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【特別論文No.7】「北東アジアにおける核使用リスクの削減(NU-NEA)」プロジェクトの特別論文「報復のジレンマと東アジアにおける核戦争のリスク」を発表
2022年2月9日

この特別論文は、「「北東アジアにおける核使用リスクの削減(NU-NEA)」プロジェクト– 二度と核兵器が使われないために –」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。


報復のジレンマと東アジアにおける核戦争のリスク
 
Ian Bowers

(要旨)
中国の新規核ミサイル・サイロ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国の核兵器―通常兵器の軍拡模様、最近公表された米・英協力の下でのオーストラリアの原子力潜水艦取得問題などを合わせて考えると、最近東アジアの安全保障環境が悪化している表れといえよう。地政学、軍事作戦、技術的要素などを踏まえたうえで、本論文は上記のような新たな展開を分析し、東アジアにおける核戦争の可能性、特に朝鮮半島における可能性を評価したものである。

戦略的安定性にとって最も脅威となるのは、「報復のジレンマ」と呼ばれるものだ。これは、米、中国と東アジアの他諸国が通常戦力を用いて、意図的、または意図せざる出来事によって、他国の核戦力を目標に攻撃を加えることが戦略的不安定につながることであり、その結果、相手国はさらに確実な報復能力を追求すること、そしてそれが通常兵器による戦争や抑止戦略の中心となること、というものだ。地域における多くのまた異なった対立や競争的関係を考えれば、地域における軍備管理が成功する可能性は低い。しかし、海洋の存在という地政学的環境や、米中間では「自国の存亡にかかわる脅威」がお互いに存在するわけではないことを考えれば、冷戦時代の対立に比べると米中間の核戦争につながる可能性は低いといえる。

キーワード:米国、中国、通常兵器、軍備管理、核戦争

著者紹介
イアン・バウアーズ博士は、デンマーク王立防衛大学共同作戦センターの准教授。博士の専門分野は、抑止、未来の軍事環境、海上戦力、東アジアの安全保障。博士の論文はInternational Security, the Journal of Strategic Studies, the Naval War Collage Review, Korean Journal of Defense Analysis等に発表されている。最新の研究成果としては、「通常兵器による報復のジレンマ:韓国の抑止戦略と朝鮮半島の安定性」(共著)がInternational Securityに発表されている。さらに、韓国海軍の近代化についての論考、海上戦力と軍事変革に関する編著もある。ロンドンのキングス・カレッジにおける戦争研究分野で博士号取得している。

本論文の作成にあたっては、マッカーサー財団の助成金により一部支援をうけた。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

◆本プロジェクトの概要は こちら

◆本プロジェクトの特別論文の一覧は こちら

 


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