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2020年10月6日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


米大統領・議会選挙とポスト・パンデミック時代の世界の核秩序
 
Leon Sigal

(要旨)
 米国の政治力と威厳はここ数年減少してしまったかもしれないが、国際機関・制度、同盟関係、そしてマスメディアでは依然重要な役割を演じている。したがって、だれが次の米国大統領に就任するか、そしてどちらの政党が議会を支配するかは、世界の核秩序にとって極めて重要だ。しかし、可能性が低いものの、もしドナルド・トランプが選挙結果に抵抗して今の地位にとどまることに成功するようなことがあれば、失望した選挙民による強烈な反対運動が暴動化する可能性は否定できない。
 核兵器問題は、専門家が考える難しい問題だと、多くの人が考えている。大衆運動は政策変更を必ずしも保証するものではない。しかし、最近の3つの有意義な出来事を思い出してほしい。部分的(地上)核実験禁止条約、中距離弾道ミサイル(INF)全廃条約、そしてベルリンの壁崩壊、これらは多くの国における大衆運動がなければ実現しなかった。NGOが組織する市民運動は、一部の国における核兵器開発や政府間合意の監視を推進する役割を果たしてきたのである。
 新型コロナ感染症(COVID-19)、経済不況、人種差別、気候変動といった問題に、一般市民が関心を集めているのも無理はない。しかし、その影響もあって、質的な核軍拡により危機管理の安定性が損なわれ、それを防ぐための軍縮分野の国際協力が阻害されていることは問題だ。一方で、トランプ大統領がもたらした、二つの良い影響は今後とも継続する可能性が高い。トランプ大統領は、そもそもどんな戦争にも米国が巻き込まれるのを望んでいないため、核戦争に導くような対立をさらに悪化させることはしないだろう。また、北朝鮮の核開発を抑制するための交渉も継続するだろう。ただし、北朝鮮の厳しい要求をトランプ大統領が飲む覚悟があるとは思えない。
 対立候補である、ジョー・バイデン氏も、トランプ大統領と同様の難しい課題に直面するだろう。人事こそが政策そのものであり、バイデン政権が誕生すれば、オバマ前大統領時の政府高官が再びスタッフとして就任するだろう。ということは、同盟関係を重視し、国際協力を進める政策に戻るということだ。バイデン氏がオバマ前大統領時代の「核兵器近代計画」を抑制するかどうかはわからない。しかし、トランプ氏とは異なり、イラン核合意(JCPOA)を復活させるために最善を尽くすだろう。そうなれば、イランの核開発を抑制するのみならず、サウジアラビアの核開発も抑えることにつながるだろう。また、新戦略兵器削減条約(新START)も延長する方向で努力するだろうし、中国とも技術的な対話をはじめ、オープンスカイ条約も破棄することはないだろう。

キーワード: バイデン、トランプ、危機安定性、国際環境、イラン核合意(JCPOA)、新戦略兵器削減条約(新START)、核軍拡競争、オープンスカイ

著者紹介: シーガル博士は、米ニューヨークにある北東アジア協調安全保障プロジェクトのディレクター。過去20年以上にもわたり、北朝鮮とのトラック2(非政府機関による外交)に参加してきた。1985―95年ニューヨーク・タイムズ紙の論説委員。1979年米国務省政治軍事局の国際情勢フェロー、1980年は同局長の特別補佐を担当。1972-74年ブルッキングス研究所外交研究部門ロックフェラーヤング・スカラー。この他、過去プリンストン大学、コロンビア大学等でも教鞭をとっている。主要著書に、”Fighting to a Finish: The Politics of War Termination in the United States and Japan, 1945”, “Disarming Strangers: Nuclear Diplomacy with North Korea”,などがある。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

Category お知らせ
2020年9月24日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


インドとパキスタン間の地域核戦争の影響: 二つの見方
 
G. D. Hess

(要旨)
広島型原爆100発ほどを使用すると仮定した、インドとパキスタン間の地域核戦争がもたらす影響について、相反する二つの研究結果が存在する。ミルズ等(2014)の結論は、「世界規模の『核の冬』が起きうる」、というものであり、ライズナー等(2018)の結論は、「『核の冬』はおそらく起きない」というものであった。本論文は、この二つの異なった結論に至った、二つの研究の「異なる前提」について論じたものである。特に、気候変動モデルに使用される黒色炭素(ブラックカーボン)の量と位置と、その入力モデルの相違について分析した。また、その相違の背景や理由についても論じた。その中には、核兵器が人口密集地に落とされた後、どのような火事が起こるか、といった問題も含まれている。また、本論では、両研究が考慮に入れていなかった物理的な現象についても、短く論じている。その結果、限定的な核戦争のもたらす気候への影響については、さらなる研究が必要であり、どういった研究課題が必要かを最後に論じている。

キーワード: 核の冬、モデルの不確実性、灰の発生、火災旋風

著者紹介: ヘス博士は、米国生まれ。米国にて気候科学を学ぶ。1970年にオーストラリアに移り、境界層気象学の研究に従事。大気圏の最も低い地域(数キロメートル)における、物理、化学、生物学的プロセスの分析を対象としている。15年前にオーストラリア気象局を退任し、メルボルン大学の前フェロー。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

Category お知らせ

It is published simultaneously by RECNA-Nagasaki University, Asia Pacific Leadership Network for Nuclear Non-proliferation and Disarmament (APLN), and Nautilus Institute and is published under a 4.0 International Creative Commons License the terms of which are found here.


