北朝鮮の核戦略:核ドクトリンの進化と今後の展望
Anastasia Barannikova
2024年2月28日
PSNA2では英文書籍「Getting to Zero in Northeast Asia: The Nuclear -Weapon-Free Zone as a Vehicle for Change」(仮題)の発刊を目指して研究活動を続けているが、その一環として、重要課題について専門家に特別論文を依頼した。本論は今年度唯一の特別論文である。
要 旨
過去10年間ほど、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、核兵器とミサイル技術開発で驚くような進歩を見せた。そのような進歩は、明確な核戦略と、国家安全保障政策に占める核兵器とその使用に関する明確なビジョンなしには実現しなかっただろう。事実、北朝鮮における核兵器の役割やその使用について、理解を深めるためには、核戦略の分析が必要となる。同時に、核戦略や核兵器・ミサイル開発がどのように進化していくかについての仮説は、プロバガンダを目的とした宣言的な政策等よりも、現実の戦略分析に基づくことが必要だ。そのために、北朝鮮の最も認められる核ドクトリンを明示し、技術的能力と合わせることによって、北朝鮮のハイブリッド核戦略(通常兵器と核兵器の複合戦略)の現実を明らかにし、将来の展望を示唆することとする。
キーワード:
北朝鮮、核戦略、核ドクトリン、技術能力、宣言的・運用教義、宣言的・内政的戦略
著者紹介:
アナスタシア・バラニコヴァ博士(Anastasia Barannikova)は、ADMネヴェルスコイ海洋大学(ウラジオストック、ロシア)の空間兵站研究所の研究員(Research Fellow)。同大学歴史博士号。博士の主要研究分野は北東アジアの地域安全保障と核不拡散問題、特に朝鮮半島、北朝鮮の外交及び国内政治、北朝鮮の核・ミサイルプログラムと核態勢、核ドクトリン。
この論文は本人の分析であり、所属機関の研究とは無関係である。
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