2024年7月11日

この特別論文は、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。

 

核兵器使用後の国際情勢を政治的に分析する
 
Rabia Akhtar


「北東アジアにおける核使用リスクの削減にむけて」(NU-NEA)プロジェクト
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
アジア太平洋核不拡散・軍縮リーダーシップネットワーク(APLN)
ノーチラス研究所
 
2024年7月11日

 

NU-NEAプロジェクトでは、地域における核使用リスク削減にむけて政策提言をまとめたが、その一環として重要課題について専門家に委託した論文の中で、すでにJournal for Peace and Nuclear Disarmamentに発表されたものを公表する。

 

要  旨

現在の国際情勢、とくに北東アジアにおける情勢は、核保有国の存在、並びに領土をめぐる対立、そして地政学的な緊張増加により脆弱な状況に置かれている。この現実を考慮に入れたうえで、本論文は北東アジアにおける核使用がもたらす影響について分析する。考えうる政治権力の移行、反核グループの役割の進化、そしてより広く安全保障政策への影響について、徹底的に分析を行う。論文は、さらに核兵器使用がもたらす複雑な正・負の結果を含めたいくつかのシナリオも検討する。それらの分析に基づき、本論文は、破滅的な核使用を防ぐために、軍備管理や紛争解決に向けた真摯な対話の重要性を強調した提言を行う。全体として、本論文は北東アジアにおける核兵器がもたらす多層的な課題を包括的に分析し、世界をより安全にするための貴重な洞察を示すことになる。最近の国際情勢は、軍備管理に必要な国際構造を弱体化させる方向に進んでおり、核不拡散体制への脅威も増加させている。本論文は、核抑止力を柔軟に進化させ、先進技術を戦略的に利用し、関係国間の脆弱性のバランスを改めて構築していくことの重要性を強調している。

キーワード: 核兵器、アジア太平洋、北朝鮮、軍備管理、核抑止

著者紹介
Rabia Akhtar博士は、ラホーレ大学(パキスタン)社会科学部学部長・教授である。国際政治学の教授であり、またラホーレ大学統合社会科学校の安全保障、戦略、政策研究センターの創設者・センター長である。米カンサス州立大学の安全保障学で博士号を取得。専門は、南アジアの安全保障、抑止論、誤情報とディープフェイク、核兵器とAIなどの先端技術、パキスタンの外交政策・安全保障政策、南アジアの地域安全保障など多岐にわたる。また、カーン首相の外交問題審議会メンバー(2018~2022)、米大西洋評議会、英国BASICの客員研究員も務める。この他、NATO防衛大学、ISODARCO、ハーバード大学Managing the Atomプロジェクトなど、多くの研究機関で研究を行ってきた。

この論文は本人の分析であり、所属機関の研究とは無関係である。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

◆本プロジェクトの概要は こちら
◆本プロジェクトの特別論文の一覧は こちら

NU-NEAプロジェクト

 

Category お知らせ
2024年7月5日

2024年度版『世界の核弾頭データ』解 説

2024年度版『世界の核弾頭データ』では、例年の「解説しおり」をリニューアルし、「解説リーフレット」と「デジタル解説」を公開しました。

解説リーフレット(PDF)
⇒「世界の核弾頭データ」ポスターの2024年版を手がかりに、核兵器をめぐる世界の現状をわかりやすく解説しています。

デジタル解説:核兵器について考えよう
⇒ 核兵器をめぐる世界の状況をわかりやすくQ&Aで解説しています。

解説リーフレット2024

世界の核弾頭データ
解 説
2024.6

[デジタル解説:核兵器について考えよう]
[解説リーフレット(PDF)]

ポスター2024

★ ポスターには英語版、韓国語版もあります。こちら からご覧いただけます。

★ ポスターの元となったデータは「世界の核弾頭一覧」からご覧いただけます。

★ 前年度以前の版は こちら からご覧いただけます。

解説リーフレットの作成方法

リーフレット作成用PDFをA3用紙に”短辺綴じ”で両面印刷し、余分な上下を切り取り、観音折りにします。
How to make brochure

 

