「CTBT機関トート事務局長、長大生と語る—私たちにできることは?—」
日時: | 2012年8月10日(金) 午後4時~6時 |
場所: | 長崎大学 医学部 良順会館 |
主催: | 長崎大学、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) |
後援: | 長崎県、長崎市 |
企画・運営: | RECNA学生サポーターズ |
![]() |
![]() |
![]() |
集会冒頭で挨拶をする片峰学長 | 講演をするトート事務局長 | グループディスカッションの様子 |
![]() |
![]() |
グループディスカッションに参加するトート事務局長 | RECNA学生サポーターズ |
長崎原爆忌の翌8月10日、包括的核実験禁止条約(CTBT)機関準備委員会のティボル・トート事務局長をゲストに迎え、対話集会「CTBT機関トート事務局長、長大生と語る―私たちにできることは?―」を開催いたしました。
CTBTは、核兵器廃絶に向かう重要なステップの一つです。しかし、条約成立から16年が経過した今も、発効要件国である44か国すべての批准が済んでおらず条約は発効していません。一方、その準備作業を担っているCTBT機関(ウィーン)は、発効とともにCTBTの要である検証体制が機能するように、地震波、水中音波、放射性物質等の監視観測を通じて、核実験が行われていないかを24時間365日チェックする国際監視網の整備を世界中で進めています。また、CTBT機関は、こうした取り組みについて広く専門家、一般に普及させる教育活動にも力を入れています。このように、CTBT機関の活動には、工学、環境、水産、医学、教育といった長崎大学の学生が日々学んでいる様々な分野が関係しているのです。
こうした背景から、今回の対話集会では、長大生を中心とした10数名の「RECNA学生サポーターズ」が企画運営を担い、約2か月にわたり周到な準備を重ねてきました。サポーターズの学生がファシリテーターを務めるグループ・ディスカッションなども学生のアイデアから実現していったものです。
当日の会場には多くの若者の姿が見られました。参加者総数は120名。内訳としては、RECNA学生サポーターが14名(高校生2名含む)、サポーター以外の長大生が11名、他大学生が27名、高校生1名、一般参加が52名。東京大学、明治学院大学、明治大学、京都大学、文教大学など、長崎以外の大学からも多数参加があったことも特徴の一つです。
なお、対話集会に先立ち、トート事務局長は、同行の香川美治事務局長特別補佐官、キルステン・グレゴリッチ・ハンセン報道官とともに、長崎大学の片峰茂学長に表敬訪問しました。また、長崎の証言の会の森口貢事務局長ほか、4名の被爆者の方々とも面談を行いました。
ポスター869KB
6月末、ワシントンで、2010年NPT再検討会議で核兵器保有5カ国(P5)に課せられた義務の履行をフォローする第2回目のP5会議が開催されました。その共同声明を全訳し掲載しました。
>>詳しくはこちら
「核兵器廃絶研究センター開設記念シンポジウム」を発行しました。
>>詳しくはこちら
過去15年にわたって「空転」し、実質的に何の進展も見られなかったCDであるが、国連総会等において、CDの根本的な見直しの必要性の声が上がり始めているにもかかわらず、今年も第1会期(1月23日~3月30日)からあまり具体的な進展の見通しが立たないままであった。そして、その暗い予想は残念なことに現実になりつつある。
5月14日から6月29日にわたって開催された第2会期においては、計8回の全体会合(Plenary Meeting)が開かれたが、何一つ具体的な合意に至らず、またしても議題の採択すらできずに会期を終える結果となってしまった。8回の全体会合は次の通りであった:
5月14日 第2会期の作業について
5月22日 「核軍縮」について
5月31日 「兵器用核分裂性物質の生産停止」について
6月 5日 「宇宙での軍備競争の防止」について
6月12日 「非核兵器国への安全保証」について
6月14日 「CDの再活性化」について
6月19日 「核軍縮」について
6月26日 「兵器用核分裂性物質の生産停止」について
