計画され、その後に、オープンな市場において、二国間取引を行うことになっていた。

しかし、7月になると、特に米国・英国・EUによる「二国間購入契約」が大量に進み、初期の有効なワクチンがそれらの国の在庫に回ることが明らかになった。これは、Covaxの募金活動を無駄にする動きであった。

この「ワクチン・ナショナリズム」は、技術の共有化を拒否し、Covaxの資金不足・供給不足をもたらし、ワクチンへのアクセスを不公平なものへと変えてしまった。特に1年目への影響が大きかった。

医療への公正なアクセスについては、過去20年間真剣に検討がなされてきた。さらに、多国籍薬品企業のビジネスモデルの分析や、普遍的な医療保険制度UHCへの需要が高まっていることなどから、私たちは「COVID-19におけるより公平なワクチン配布のための政策プラットフォーム」を提案した。その重要な要素は以下のようなものである。
・Covaxにおける譲歩的部分への全面的資金供与
・低・中所得諸国(L&MICs)においては、地元での生産を急速に拡大する
・知的所有権や技術ノウハウの共有化を義務付けるTRIPS合意(Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)における「放棄条項」を即座に適用することで、ワクチン開発と製造に必要な知的所有権やノウハウへのアクセスを確保する
・ワクチン開発と生産における重要な部分の完全な透明性を確保する
・深刻な負債を抱えている低・中所得諸国の返済を一時停止する

今後のパンデミックに対応するためにも、より公平で有効な対応策を実施する政策イニシャティブが今こそ必要である。その重要な項目とは:
・低・中所得諸国における公的部門の革新と生産能力の拡大
・バイオ医薬品技術移転と国の能力育成に関する地域・多国間の合意
・将来のパンデミック危機への対応できるような技術共有に関するTRIPS合意の改革
・パンデミック危機に際して、WHOに技術共有化や治験効果の比較(「連帯した治験」)を義務付ける権限の供与とそれを可能にする国際規制IHRの改革
・薬品の研究開発活動と薬品研究開発に関する国際条約交渉の分離を促進

このプラットフォームの実行と進展のために重要な事項は:
・TRIPS合意の柔軟性を最大限活用できるよう、また研究開発のための公的資金(許認可の公開)や民間薬品企業の研究開発資金の透明性を確保するために、各国での法制度等の改革
・低・中所得諸国の意見を反映できるよう、国連やWHOといった国際機関における議論の場を確保すること、その結果制度改革へのリーダーシップが示されること。
・普遍的な(単一支払者)健康保険(UHC)へのコミュニティ運動を進め、安価で効果のある治療薬とワクチンへの平等なアクセスを保証すること
 

キーワード: COVID-19、COVIDツールアクセラレーターへのアクセス(ACT-A)、コーバックス(Covax)、ワクチン、ワクチン開発、ワクチン生産、公平性、アクセス、TRIPS合意、許認可の義務付け、連帯治験、普遍的な保険制度(UHC)、製薬業界、Covid テクノロジーアクセスプール(C-TAP)
 

著者紹介

デビッド・レゲー博士(医学)は、豪州ラ・トローブ大学名誉研究員で、公衆衛生、保健政策、グローバルヘルスの分野で研究・教育に長年従事してきた。国際市民団体「ピープルズ・ヘルス・(People’s Health Movement : PHM)」(www.phmovement.org)にて、2000年の設立以来、積極的に活動に参加してきた。その中には、世界保健機関(WHO)ウオッチプロジェクトも含まれる。

スン・キム博士は、韓国の市民保健研究所(People’s Health Institute)保健政策研究センターのセンター長。健康管理や健康面での脆弱性、薬品製造、薬品へのアクセス等について、政治経済的な視点からの研究に長年従事してきた。PHMの東南アジア・太平洋地域コーディネーターを2019年から務める。
 

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パンデミックへの初動対応における市の役割:COVID-19に対応したソウル市の事例
 
Changwoo Shon

(要旨)
 この研究は、COVID-19を取り巻く国際情勢が変化する中で、ソウルにおけるCOVID-19への対応事例を評価することで、都市政府の役割について検討することを目的としたものである。この論文は4部に分かれる。最初に、COVID-19に対して、2020年1月から8月までのソウル市の対応を述べる。第2に、COVID-19による国際情勢の変化に呼応した「多国間主義同盟(Alliance for Multilateralism)」と都市間協力の背景について述べる。第3に、パンデミックに対するソウル政府の対応について、次の4つの視点から評価する;1)社会的距離、2)接触追跡機能の改善、3)検査の拡大普及、4)早期準備態勢。最後に、パンデミック危機を乗り切るために、ソウル市が海外の都市とどのような国際協力を実施したかの評価を行う。さらに、「健康都市ネットワーク」を駆使して、25の自律的地域がどのように政策を共有したかも評価する。