Category お知らせ

REC-PP-20

核兵器のない世界のために― TPNW 第3回締約国会合に向けた議論(2024年7月)
 河合 公明, 鈴木 達治郎, 西田 充, 樋川 和子, 山田 寿則

[全文閲覧]※7/12 修正版に差替 

現在、核兵器禁止条約(TPNW)の締約国と署名国は、関係組織や専門家の協力を得て、① 核兵器を前提とする安全保障に関する懸念やリスクをどのようにしてより明確にするか、② 核抑止に基づく安全保障パラダイムに挑戦するために必要な議論は何かについて、論点や勧告を含む報告書を第3回締約国会議に提出すべく、協議を進めています(オーストリアがコーディネーター)。
上記の取り組みに貢献するために、RECNAはこのたびポリシーペーパーNo.20「核兵器のない世界のために―TPNW第3回締約国会合に向けた議論」を刊行することとしました。

★ 既刊のレクナポリシーペーパーは こちら

 

Category お知らせ
2024年7月2日

この特別論文は、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。

 

「核先制不使用」は米中間の核リスク削減に今でも役に立つ
 
Adam Mount


「北東アジアにおける核使用リスクの削減にむけて」(NU-NEA)プロジェクト
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
アジア太平洋核不拡散・軍縮リーダーシップネットワーク(APLN)
ノーチラス研究所
 
2024年7月2日

 

NU-NEAプロジェクトでは、地域における核使用リスク削減にむけて政策提言をまとめたが、その一環として重要課題について専門家に委託した論文の中で、すでにJournal for Peace and Nuclear Disarmamentに発表されたものを公表する。

 

要  旨

「核先制不使用」宣言は、米中の核危機状況を根本的に変える可能性は少ない。中国の核軍拡により、自国の長期にわたる「(先制不使用)宣言政策」の意義と持続性に深刻な疑念が起きている。しかし、「先制不使用」は、米中間における核リスク削減に依然重要な役割を果たしうる。第一に、両国とも、先制使用への依存を減らしていくための現実的な計画や態勢を整えることができる。第二に、先制不使用に関する両国間の議論は、それぞれの国における核兵器の役割について貴重な対話の場を提供することができる。実際に、ただ宣言することよりも、その議論をすることがより良い結果をもたらすことができる。

キーワード: 核兵器、先制不使用、中国

著者紹介
アダム・マウント博士は、全米科学者同盟(FAS)の上級研究員である。博士の研究分野は米国の核戦略、通常兵器による抑止、先進的な外交政策である。博士は、リード・カレッジで学士号を取得、ジョージタウン大学政府学科で終始、並びに博士号を取得している。

この論文は本人の分析であり、所属機関の研究とは無関係である。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

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2024年6月11日

被爆地長崎の歴史的使命を考える――第二次世界大戦終結80年に向けて――

長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)見解
2024年6月11日

「あれが最後の世界大戦だった」と、ずっと歴史に刻んでおきたい。そんな第二次世界大戦が終結して来年で80年を迎えるが、そもそもあの壮絶な戦争の正体とは何なのだろうか。議論は百花斉放だが、ここでは、「目的のためには手段を選ばず、無防備の市民も攻撃」して、果てには「無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆という地獄」をもたらした世界大戦である点に注目する1。民主主義国家でも独裁主義国家でも、人間は戦争になった時に阿鼻叫喚の狂気へと踏み入っていける存在であると、あの戦争が私たちに警鐘を鳴らし続けているように思える。そうであるからこそ、だろう。核攻撃による「地獄」の現場となった被爆地はこれまでの平和宣言で、狂気を忌避する人間の善なる部分に期待を寄せながら、核廃絶や世界平和を願い、そして促してきた。

 ただ、現実の国際社会ではこの間も戦争や紛争、対立が絶えまなく続いてきた。今はロシアによるウクライナ侵略、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルの軍事攻撃で多くの市民が命を奪われ、故郷からの避難を余儀なくされている。ロシアは核による脅しを繰り返し、イスラエルでは(政府は否定したものの)政府高官や国会議員が相次いで核使用の可能性を示唆し、大きな不安と疑念が渦まいた。さらに、核兵器国による冷戦後の軍縮基調は後退し、むしろ軍拡路線に転じている。

