REC-PP-15
これからの軍縮教育:日韓の視点から(2022年3月)
中村 桂子, 李 起豪
[全文閲覧] ※引用元:http://hdl.handle.net/10069/00042186
本ポリシーペーパーは、2021年12月18日に行われた同タイトルの核兵器廃絶市民講座(主催:核兵器廃絶長崎連絡協議会、共催:長崎大学核兵器廃絶研究センター)の講演を基に、内容を大幅に拡充して講師2人(中村桂子、李起豪)が執筆したものである。
本文中にもあるように、李教授はこれまで多くの学生とともに長崎を訪問し、両国の若者が胸襟を開いて話し合う数々の素晴らしい機会を提供してくれた。なかでも、脱北者の若者と、韓国の大学生、そして長崎の大学生が一堂に会し、それぞれの文化の違いや平和についての想いを真摯に語り合った時のことは忘れられない。
李教授とは繰り返し、「お互いに学びあう」ことの重要性を話し合ってきた。日本と韓国の若者を取り巻く環境はけっして穏やかなものではない。安全保障をめぐる厳しい現実と、根深い両国の政治的対立は、若者たちの心にも暗い影を落としている。しかし希望はあると考える。私たちの取り組みは極めて小さい規模ではあったが、それでも「知る」ことから始まる交流は、学生たちの考えや姿勢に大きな変化をもたらしたことが見てとれたからだ。
ちょうどこのペーパーをまとめている時、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。世界はますます混迷を極め、人々は先の見えない恐怖と不安に包まれている。核使用の恫喝を行う大国の姿を前に、日本においても、自国の安全を守るためとして核兵器依存の強化を求める声が上がっている。
この状況を前に、教育の重要性を説くことは極めて迂遠な提案のように受け取られるかもしれない。しかしむしろこのような時代だからこそ、軍縮教育が本来持つ力を発揮させなければならないと考える。それは第1章で述べているように、「変革に向けて一人ひとりが力をつけていく」ことがこの時代において何よりも求められているからである。
軍縮教育という領域は、その大きな意義に反して、学術研究の対象としても、また体系的な実践においても、未だ発展途上にある。今後取り組んでいくべき課題は大きい。本ペーパーがその発展に少しでも資することができれば幸いある。
是非ご覧ください。
[全文閲覧] ※引用元:http://hdl.handle.net/10069/00042186
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