2020年9月24日

このワーキングペーパーは、「被爆75年記念事業 ナガサキ・核とパンデミック・シナリオプロセス」のために執筆されたもので、RECNA、ノーチラス研究所、アジア太平洋核不拡散・軍縮ネットワーク(APLN)のウエブサイトに同時に公開されます。国際著作権許可4.0 に基づいて公開されます。


インドとパキスタン間の地域核戦争の影響: 二つの見方
 
G. D. Hess

(要旨)
広島型原爆100発ほどを使用すると仮定した、インドとパキスタン間の地域核戦争がもたらす影響について、相反する二つの研究結果が存在する。ミルズ等(2014)の結論は、「世界規模の『核の冬』が起きうる」、というものであり、ライズナー等(2018)の結論は、「『核の冬』はおそらく起きない」というものであった。本論文は、この二つの異なった結論に至った、二つの研究の「異なる前提」について論じたものである。特に、気候変動モデルに使用される黒色炭素(ブラックカーボン)の量と位置と、その入力モデルの相違について分析した。また、その相違の背景や理由についても論じた。その中には、核兵器が人口密集地に落とされた後、どのような火事が起こるか、といった問題も含まれている。また、本論では、両研究が考慮に入れていなかった物理的な現象についても、短く論じている。その結果、限定的な核戦争のもたらす気候への影響については、さらなる研究が必要であり、どういった研究課題が必要かを最後に論じている。

キーワード: 核の冬、モデルの不確実性、灰の発生、火災旋風

著者紹介: ヘス博士は、米国生まれ。米国にて気候科学を学ぶ。1970年にオーストラリアに移り、境界層気象学の研究に従事。大気圏の最も低い地域(数キロメートル)における、物理、化学、生物学的プロセスの分析を対象としている。15年前にオーストラリア気象局を退任し、メルボルン大学の前フェロー。

英語版のみとなりますが、全文(PDF)こちら からご覧いただけます。

 

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