 第二次世界大戦終結80年を目前に軍靴の音が高まる現状を直視しながら、被爆地長崎が改めて確認し決意すべきことは何なのだろうか。重い問いへの解をさぐるにあたって、決してゆるがせにしてはならない矜持がある。その芯を成すのは平和主義で、どんな時でも徹頭徹尾、対話や外交で平和裏の紛争解決を求めることである。そして仮に万策尽きて戦争に陥った場合でも、どの国であれ人間であれ、人間として許されない行為はしないという最低限のルールを守る。さらに、人間の生命や尊厳を大切にする視点から、苦しんでいる人間は敵味方の別なく助ける。そのうえで一刻も早い停戦・和平を模索する。「地獄」の再来を防ぐために長崎は、こうした「人道」の矜持に基づいて引き続き、核廃絶を含む世界への発信や行動を続けるべきだろう。

 振り返ってみるとこの矜持が鮮明に投射されたのが、1962年の長崎平和宣言である。核戦争の瀬戸際にまで進んだキューバ危機が起きるなど冷戦悪化の逆風が吹き荒れた年に、心折れることなく「一意挺身(いちい・ていしん)」の思いで出された宣言であり、現在の私たちの胸にも突きささってくる。

 いわく――被爆地の期待に反して、「流血の惨、世界の各地にそのあとを絶たず、またしきりに核兵器の増強を伝え、人類の危機感が醸成されつつある」状況は、「まことに遺憾に堪えない」。だが長崎市民はこの逆境におじることなく、「自ら体験した原爆の威力とその被害と悲惨、きょうに続く業苦にかんがみ、人道の名において原水爆の廃棄を強く訴え、更に一切の戦争をこの地上より排除すべく、諸国家が融和、協調することを切願する」。さらに長崎市民は「えい知と正義と愛とが変わりなく人類総てのものであること」を信じ、「世界恒久平和の実現のため新たなる決意」に基づいて、その実現に向けて「一意てい身することを誓う」。

 1962年に劣らぬ逆風が吹きつける今、こうした矜持をどう今後に活かしていけばいいのか。否が応にも、「無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆という地獄」を体験、目撃した生き証人が世界中で減り、やがて直接話を聞くことがかなわなくなる。冷徹な現実の中で、どこかの「地獄」が忘却されるとそれだけ世界的に人道の力が弱まり、やがては別の「地獄」の忘却を誘発する悪循環に転じかねない。それが現実化すれば人道を重んじる考えの全般的な後退につながり、長崎、広島にとっても極めて深刻な事態となる。悪循環を避けるには、それぞれの「地獄」があった場所で記録を残し記憶を継承して、互いに力を合わせて「地獄」の再来を防ぐための発信や行動を強めていく必要がある。

 ただ、世界への発信や行動の説得力を高めていくには、なぜ原爆が投下されたのか、なぜアジア太平洋が戦場と化したのかといった問いに、被爆地自身が真摯に向き合うことも欠かせない。あの大戦に対する歴史認識によって原爆投下の評価が左右されている現実は、時間の経過が消してくれるものではない。「長崎を最後の被爆地に」との発信や行動の説得力は、80年をどう迎えるのかという問題に直結している。

 以上のような点も踏まえたうえで長崎、広島には、紆余曲折を経ながらもこの80年近くの間に強まってきた人道の流れを強めていく使命がある。ふたつの被爆地が互いに連携・協力することにとどまらず、ホロコーストや無差別爆撃、さらにはその他の人道の名に反する戦争・紛争の現場となった街、人々と交流して、対話への新たな機会への道を開くことが大切である。対話は時に、共通の未来を築くための痛みを伴う作業だが、その痛みに真正面から向き合ってこそ、被爆地からの呼びかけは普遍性が高まる。被爆地の先導で対話の機会を広く開き、多様なネットワークを形成して未曽有の殺戮となったあの大戦の正体を語り継ぎ、現在・未来の和平や停戦につながるような発信、行動につなげたい。ひとつひとつの積み重ねを通じ、人道の後退を許さずに前進させていく市民社会の国際的なエンパワメント(湧活)に貢献していくべきだろう。その道が「核兵器のない世界」にもつながっていく。

