2020年10月30日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


核兵器近代化計画の評価
 
Petr Topychkanov

(要旨)
 本論文は、最近核保有国で下された、軍事計画における核兵器の役割を増加させる決定について評価したものである。その決定は、安全保障戦略においてより顕著になった核兵器の存在を反映したものである。これは、冷戦直後、核兵器の役割を相対的に縮小させようとした動きに逆行するものである。核保有国の政治・軍事指導者たちは、核兵器の役割を核兵器の攻撃に対してのみに限定する「唯一の目的」という考え方から離れようとしているのだ。その代わりに、通常兵器による攻撃、さらにはサイバー攻撃に対しても核兵器の役割を強調し始めた。これは核兵器使用の「敷居」を下げることであり、その動きは核軍備管理の停滞の動きと連動している。同時に、ロシアと米国・北大西洋条約機構(NATO)、さらには米国と中国の不信感も増加している。

キーワード: 核兵器、核理論、先制不使用、核抑止、核兵器近代化、軍備管理

著者紹介: P. トピチュカノフ博士は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の核軍縮・軍備管理と核不拡散プログラムの上席研究員。主に、核不拡散、核軍縮、軍備管理、先端技術が核戦略安定性にもたらす影響などについて研究。2018年にSIPRIに参加するまでは、ロシア科学アカデミーの世界経済国際関係に関するプリマコフ国家研究所の国際安全保障センター上席研究員を務めた。2006年から17年までは、カーネギーモスクワセンターの核不拡散プログラム・フェロー。モスクワ国立大学アジア・アフリカ研究所で2009年に歴史博士号取得。最新論文には「AIがもたらす戦略的安定性と核リスクへの影響:南アジアの視点から」(SIPRI, 2020、共編著)がある。

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COVIDワクチンへの公平なアクセス:研究と生産能力における協力が不可欠
 
David G Legge and Sun Kim

(要旨)

COVID-19パンデミックは、家族やコミュニティを破壊し、社会・経済活動を混乱させた。世界全体で100万人以上の方が亡くなり、多くの人が苦しんでいる。SARS-2コロナウィルスに対して効力があり安価なワクチンが入手できれば、パンデミックがもたらした混乱から早期に脱することができる。

パンデミック初期から、世界保健機関(WHO)事務局長は、地球規模で対応するには「連帯」が不可欠だと強調していた。当初は、ウィルスのゲノム配列情報の公表や、核酸試験の手順などで「連帯」が示されていた。しかし、ワクチン開発や製造を加速させるために技術を共有しようという提案は、薬品業界や政府には受け入れられなかった。WHOが提案した「連帯したワクチン治験」は、ワクチンの効力、安全性、価格に有効な比較情報をもたらすはずだったが、薬品業界によりボイコットされた。

3月末になると、COVID対応の地球規模協力にむけての交渉は、WHOからG20諸国がスポンサーとなった「COVIDツールアクセラレーターへのアクセス(ACT-A)」に移った。これは、診断・治療法・ワクチン開発・生産及び平等なアクセスを促進する地球規模の政府と民間の協力イニシャティブである。ACT-Aの「ワクチン部門」では、複数の選ばれたワクチン候補について、前もって参加国が共同購入契約を行う「コーバックス(Covax)・ファシリティー」が形成された。「Covax」はさらに、低所得諸国への供給を促進する募金活動も行うよう企画されていた。また、参加国において、優先順位の高い人たち(最大20%)にワクチンが配布されることも計画され、その後に、オープンな市場において、二国間取引を行うことになっていた。

しかし、7月になると、特に米国・英国・EUによる「二国間購入契約」が大量に進み、初期の有効なワクチンがそれらの国の在庫に回ることが明らかになった。これは、Covaxの募金活動を無駄にする動きであった。

この「ワクチン・ナショナリズム」は、技術の共有化を拒否し、Covaxの資金不足・供給不足をもたらし、ワクチンへのアクセスを不公平なものへと変えてしまった。特に1年目への影響が大きかった。