The Impact of a Regional Nuclear Conflict between India and Pakistan: Two Views
G. D. Hess
 
A Working Paper presented to
The 75th Anniversary Nagasaki Nuclear-Pandemic Nexus Scenario Project

 

About the Author

G. D. Hess was born in the United States where he studied atmospheric science. He came to Australia in 1970 and has worked in the area of Boundary-Layer Meteorology, which covers the physical, chemical and biological processes occurring in the lowest few kilometres of the Earth’s atmosphere. He retired from the Bureau of Meteorology 15 years ago. He is a former University Fellow at the University of Melbourne.
 

Abstract

The severity of climatic effects of a regional nuclear conflict between India and Pakistan, involving the use of a hundred Hiroshima-scale nuclear weapons, is contested between two groups; Mills, et al. (2014) conclude that a global Nuclear Winter would occur; Reisner, et al., (2018) conclude that No Nuclear Winter would occur. This paper discusses the different assumptions that lead to the two different conclusions. Specifically, it highlights the use of different fuel loading and different input methods for the amount and initial location of black carbon (BC) into the climate models, and discusses some underlying reasons for these different choices, including the question of what kind of fire will occur in the aftermath of a nuclear weapon being dropped on a densely populated city. The paper also briefly discusses some physical phenomena that have not been considered by either group and lays out some questions for research before any definitive conclusion about the climatic effects of a limited nuclear war can be reached.
 

Keywords
Nuclear Winter, model uncertainty, soot-generation, firestorm
 

Full text (PDF) is here.

Category PSNA News
2020年7月30日
日 時:    2020年6月27日(土)13:30~15:00
場 所:    長崎原爆資料館ホール + オンライン(Zoom)でライブ配信
講 師:    広瀬  訓 (RECNA副センター長)
中村 桂子 (RECNA准教授)
パネリスト:    ナガサキ・ユース代表団第8期生
谷口 萌乃香、 中村 楓、 三宅 凜
主 催:    核兵器廃絶長崎連絡協議会(PCU-NC)
共 催:    長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)

 

講演をする広瀬副センター長 講演をする中村准教授
講演をする広瀬副センター長 講演をする中村准教授
ユース8期生(中村、谷口、三宅) ライブ配信のようす
ユース8期生(中村、谷口、三宅) ライブ配信のようす

今回は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当初予定していた国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館交流ラウンジから会場を変更するとともに、Zoomを用いたオンラインでのライブ配信もあわせて実施しました。

初めに、広瀬副センター長が「NPTの現状と課題」について、NPTが発効して50年たった今の課題やその限界にふれ、日本の立ち位置を示しました。そして、国の事情でいろいろな問題を包み込んできたNPTという枠組みが、人の命と尊厳を基準に据えて見直した時、その欠点が露わになったのではないか、と指摘しました。

次に、中村准教授は「NPT・核兵器禁止条約・市民社会」と題し、核弾頭数の推移や、「核兵器廃絶」等の言葉が登場する新聞記事数の推移から、核をめぐる危機感が日本で共有されていないことを示しました。そして、原爆資料館の入り口に掲げられた「長崎からのメッセージ」にふれ、アフターコロナの今だからこそ、骨太のメッセージを発信していくことが、NPTの成功や核兵器廃絶の歩みを進めることに繋がっていくのではないか、と述べました。

パネル討論では、広瀬・中村両講師とナガサキ・ユース代表団の3名が意見交換し、講演に関する質問や若者からの率直な意見について話し合いました。最後の質疑応答は、会場からは勿論、オンラインからも参加して、熱い意見交換となりました。講座には約140人(会場に約100人、オンラインで40人)の方が集まりました。

ライブ配信された動画
配布資料1:   NPT再検討会議へ向けた課題:その現状と問題 広瀬訓 (PDF)
配布資料2:   NPT・核兵器禁止条約・市民社会~〈今〉をどう活かすか~ 中村桂子 (PDF)

 

※本講座の内容は、講演者及び対談者個人の意見を表すものであり、主催団体及び共催団体等の見解を示すものではありません。

>>2020年度の市民講座について

Category お知らせ
2020年7月16日

【活動報告会】For Our Future 人類みなヒバクシャになり得る 人類みなヒバクシャを生み得る

チラシ (PDF)「ナガサキ・ユース代表団」 (主催:核兵器廃絶長崎連絡協議会)の第8期生7名は、核兵器の問題をより多くの人に自分事として捉えてほしいと活動してきました。

新型コロナウイルスの影響でNPT再検討会議への派遣が中止となった中、NGO関係者や若者らとの意見交換を通じて、7人は何を学び、想い、考えたのでしょうか。

ぜひ、その「生」の声をお聞きください!

★ 会場は事前登録不要で入場無料です ★

日時:2020年7月25日(土) 14:00~15:30
場所:長崎大学文教キャンパス グローバル教育・学生支援棟4階 スカイホール
※ 専用駐車場はございませんので、当日は公共交通機関をご利用ください。

文教キャンパス案内][チラシ

また、本報告会では、会場においでいただけない方々のために、ビデオ会議ツール「Zoom」を使って、オンラインによるライブ配信も行います。

★ Zoomでの視聴には事前登録が必要です ★

こちら から事前登録をお願いします。
(締め切り: 7月24日16時)

オンラインによるライブ配信を視聴するためのURLは後日お送りしますので、届いていない場合は、お問い合せ先(Email: nagasaki.youth8th@gmail.com)へご連絡ください。

主催:核兵器廃絶長崎連絡協議会 (PCU-NC)
協力:長崎大学核兵器廃絶研究センター (RECNA)

 

Category お知らせ

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