 被爆地が今後担っていくべき使命を念頭におきながら、長崎ができること、やるべきことを以下で例示的に提言する。

(1)核兵器の問題に直接かかわらない場合であっても長崎市や長崎県などは、ウクライナやガザ地区で確認されているような人道に反する行為に対して、国際機関やNGO、自治体などと連携しながら即時停止を求めるメッセージを発信する。

(2)対話なくして真の平和は生まれない。歴史の「負の遺産」も直視しながら、対話を通じて未来志向を模索するしか手立てはない。人道を重んじる「対話の場」としての役割を今、被爆地が先導して果たしていかなければならない。

(3)長崎平和祈念式典には多くの国や国際機関などから、影響力ある立場の代表が参加する。できるだけ多くの代表を招き、平和と人道に思いをいたしながら対話の機会として活かしてもらう。式典参加については、戦争・紛争中かどうかに関わらず、基本的にはどの当事者、とくにいずれの国にも門戸を開いておくべきである。

(4)歴史の記憶・継承に向けて、ホロコーストや無差別爆撃、さらにはその他の人道の名に反する戦争・紛争の現場からの代表も招待する。長崎訪問の際に他のパートナーと力を合わせてイベントを共催する。

(5)根深い対立が残る国や地域のリーダーや若者らの被爆地訪問の機会を増やし、平和・軍縮教育のさらなる拡充も進める。

 


1 NHK映像の世紀(5)「世界は地獄を見た 無差別爆撃、ホロコースト、原爆」を参照https://www.nhk.jp/p/ts/4NGRWX2RRL/episode/te/7KZQQNJ9Y5/

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2024年6月7日

この特別論文は、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。

 

東アジアの同盟ジレンマ:拡大核抑止のリスクに関する市民意識
 
Lauren Sukin and Woohyeok Seo


「北東アジアにおける核使用リスクの削減にむけて」(NU-NEA)プロジェクト
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
アジア太平洋核不拡散・軍縮リーダーシップネットワーク(APLN)
ノーチラス研究所
 
2024年6月7日

 

NU-NEAプロジェクトでは、地域における核使用リスク削減にむけて政策提言をまとめたが、その一環として重要課題について専門家に委託した論文の中で、すでにJournal for Peace and Nuclear Disarmamentに発表されたものを公表する。

 

要  旨

東アジアにおける急速に変化する安全保障環境の下で、地域の各諸国において「核の不安」が台頭しているのが見て取れる。拡大する核の脅威や核拡散リスクに対する米国同盟諸国市民の懸念は、東アジアにおける米国の外交政策形成に決定的な影響を与える。したがって、本論文が掲げる問は以下の様なものである:東アジアにおける不安を増大させているものは何か?それに対し米国はどうすれば効果的にその不安を解消できるか? 本論文では「核の不安」を、同盟国間に存在する「放棄」や「罠」の力学、さらには地域独特の安全保障構造、そして東アジアにおける「ハブと分散拠点」のネットワーク・システムの中で位置づけて分析する。地域核政策にとっての「核の不安」の意味をより理解するために、2023年6月に東アジアの米国同盟諸国5か国において、独自の世論調査を行った。5か国は、オーストラリア、インドネシア、日本、韓国、台湾である。世論調査の結果、核兵器の「罠」と「放棄」の両方の力学と、各国における独自の核兵器プログラムに対する混在する関心が存在することが明らかとなった。さらに、東アジアの市民が、地域の核の不安を解消するための米国の政策選択肢を、どのように評価しているかも明らかにした。

キーワード: 核兵器、同盟、東アジア、核拡散、安全保障

著者紹介
ローレン・スーキン氏は、英国ロンドン経済・政治学スクール、国際関係学科の国際関係助教授である。ウーヒョク・ソウ氏は、同国際関係学科の博士課程学生である。