医療への公正なアクセスについては、過去20年間真剣に検討がなされてきた。さらに、多国籍薬品企業のビジネスモデルの分析や、普遍的な医療保険制度UHCへの需要が高まっていることなどから、私たちは「COVID-19におけるより公平なワクチン配布のための政策プラットフォーム」を提案した。その重要な要素は以下のようなものである。
・Covaxにおける譲歩的部分への全面的資金供与
・低・中所得諸国(L&MICs)においては、地元での生産を急速に拡大する
・知的所有権や技術ノウハウの共有化を義務付けるTRIPS合意(Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)における「放棄条項」を即座に適用することで、ワクチン開発と製造に必要な知的所有権やノウハウへのアクセスを確保する
・ワクチン開発と生産における重要な部分の完全な透明性を確保する
・深刻な負債を抱えている低・中所得諸国の返済を一時停止する

今後のパンデミックに対応するためにも、より公平で有効な対応策を実施する政策イニシャティブが今こそ必要である。その重要な項目とは:
・低・中所得諸国における公的部門の革新と生産能力の拡大
・バイオ医薬品技術移転と国の能力育成に関する地域・多国間の合意
・将来のパンデミック危機への対応できるような技術共有に関するTRIPS合意の改革
・パンデミック危機に際して、WHOに技術共有化や治験効果の比較(「連帯した治験」)を義務付ける権限の供与とそれを可能にする国際規制IHRの改革
・薬品の研究開発活動と薬品研究開発に関する国際条約交渉の分離を促進

このプラットフォームの実行と進展のために重要な事項は:
・TRIPS合意の柔軟性を最大限活用できるよう、また研究開発のための公的資金(許認可の公開)や民間薬品企業の研究開発資金の透明性を確保するために、各国での法制度等の改革
・低・中所得諸国の意見を反映できるよう、国連やWHOといった国際機関における議論の場を確保すること、その結果制度改革へのリーダーシップが示されること。
・普遍的な(単一支払者)健康保険(UHC)へのコミュニティ運動を進め、安価で効果のある治療薬とワクチンへの平等なアクセスを保証すること
 

キーワード: COVID-19、COVIDツールアクセラレーターへのアクセス(ACT-A)、コーバックス(Covax)、ワクチン、ワクチン開発、ワクチン生産、公平性、アクセス、TRIPS合意、許認可の義務付け、連帯治験、普遍的な保険制度(UHC)、製薬業界、Covid テクノロジーアクセスプール(C-TAP)
 

著者紹介

デビッド・レゲー博士(医学)は、豪州ラ・トローブ大学名誉研究員で、公衆衛生、保健政策、グローバルヘルスの分野で研究・教育に長年従事してきた。国際市民団体「ピープルズ・ヘルス・(People’s Health Movement : PHM)」(www.phmovement.org)にて、2000年の設立以来、積極的に活動に参加してきた。その中には、世界保健機関(WHO)ウオッチプロジェクトも含まれる。

スン・キム博士は、韓国の市民保健研究所(People’s Health Institute)保健政策研究センターのセンター長。健康管理や健康面での脆弱性、薬品製造、薬品へのアクセス等について、政治経済的な視点からの研究に長年従事してきた。PHMの東南アジア・太平洋地域コーディネーターを2019年から務める。
 

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パンデミックへの初動対応における市の役割:COVID-19に対応したソウル市の事例
 
Changwoo Shon

(要旨)
 この研究は、COVID-19を取り巻く国際情勢が変化する中で、ソウルにおけるCOVID-19への対応事例を評価することで、都市政府の役割について検討することを目的としたものである。この論文は4部に分かれる。最初に、COVID-19に対して、2020年1月から8月までのソウル市の対応を述べる。第2に、COVID-19による国際情勢の変化に呼応した「多国間主義同盟(Alliance for Multilateralism)」と都市間協力の背景について述べる。第3に、パンデミックに対するソウル政府の対応について、次の4つの視点から評価する;1)社会的距離、2)接触追跡機能の改善、3)検査の拡大普及、4)早期準備態勢。最後に、パンデミック危機を乗り切るために、ソウル市が海外の都市とどのような国際協力を実施したかの評価を行う。さらに、「健康都市ネットワーク」を駆使して、25の自律的地域がどのように政策を共有したかも評価する。