キーワード: COVID-19、パンデミック危機、市の対応、都市間のネットワーク、市の役割

著者紹介: チャングー・ション博士は、ソウル国立大で保健科学博士を取得。現在はソウル研究所所属。主な研究分野は、都市衛生、健康都市、コミュニティ保健。現在、ポストコロナ時代における新しい感染症管理システムの構築や課題設定に取り組んでいる。この度、学術誌「韓国における病院管理」にCOVID-19に対するソウル病院の対応と公営病院にとっての意義」、「保健教育とその促進に関する韓国学会誌」に「ソウルにおけるCOVID-19パンデミックの経験と健康都市の将来」と題する論文を発表している。韓国カソリック大学の非常勤講師を勤めると同時に、韓国保健コミュニケーション協会の研究部長、韓国健康都市パートナーシップの研究部長、韓国政府内務省災害安全管理プロジェクト評価委員会の委員も務める。

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2020年10月29日

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核兵器ホットライン:その起源、進化、応用
 
Steven E. Miller

(要旨)
 「ホットライン」という概念は、様々な状況や形式をとって変化してきており、多くの利用価値を提供できるものと考えられる。しかし、「ホットライン」の起源となったまさにその考えこそが最も説得力を持つものだ。それは、最大の核保有国の首脳陣が、あらゆる状況において、直接かつ効果的にコミュニケーションをとることができる、というものである。そのコミュニケーションにより、危機状態であろうと、戦争下であろうと、危険な状況を制御し、その拡大可能性を最小化すること、そして誤解やすれ違いによる破滅的な結果を招かないために必要なのである。

キーワード: 核兵器ホットライン、ロシア、米国、キューバミサイル危機、軍備管理外交

著者紹介: スティーブン・ミラー博士は、学術誌「International Security (国際安全保障)」の編集長で、ハーバード大学国際安全保障プログラム部長。同大学ベルファー国際安全保障研究センターの国際安全保障シリーズ(MIT出版)の共同編者。それ以前は、ストックホルム国際平和研究所の上級研究員、マサチューセッツ工科大学防衛と軍備管理研究所において教鞭もとった。

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2020年10月28日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


パンデミック時代における生物兵器と核抑止:アジア太平洋からの視点
 
Richard Pilch, Miles Pomper

(要旨)
 本論文は、パンデミック時代における生物兵器と核抑止に関して、アジア太平洋の視点を提供するものである。生物兵器はすべてのカテゴリーで国際条約上禁止されている。しかし、生物兵器は核兵器に比べ、技術的にも経済的にも容易に開発・製造することができる。一方で、コストや技術的障害があるにもかかわらず、アジア太平洋地域には、複数の国が公然と核兵器を保有している。この二つの大量破壊兵器(生物兵器と核兵器)は、まったく無関係に存在しているわけではない。その脅威や管理対策がもたらす影響は、複雑な地政学上、相互に関係する形で表れている。これらの動きに影響を与える第三の要素として、自然現象による感染症拡大とパンデミックがあげられる。本論文は、パンデミックを背景要因としたうえで、生物兵器と核兵器の潜在的な相互作用について探求する。第一に、生物兵器の歴史、脅威評価手法、そしてアジア太平洋地域における特有の脅威について分析する。次に、生物兵器の規制・管理について複数の選択肢を評価する。最後に、自然現象及び意図的な感染症拡大下における核抑止について検討する。結論として、地域安全保障と安定化に向けた重要課題と提言を行う。