この論文は本人の分析であり、所属機関の研究とは無関係である。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

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2024年6月5日

『世界の核弾頭データ』2024年版   全リスト

2024年版の『世界の核弾頭データ』ポスターを公開しました。サムネイル画像をクリックしてご覧ください。[PDF: A3サイズ印刷可]

日本語版 英 語 版 韓国語版
       
2024年6月 NuclearWH_2024_JPN NuclearWH_2023_ENG NuclearWH_2024_KOR

私たちの住む「核兵器のある世界」の現状をより的確に、かつわかりやすく伝えるために、核兵器廃絶長崎連絡協議会(PCU-NC)と長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、2024 年版「世界の核弾頭データ」ポスターの大幅なリニューアルを行いました。(詳細は下記「資料1」参照)
 

ポスターの「解説リーフレット」と「デジタル解説:核兵器について考えよう」も公開しました。

◆ 各国の詳細なデータは「世界の核弾頭一覧」からご覧いただけます。

◆ 記者会見時(2024年6月5日)の配付資料
・資料1リニューアル版解説
・資料1-別添1 図1~4
・資料1-別添2 世界の核弾頭一覧表
・資料22024年版 核弾頭データ追跡チーム
 

◇ 過去の『世界の核弾頭データ』は[全リスト]からご覧いただけます。
 


◆『世界の核物質データ』2024年版も公開しました。
  世界の核物質一覧2024
 

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『世界の核物質データ』2024年版   全リスト

今年も昨年と同様、高濃縮ウラン(HEU)の総量は減少し、分離プルトニウムの総量が増加したために、全体として増加傾向が続いています。高濃縮ウラン(HEU)の総在庫量は1,255トン、19,610発分(昨年より5トン、約70発分減少)となりました。しかし、分離プルトニウムは全体的に増加傾向が続き、特に民生用のプルトニウムが7トン増加したため、総在庫量は560トン、93,270発分(昨年より8トン、約1,270発分増加)となりました。その結果、総量は112,880発分となり昨年(111,680発分)より約1,200発分の増加となりました。(詳細は下記「資料1」以下参照)
 

◆ 右の2つの画像はクリックすると拡大します。以下のPDF版も閲覧・ダウンロードできます。

核物質の保有マップ(PDF)

核物質の保有総量(PDF)

◆ 核物質保有マップの元となったデータは次からご覧いただけます。
分離プルトニウム保有量一覧(2024年6月)
高濃縮ウラン保有量一覧(2024年6月)

◆ 記者会見時(2024年6月5日)の配付資料
・資料1 2024年版『世界の核物質データ』解説
・資料2 各国の最新状況:2023年6月~2024年5月
・資料3 核物質 Q&A
・資料4 2024年版 核物質データ追跡チーム
 

◆ 過去の『世界の核物質データ』は[全リスト]からご覧いただけます。
 

[⇒ English: in preparation]


◆『世界の核弾頭データ』2024年版も公開しました。
  世界の核弾頭一覧2024
 

Category お知らせ
2024年4月26日

第3回「核なき未来」オピニオン募集! [ENG]
「核兵器に頼る国のリーダーへ ―今、あなたなら何を訴えますか?―」

オピニオン募集チラシ(PDF)

ウクライナ、ガザの戦闘は未だ終わりを見せず、核戦争の火種が各地でくすぶり続けています。こうした中、2024年は、米国、ロシアの大統領選を筆頭に、核政策に大きな影響を与えうる国際的な「選挙イヤー」となりました。日本も解散総選挙の可能性があります。

核兵器を巡る危機的な情勢の中、今、核兵器に頼る国のリーダーにメッセージを送るとしたら、あなたなら何を訴えますか?核兵器保有国(※1)あるいは「核の傘」の下の国(※2)のリーダー(一人でも、複数でもかまいません)に宛てたメッセージを書いてみてください。