キーワード: COVID-19、パンデミック危機、市の対応、都市間のネットワーク、市の役割

著者紹介: チャングー・ション博士は、ソウル国立大で保健科学博士を取得。現在はソウル研究所所属。主な研究分野は、都市衛生、健康都市、コミュニティ保健。現在、ポストコロナ時代における新しい感染症管理システムの構築や課題設定に取り組んでいる。この度、学術誌「韓国における病院管理」にCOVID-19に対するソウル病院の対応と公営病院にとっての意義」、「保健教育とその促進に関する韓国学会誌」に「ソウルにおけるCOVID-19パンデミックの経験と健康都市の将来」と題する論文を発表している。韓国カソリック大学の非常勤講師を勤めると同時に、韓国保健コミュニケーション協会の研究部長、韓国健康都市パートナーシップの研究部長、韓国政府内務省災害安全管理プロジェクト評価委員会の委員も務める。

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2020年10月29日

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核兵器ホットライン:その起源、進化、応用
 
Steven E. Miller

(要旨)
 「ホットライン」という概念は、様々な状況や形式をとって変化してきており、多くの利用価値を提供できるものと考えられる。しかし、「ホットライン」の起源となったまさにその考えこそが最も説得力を持つものだ。それは、最大の核保有国の首脳陣が、あらゆる状況において、直接かつ効果的にコミュニケーションをとることができる、というものである。そのコミュニケーションにより、危機状態であろうと、戦争下であろうと、危険な状況を制御し、その拡大可能性を最小化すること、そして誤解やすれ違いによる破滅的な結果を招かないために必要なのである。

キーワード: 核兵器ホットライン、ロシア、米国、キューバミサイル危機、軍備管理外交

著者紹介: スティーブン・ミラー博士は、学術誌「International Security (国際安全保障)」の編集長で、ハーバード大学国際安全保障プログラム部長。同大学ベルファー国際安全保障研究センターの国際安全保障シリーズ(MIT出版)の共同編者。それ以前は、ストックホルム国際平和研究所の上級研究員、マサチューセッツ工科大学防衛と軍備管理研究所において教鞭もとった。

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2020年10月28日

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パンデミック時代における生物兵器と核抑止:アジア太平洋からの視点
 
Richard Pilch, Miles Pomper

(要旨)
 本論文は、パンデミック時代における生物兵器と核抑止に関して、アジア太平洋の視点を提供するものである。生物兵器はすべてのカテゴリーで国際条約上禁止されている。しかし、生物兵器は核兵器に比べ、技術的にも経済的にも容易に開発・製造することができる。一方で、コストや技術的障害があるにもかかわらず、アジア太平洋地域には、複数の国が公然と核兵器を保有している。この二つの大量破壊兵器(生物兵器と核兵器)は、まったく無関係に存在しているわけではない。その脅威や管理対策がもたらす影響は、複雑な地政学上、相互に関係する形で表れている。これらの動きに影響を与える第三の要素として、自然現象による感染症拡大とパンデミックがあげられる。本論文は、パンデミックを背景要因としたうえで、生物兵器と核兵器の潜在的な相互作用について探求する。第一に、生物兵器の歴史、脅威評価手法、そしてアジア太平洋地域における特有の脅威について分析する。次に、生物兵器の規制・管理について複数の選択肢を評価する。最後に、自然現象及び意図的な感染症拡大下における核抑止について検討する。結論として、地域安全保障と安定化に向けた重要課題と提言を行う。