通常のCDの作業手順としては、まず第1会期のできるだけ早い時期にその年に具体的に検討する議題を選定し、選定した議題を集中的に検討するための特別委員会(Ad Hoc Committee)を設置し、実質的な協議や交渉は、定期的に開かれる全体会合と並行して開催される特別委員会で行われるのが一般的な慣行である。
全体会合では、一般的な意見表明が主に行われ、特に事前に発言を求める国が無い場合には、省略されたり、形式的に開会し、ただちに閉会して特別委員会に切り替えるような場合もあり、条約案の採択や交渉開始のような重要な決議が採択される場合を除けば、全体会合は、時折「セレモニー」と揶揄されることもあるように、形式的に政治的な声明を交換するだけに留まっているとみなされがちである。
しかし、CDでは具体的な議題の選定と特別委員会の設置について合意が成立せず、実質的な作業を開始することすら困難な状況が続いているのが現状である。今年も第2会期が終わり、全体の約2/3を過ぎたにもかかわらず、やはり議題の選定に合意ができなかった。2012年会期の開始直後から、数回にわたり議題の採択が試みられたが成功せず、第1会期の後半、3月14日には、今年検討すべき議題として「核軍縮」、「兵器用核分裂性物質の生産禁止」、「宇宙での軍備競争の防止」、「非核兵器国への安全保証」に関し、それぞれ特別委員会を設置し、また、「放射能兵器」、「包括的な軍縮プログラム」、「軍備の透明性」に関し、それぞれ特別コーディネーターを任命して各国の意見を集約する旨を主な内容とする議題案が議長を務めるエジプトから提案され、概ね支持されたものの、パキスタンが反対したことにより、結局コンセンサスが成立しないままに終わっていた。
それ以後は新しい議題案の提案はなく、第2会期では、全体会合で各回ごとのテーマを設定する形式で作業が進められており、各国が、「核軍縮」(5/22,6/19)、「兵器用核分裂性物質」(5/31,6/29)、「宇宙での軍縮」(6/9)、「非核兵器国への安全保証」(6/12)、「CDの再活性化」(6/14)について、率直に言って新味に乏しい、従来からの立場を繰り返す声明を述べるだけであった。そして、実質的な進展も、硬直状態を脱するための糸口もつかめないまま、第2会期は終了した。
第3会期に向けても、議題を採択し、実質的な協議を開始できるような展望は見えていない。2012年の作業の開始にあたり、国連の潘基文事務総長は、1月24日のCDに宛てたメッセージの中で、強い調子で「もし、(軍縮)会議が行き詰ったままであるなら、(国連総会は)軍縮の議題を前進させるために他の選択肢を検討する用意がある」、「軍縮の機運が盛り上がっている時に、軍縮会議は沈没の危機に瀕している」と警告を発した。もちろんCDのメンバーの間でも、第2会期中にEUを代表して、6月14日にデンマークが発言したように、このような膠着状態がこれ以上続けば、CDの存続自体が問われることになりかねないという危機感が広がりつつあることも事実である。
しかし、現在有力な議題の候補として挙げられている「核軍縮」、「兵器用核分裂物質生産禁止」、「宇宙での軍縮」、「非核兵器国への安全保証」そして「軍備の透明性」などは、いずれも、いくつかの国にとって、「自国の安全保障にとって死活的な重要性を持つ」とみなされている以上、簡単に妥協が成立するような状況ではない。まして、CDの規則が全会一致制を採用している限り、一カ国でも反対するメンバーがあれば、提案は否決されてしまうのである。これらの議題を採択し、具体的な条約策定へ向けての協議を開始するためには、様々な国が交渉開始の前提としている条件を何らかの方法でひとつひとつクリアーしてゆかなければならない。しかし、現況では、それらの取引条件が複雑に交錯し、多くの国が身動きが取れなくなっているのが実情である。それを一度丁寧に解きほぐし、最初から組み立てなおすという作業があるいは必要なのかもしれない。しかし、それを、そもそもそういう状況を引き起こしたCD自体に期待できるのか、正直なところ、CDの現状を見るにつけ、疑問である。潘基文事務総長が予告したような、国連による「荒療治」の時が刻々と迫ってきているように思えてならない。