「U-20」(16歳以上20歳未満)、「U-30」(20歳以上30歳未満) の2つの部で、「核なき未来」に関するオピニオンを募集します。2024年のテーマは「核兵器に頼る国のリーダーへ ―今、あなたなら何を訴えますか?―」です。

最優秀賞と優秀賞を各部1名ずつに授与します。最優秀賞受賞者は長崎での授賞式(2024年9月21日(土))に招待します。また、最優秀受賞オピニオンは長崎新聞に掲載されます。

※1:ロシア、米国、中国、フランス、英国、パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮
※2:日本、韓国、オーストラリア、NATO非核兵器国(ベルギー、カナダ、デンマーク、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、トルコ、ギリシャ、ドイツ、スペイン、ポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、フィンランド、スウェーデン)、ベラルーシ(ウクライナ侵攻後、ロシアは核兵器を配備したベラルーシにも核の傘を供与していると述べています。したがって、今回はベラルーシも対象国とします。)

【応募について】
資  格:
① U-20の部(16歳以上20歳未満)
② U-30の部(20歳以上30歳未満)
 (2024年7月31日時点の年齢)
  居住地・国籍は問いません。
方  法:
下記の書類をPDF形式で、下記宛先まで一括してE-mailに添付し提出してください。
(1)応募申請書  1部 [様式]※ダウンロード用
(2)オピニオン  1部
※日本語又は英語。日本語2000文字程度、英語1000ワード程度。
※オリジナル・未発表に限る。
※「核兵器保有国」あるいは「核の傘」の下の国のリーダー(一人でも、複数でも可)に宛てたメッセージの形式をとること。どのリーダーに宛てたメッセージであるかをタイトル、あるいは文中で明確にすること。
※授業の一環などで、学年、クラスでまとめて応募する場合は、学校側で推薦作品を少数に絞って応募すること。
応募期間:
2024年5月1日~7月31日(必着)
提 出 先:
opinion@ml.nagasaki-u.ac.jp
※提出後1週間しても受領のお知らせが届かない場合は、下記【お問い合わせ先】までご連絡ください。【お問い合わせ先】のメールアドレスでは応募は受け付けませんのでご注意ください。

 

【賞品・副賞】
U-20の部:
・最優秀賞 1名: 記念盾、副賞賞金3万円、長崎での授賞式に招待(国内受賞者のみ)
・優秀賞1名: 記念盾、副賞賞金1万円
U-30の部:
・最優秀賞 1名: 記念盾、副賞賞金5万円、長崎での授賞式に招待(国内受賞者のみ)
・優秀賞1名: 記念盾、副賞賞金3万円

 

【選考と発表】
選  考:
審査委員会による厳正なる審査の上、最優秀賞2名、優秀賞2名を選定します。
審査委員会:
青来 有一(芥川賞作家)審査委員長
グレゴリー・カラーキー(RECNA外国人客員研究員)英文審査小委員会委員長
山田 貴己(長崎新聞社取締役編集局長、RECNA客員教授)副委員長
中村 桂子(RECNA准教授)副委員長
鈴木 達治郎(RECNA教授)
中村 涼香(KNOW NUKES TOKYO共同代表)
畠山 澄子(ピースボート共同代表)
村上 文音(ナガサキ・ユース代表団9期生)
審査基準:
以下の項目で審査を行います。
①論理が明確で矛盾がないこと、②事実に基づくこと、③独創性があること、④表現力があること
発表・授賞式:
2024年9月21日(土)13:00~14:00 於:長崎大学
最優秀オピニオンは後日、長崎新聞に全文を掲載します。最優秀賞・優秀賞を含め受賞作品はRECNAウェブサイトに公表します。
※応募作品の著作権は応募者に帰属しますが、受賞作品の二次利用(掲載、出版など)は主催者(RECNA)に帰属します。
主  催: 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
協  力: 長崎新聞社
後  援: 長崎県、長崎市、KTNテレビ長崎、NBC長崎放送、NCC長崎文化放送、NHK長崎放送局、NIB長崎国際テレビ
※本事業は長崎大学核兵器廃絶研究センター寄附金により運営されています。

 