キーワード: 生物兵器、核抑止、パンデミック時代、アジア太平洋

著者紹介
 リチャード・ピルチ博士はミドルベリー国際研究所ジェームズ・マーティン不拡散センター(CNS)の化学・生物兵器不拡散プログラム(CBWNP)のディレクター。専門は医学だが、2001年9.11同時多発テロとそれに続く炭疽菌テロ以来、安全保障問題に焦点を当ててきた。2002年、CNSにおいて化学・生物兵器不拡散プルグラムにおいて、ポスト博士課程研究フェローシップを修了。その前には、旧ソ連の攻撃用生物兵器プログラムがもたらした脅威を含め、生物兵器戦争、バイオテロリズム、さらには国際的な関心事となる公衆衛生に関する危機管理などの研究に従事してきた。博士は、米政府を代表して、ロシアで公表されているすべての民生用生物兵器関連施設の現地査察を行い、数々の脅威削減プログラム作成に貢献した。また、30以上の政府の技術専門家会議、諮問会議のメンバーとして活躍し、60以上の専門論文や白書に寄稿してきた。2005年には、彼の師匠でもあるレイ・ジリンスカス博士(CBWNP前ディレクター)とともに、この分野では決定版といわれる、ワイリー社発行の「バイオテロリズム防衛百科事典」の共同編集者を務めた。マイアミ・ミラー医学大学卒業、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学医学博士取得。
 マイルズ・ポンパー氏は、CNSワシントン事務所のシニア・フェロー。氏は、原子力、核不拡散、核セキュリティ、核軍備管理に関して多数の著書がある。CNS参加前にはArms Control Today誌編集長も務めていた。それ以前には、米議会や米情報局の外務局において、議会報告書やLegi-Stateニュースサービスに、安全保障に関する広汎な課題分析を行ってきた。コロンビア大学で国際関係論修士、ノースウエスタン大学でジャーナリズム修士取得。

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COVID19と東アジアにおける労働需要、移民、軍事力構造への影響
 
Brian Nichiporuk

(要旨)
 新型コロナ感染症(COVID-19)が東アジアにもたらしたパンデミックの直接的影響は、これまでのところ欧米にもたらしたものとは異なっている。東アジアの主要国における死亡率や感染率は欧米諸国に比べ低いものとなっている。しかし、東アジアにおいても、特に長期間にわたる二次的な影響という意味では、極めて深刻である。
 現在、東アジアの大国にとって、もっとも決定的な要素はその人口構成である。中国、日本、韓国、そして北朝鮮といったすべての国で、高齢化、低出産率、そして低(中にはマイナスの)人口成長率という共通の問題がある。また、これらの国すべてで移民を制限しており、その結果労働力人口を急速に増加させることができていない。この東アジアの人口構成の特徴は、COVID-19のもたらす地域に長期的影響を与えるだろう。
 本論文は、人口構成の変化の視点から、東アジアにおけるCOVID-19危機がもたらす潜在的、長期的影響を俯瞰的に分析したものである。具体的には労働市場への影響、大量人口移動シナリオの可能性、地域の軍事力への影響の3点に焦点をあてる。労働市場については、地域諸国は高齢労働者の活用、その労働市場の柔軟性を向上させることが重要である。大量人口移動については、北朝鮮崩壊シナリオと中国における地方から都市への人口移動について分析した。最後に、軍事力への影響については、COVID-19が核兵器の安全保障上の手続きに深刻な影響を与えうるし、さらに軍部の人材・人事政策、軍事演習の頻度、範囲、規模にも大きな影響を与えるだろう。

キーワード: 東アジア人口構成、東アジアの高齢化、安全保障、東アジア軍事力、日本、中国、韓国、北朝鮮、東アジア労働市場、国際人口移動、中国内人口移動、Covid-19、東アジアにおけるCovid-19, Covid-19と国際安全保障、核兵器安全保障、パンデミックと国際安全保障、、軍部人事政策、軍事演習、Covid-19と軍事予算、中国核戦力、北朝鮮と核戦力、北朝鮮国家崩壊シナリオ、東アジア出生率、東アジアにおける失業率。

著者紹介: ブライアン・ニチポルク博士は、米カリフォルニア州サンタモニカにあるランド研究所の上級政治研究員である。博士は米陸軍、海軍や国防省部局で研究プロジェクトに従事してきた。現在の研究課題は以下の通り:ロシアの軍事力と脆弱性、中東及び東アジアにおける人口構成変化の影響、世界における接近阻止戦略の米軍への影響評価など。主要著書・報告書には、「人口構成がもたらす安全保障ダイナミックス」(2000、単著)、「ロシア陸軍の潮流;予算と軍事力の概観」(2019、共著)がある。米空軍本部評価局IPAフェローとして従事したこともある。シカゴ大学政治学部卒、MIT政治学博士号。