キーワード: 生物兵器、核抑止、パンデミック時代、アジア太平洋

著者紹介
 リチャード・ピルチ博士はミドルベリー国際研究所ジェームズ・マーティン不拡散センター(CNS)の化学・生物兵器不拡散プログラム(CBWNP)のディレクター。専門は医学だが、2001年9.11同時多発テロとそれに続く炭疽菌テロ以来、安全保障問題に焦点を当ててきた。2002年、CNSにおいて化学・生物兵器不拡散プルグラムにおいて、ポスト博士課程研究フェローシップを修了。その前には、旧ソ連の攻撃用生物兵器プログラムがもたらした脅威を含め、生物兵器戦争、バイオテロリズム、さらには国際的な関心事となる公衆衛生に関する危機管理などの研究に従事してきた。博士は、米政府を代表して、ロシアで公表されているすべての民生用生物兵器関連施設の現地査察を行い、数々の脅威削減プログラム作成に貢献した。また、30以上の政府の技術専門家会議、諮問会議のメンバーとして活躍し、60以上の専門論文や白書に寄稿してきた。2005年には、彼の師匠でもあるレイ・ジリンスカス博士(CBWNP前ディレクター)とともに、この分野では決定版といわれる、ワイリー社発行の「バイオテロリズム防衛百科事典」の共同編集者を務めた。マイアミ・ミラー医学大学卒業、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学医学博士取得。
 マイルズ・ポンパー氏は、CNSワシントン事務所のシニア・フェロー。氏は、原子力、核不拡散、核セキュリティ、核軍備管理に関して多数の著書がある。CNS参加前にはArms Control Today誌編集長も務めていた。それ以前には、米議会や米情報局の外務局において、議会報告書やLegi-Stateニュースサービスに、安全保障に関する広汎な課題分析を行ってきた。コロンビア大学で国際関係論修士、ノースウエスタン大学でジャーナリズム修士取得。

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COVID19と東アジアにおける労働需要、移民、軍事力構造への影響
 
Brian Nichiporuk

(要旨)
 新型コロナ感染症(COVID-19)が東アジアにもたらしたパンデミックの直接的影響は、これまでのところ欧米にもたらしたものとは異なっている。東アジアの主要国における死亡率や感染率は欧米諸国に比べ低いものとなっている。しかし、東アジアにおいても、特に長期間にわたる二次的な影響という意味では、極めて深刻である。
 現在、東アジアの大国にとって、もっとも決定的な要素はその人口構成である。中国、日本、韓国、そして北朝鮮といったすべての国で、高齢化、低出産率、そして低(中にはマイナスの)人口成長率という共通の問題がある。また、これらの国すべてで移民を制限しており、その結果労働力人口を急速に増加させることができていない。この東アジアの人口構成の特徴は、COVID-19のもたらす地域に長期的影響を与えるだろう。
 本論文は、人口構成の変化の視点から、東アジアにおけるCOVID-19危機がもたらす潜在的、長期的影響を俯瞰的に分析したものである。具体的には労働市場への影響、大量人口移動シナリオの可能性、地域の軍事力への影響の3点に焦点をあてる。労働市場については、地域諸国は高齢労働者の活用、その労働市場の柔軟性を向上させることが重要である。大量人口移動については、北朝鮮崩壊シナリオと中国における地方から都市への人口移動について分析した。最後に、軍事力への影響については、COVID-19が核兵器の安全保障上の手続きに深刻な影響を与えうるし、さらに軍部の人材・人事政策、軍事演習の頻度、範囲、規模にも大きな影響を与えるだろう。

キーワード: 東アジア人口構成、東アジアの高齢化、安全保障、東アジア軍事力、日本、中国、韓国、北朝鮮、東アジア労働市場、国際人口移動、中国内人口移動、Covid-19、東アジアにおけるCovid-19, Covid-19と国際安全保障、核兵器安全保障、パンデミックと国際安全保障、、軍部人事政策、軍事演習、Covid-19と軍事予算、中国核戦力、北朝鮮と核戦力、北朝鮮国家崩壊シナリオ、東アジア出生率、東アジアにおける失業率。

著者紹介: ブライアン・ニチポルク博士は、米カリフォルニア州サンタモニカにあるランド研究所の上級政治研究員である。博士は米陸軍、海軍や国防省部局で研究プロジェクトに従事してきた。現在の研究課題は以下の通り:ロシアの軍事力と脆弱性、中東及び東アジアにおける人口構成変化の影響、世界における接近阻止戦略の米軍への影響評価など。主要著書・報告書には、「人口構成がもたらす安全保障ダイナミックス」(2000、単著)、「ロシア陸軍の潮流;予算と軍事力の概観」(2019、共著)がある。米空軍本部評価局IPAフェローとして従事したこともある。シカゴ大学政治学部卒、MIT政治学博士号。

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2020年10月26日

核兵器禁止条約を批准する国が50か国に達し、条約の発効条件が満たされたことを受けて、長崎大学核兵器廃絶研究センターは見解文「核兵器禁止条約の発効確定を受けて」を発表しました。

本文は こちら です。是非ご覧ください。

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