5月20~21日、シカゴ(米国)で NATO(北大西洋条約機構)サミットが開催され、「防衛・抑止態勢見直し」(DDPR)が発表されました。重要文書なので、短い解説とともに全訳を掲載しました。
そうだったのか!!世界の核兵器
〜NPT再検討会議第1回準備委員会報告会〜
![]() |
![]() |
![]() |
会場の様子 | 核問題の現状を説明する中村桂子先生 | ゲストスピーカーの金マリアさん |
・日時: | 2012年5月31日(木)午後6時半~8時半 |
・場所: | 教養教育講義棟102番教室 |
・主催: | RECNA |
・スピーカー: ・モデレーター: |
金マリアさん(韓国)、調漸理事、 |
![]() ポスター ![]() |
5月31日、RECNAは「そうだったのか!!世界の核兵器~NPT再検討会議準備委員会報告会」を文教キャンパス内で開催しました。関心ある学生層との出会いの場になることをめざし、2015年核不拡散条約(NPT)再検討会議第1回準備委員会の報告を切り口に、核兵器をめぐる世界の<今>をわかりやすく解説する「核問題入門講座」の形をとりました。
モデレーターが投げかける「核問題に関する素朴なギモン」に対し、RECNAスタッフらがひとつひとつ丁寧に答えてゆく、というユニークな対話形式のセミナーには、午後6時半からという時間帯にもかかわらず、高校生、大学生を含むおよそ90名が参加しました。
RECNAスタッフとともに準備委員会に参加した韓国人の金マリアさんは、自らが核問題に関心を持つようになった経緯や、ウィーンに集結した世界の若者の活動を報告し、「私たちにもできることはある!」と同世代に力強いメッセージを投げかけました。終了後に回収されたアンケートの多くには、金さんのメッセージへの共感と、今後のRECNAへの期待が強く示されていました。
RECNAは一緒に活動を担ってくれる学生及び一般のサポーターを募集しています。
詳しくは「RECNAサポーター募集」まで。
![]() |
![]() |
![]() |
河野太郎PNND日本会長 | 平岡秀夫PNND日本会長代行 | 会場風景 |
核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本・RECNA共催
2015年NPT再検討会議第1回準備委員会(ウィーン)報告集会
・日時:2012年5月17日(木) 午後4時~5時 ・場所:衆議院第2議員会館 第4会議室(東京都千代田区永田町)
5月17日、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、「核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本」との共催で、4月30日~5月11日にウィーンで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議第1回準備委員会の報告集会を国会議員会館で開きました。PNNDは、80か国800人以上を擁する核軍縮・不拡散に関心を持つ国会議員の世界的ネットワークであり、その日本支部であるPNND日本には超党派の56名の国会議員が参加しています(2012年4月23日現在。(PNND日本について詳しくは、ホームページをご覧ください。) |
プログラム | |
---|---|
開会あいさつ | 河野 太郎 衆議院議員 (PNND日本会長) |
報 告 | 「NPT再検討会議準備委員会について」 中村 桂子 (RECNAセンター員、長崎大学准教授) 「PNND国際ネットワークの活動について」 梅林 宏道 (PNND東アジアコーディネーター、RECNAセンター長、長崎大学教授) 「報告を受けてPNND日本の今後の活動について」 平岡 秀夫 衆議院議員 (PNND日本会長代行、PNNDグローバル評議員) |
閉会あいさつ | 調 漸 (長崎大学 副学長) |
「RECNA市民データベース」に赤十字国際委員会(ICRC)関係文書(2011年国際赤十字・赤新月運動代表者会議決議、2010年赤十字国際委員会総裁演説)をアップしました。
「にゅうもん核軍縮・不拡散」に「NPTとは何か」をアップしました。