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2020年10月26日

核兵器禁止条約を批准する国が50か国に達し、条約の発効条件が満たされたことを受けて、長崎大学核兵器廃絶研究センターは見解文「核兵器禁止条約の発効確定を受けて」を発表しました。

本文は こちら です。是非ご覧ください。

>>【レクナの目】記事一覧

 

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2020年10月22日

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膠着状態の核外交に代わる代替案―北東アジア非核兵器地帯への提案・道筋・展望
 
Michael Hamel-Green

(要旨)
 2018年―19年に希望をもたらした北朝鮮・米国・韓国の3か国外交は、当初の期待とは裏腹に、行き詰まりを迎えて膠着状態に陥っている。北東アジア全体に視野を広げると、核兵器搭載可能な兵器(陸上・海上発射ミサイル、ミサイル防衛システム、移動式非戦略核兵器等)が米中により地域内外に配備され、米中の核兵器をめぐる対立が増している。本論文は、そういった核の破壊的脅威が増加しつつある現状への代替案が存在することを提案するものだ。具体的には、北東アジア非核兵器地帯(NEA-NWFZ)への段階的設置とそれと並行して進める包括的な地域安全保障に関する合意である。包括的な地域安全保障合意には、朝鮮戦争の平和的終結、地域安全保障会議(フォーラム)の設置、北朝鮮への経済・エネルギー支援、そしてNWFZ地域の核保有国である米・中・ロシアからの法的拘束力を伴う非核保有国への安全保証の提供である。他の地域におけるNWFZの成功事例、北東アジアにおける過去のNWFZ提案についても論じる。そして、この地域におけるNWFZの特異事項、例えば北朝鮮が保有する核兵器解体過程の徹底した検証体制、朝鮮戦争の平和的終結、北朝鮮がNWFZに早期加入できるような柔軟な発効過程などが含まれる。この柔軟な発効過程は、北朝鮮がNWFZへの加入によって得られる安全保障上の利益を確認する時間的余裕を与える意味がある。また、非戦略核兵器の地域への配備を発効前に禁止する項目も重要となる。最近開催された北東アジア地域における専門家ワークショップの成果を踏まえつつ、本論文は、NEA-NWFZへの具体的道筋を提案し、その成功が世界の安全保障にとっても意味があることを示すものである。

キーワード: 非核兵器地帯、条約、同盟国、禁止、軍縮、軍備管理、北東アジア、北朝鮮、韓国、中国、ロシア、米国、外交

著者紹介: M. H. グリーン教授は、豪州メルボルンのビクトリア大学人文科学社会分析領域の名誉教授。同大学の人文科学・教育・人材育成学部の前学部長。国際安全保障、紛争解決、地域開発等の領域で研究・教育の従事してきた。「北東アジアの平和と安全保障に関するパネル」(PSNA)の共同議長。