【お問い合わせ先】
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
TEL:095-819-2164
E-mail: recna_staff@ml.nagasaki-u.ac.jp
Website: https://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/recna/

 

2024年4月19日

この特別論文は、RECNA、ノーチラス研究所アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。

 

包括的安全保障へのロードマップ再訪:
朝鮮半島における戦争リスクを削減するために

 
Leon Sigal, Morton Halperin, Peter Hayes,
Chung-in Moon, John Delury, Tom Pickering


「北東アジアにおける核使用リスクの削減にむけて」(NU-NEA)プロジェクト
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
アジア太平洋核不拡散・軍縮リーダーシップネットワーク(APLN)
ノーチラス研究所
 
2024年4月19日

 

NU-NEAプロジェクトでは、地域における核使用リスク削減にむけて政策提言をまとめたが、その一環として、重要課題について米ノーチラス研究所が発表した論文を、同研究所の好意により、本プロジェクトの成果として、ここに掲載する。

 

要  旨

本論文は、北東アジア地域の緊張を緩和させ、戦争を防止し、核戦争の脅威を根絶させることを含め、平和構築のための協力的安全保障の道にふたたび関係諸国を巻き込むために、北東アジアにおける「包括的安全保障」の概念を改めて検証するものである。第1節では、過去5年間で地域の安全保障環境が悪化している状況を解説する。第2節では、北朝鮮の核開発が地域にとって最大の脅威となっていることを説明し、著者たちが「包括的安全保障」を提唱した2018年当時と比べ、より間接的なアプローチを必要としていることを示す。第3節では、いかに南北朝鮮関係が敵意に満ちた関係に陥ってしまったか、そしてそれが急速に深刻な紛争に拡大していく可能性や、両国が外的な安全保障の変化と国内状況に応じたために、両国間の協力、情報共有などのチャネルがほとんど崩壊してしまっていることを分析する。第4節では、地域の緊張緩和につなげる4段階の行動、とくに朝鮮半島における行動、を提案する。具体的には:
1) 米中は下記の行動を暗黙の了解のもとで実施する。米国は韓国に対し、北朝鮮への敵対的行為や威嚇を抑制するよう要請し、中国は北朝鮮に対し、威嚇行動、特に核使用の威嚇を抑制するよう要請する。
2) 米国は北朝鮮に対し、一方的に安全の保障を明示し、中国は韓国に同様の意思表示を行う。
3) 米国は、中国に対し、「核兵器の使用は許されないものである」こと、そして地域の核保有国に対し、核態勢の見直しを含めた非核兵器地帯設立に向けた対話を始めることについて共同声明を出すことを提唱する。
4) 米国と韓国は、北朝鮮に対し、核開発を抑制することの利益を明確に示す。北朝鮮にとってのメリットとしては、安全保障の向上、先進情報技術や宇宙サービスへのアクセス、地域やグローバルな体制への組み込みとそれによる国際的地位の向上などがあげられる。
 第5節では、結論として、「抑止の強化」は悪循環を呼び、その結果戦争の抑止どころか戦争の可能性を高めてしまうことを示す。朝鮮半島における緊張緩和の向上は、北東アジアの他の地域における協力的安全保障を促進し、朝鮮半島の非核化と包括的な安全保障の実現に必要な状況を再び作り出すことにつながるだろう。

キーワード: 包括的安全保障、協力的安全保障、緊張緩和、非核兵器地帯

著者紹介
レオン・シガール氏(Leon Sigal)は、北東アジア協力的安全保障プロジェクトのリーダー。モートン・ハルペリン氏(Morton Halperin)は、外交及び市民権・自由の米国の専門家。ピーター・ヘイズ氏(Peter Hayes)はノーチラス研究所所長で、シドニー大学国際安全保障研究センターの名誉教授。文正仁氏(Moon Chung-in)は、韓国延世大学政治学名誉教授、ジョン・デルーリ氏(John Delury)は、韓国延世大学中国研究准教授、トーマス・ピカリング氏(Thomas Pickering)は、元米国大使。

この論文は本人の分析であり、所属機関の研究とは無関係である。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

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