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2020年10月16日

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パンデミックの世界における拡大抑止と拡大核抑止
 
Allan Behm

(要旨)
 米国が同盟国に「安全保障」として供与してきた「拡大抑止」と「拡大核抑止」は、過去60年間にわたり米国の政策と計画が生み出してきたものである。他のどの核保有国もそのような「安全保障」を供与してはいない。第二次世界大戦直後、米国は敵国(特に旧ソ連)からの同盟国への武力行使を抑止するために、「圧倒的な通常兵力」を用いて「拡大抑止」を提供してきた。旧ソ連と中国が核兵器を開発した後は、その核の脅威が同盟国に及ぶ恐れが出てきたことから、「拡大抑止」の範囲が拡大されて、核の脅威に対する抑止(核抑止)も「拡大核抑止」として含まれるようになった。
 抑止が信頼できるかどうかは、抑止を提供する国が本当に敵国を確実に敗北させるだけの圧倒的な軍事力を有しているかどうか、あるいは敵国にとって敗北のコストが勝利の利益よりも本当に多いかどうか、といった不確実性に実は依存している。言い換えれば、抑止は単なる「脅し」なのか、それとも本当に「保証」なのか、が本当に問うべき課題である。
 ここ数十年、拡大(核)抑止の信頼性は、徐々に低下してきている。抑止論の脆弱性は、コロナウィルスの登場以前からすでに明らかになっていた。コロナウィルス感染症や国際合意・条約に対する米トランプ大統領の気まぐれな対応によって、米国の同盟国は自国の安全保障を、彼の対応を通してみることになった。もし、米国がコロナウィルスに対して、有効な対策をとることができないのであれば、どうして同盟国を守ることができるだろうか?
 抑止は「信頼」に基づくシステムである。抑止が機能する証拠は全くない。抑止の論理は、最終的には失敗したときにその効力がわかる、言い換えれば大規模な戦争行為になって初めてわかるものなのだ。

キーワード: 核兵器、拡大核抑止、核の傘、信用度、信頼、指導力、同盟

著者紹介: アラン・ベーム博士は、現在オーストラリア研究所(豪州キャンベラ市)国際安全保障プログラム部長である。ベーム氏は、過去30年間にわたり、オーストラリア外務省、首相府、国防省、司法省などの政府官僚として務めてきた。専門領域は、国際関係論、国防戦略、テロリズム対策、法執行政策などであり、最近では気候変動にも詳しい。

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2020年10月13日

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パンデミック
 
C G Nicholas Mascie-Taylor and K Moji

(要旨)
 パンデミックは、伝染病が世界に広がる、または国境を越えて広い地域や多くの人たちに影響を与える現象をいう。パンデミックは、人類史上何回も起きており、動物からのウィルス感染が増加しつつあるため、その回数も増えていると思われる。パンデミック・リスクは、「スパークリスク」(例;野生動物からの感染侵入)と「スプレッド・リスク」(感染経路とヒトの感受性による感染拡大)の組み合わせによる。パンデミックへの準備対応策を構築するのは複雑な作業であり、かなりの調整が必要となる。COVID-19のケースでは、感染モデル構築が多くの政府対応にとって重要であった。具体的には、ロックダウン(都市閉鎖)や3密回避等も含まれる。新型病原体のワクチン開発は簡単ではなく、コミュニティによる緩和対応策が不可欠である。COVID-19のケースからは、即時の対応、徹底した検査、デジタル機器による追跡調査、政府やリーダーに対する国民の信頼と国際協力などが重要であることが教訓としてあげられる。

キーワード: パンデミック、人獣共通感染症、パンデミックの影響、コミュニティ緩和策、ワクチン開発、COVID-19からの教訓

著者紹介
 ニック・マスシーテイラー博士は、英国ケンブリッジ大学「人口生物学と健康」担当教授、グローバルヘルス研究部部長を兼務、同大学チャーチルカレッジのフェロー、欧州人類学会会長・副会長を20年間務め、ハンガリー国立科学アカデミーの海外フェローでもある。南アジアおよびアフリカにおいて、栄養・健康状態の調査研究と政府への政策提言を40年にわたって実施してきた。データ解析の専門家として、英国国際開発省、デンマーク国際開発局、世界銀行、その他16か国のデータ解析の基礎・高度教育プログラムを長年運営。博士は、30年以上にわたりバングラデシュで研究し、非感染疾患研究のコホート集団を最近立ち上げた。COVID-19感染症が発症してからは、このコホート(75,000人)を対象とした電話によるCOVID-19の症状と社会・経済影響に関する縦断的データ収集を行っている。
 門司和彦博士は、専門は人類生態学で、現在,長崎大学多文化社会学部長、および熱帯医学・グローバルヘルス研究科グローバルヘルス専攻長。熱帯医学研究所教授。2008年から2013年まで、京都の総合地球環境学研究所エコヘルスプロジェクト「熱帯アジアの環境変化と感染症」のリーダーを務めた。東京大学にて保健学修士・博士号取得。2011年から14年まで、日本熱帯医学学会会長を務めた。

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