平和と軍縮における対話の大切さ(2025年度 第1回 核兵器廃絶市民講座)
2025年度 第1回 核兵器廃絶市民講座
□ 平和と軍縮における対話の大切さ
講 師: ロビン ガイス (国連軍縮研究所所長)
日 時: 2025年5月21日(水)18:00~19:30
会 場: ベネックス長崎ブリックホール国際会議場 +オンライン配信
主 催: 核兵器廃絶長崎連絡協議会
共 催: 長崎大学核兵器廃絶研究センター
★ 動画が公開されました。 動画(YouTube)へ
>> 2025年度核兵器廃絶市民講座(核兵器廃絶長崎連絡協議会HP)
『世界の核弾頭データ』2025年版 [全リスト]
2025年版の『世界の核弾頭データ』ポスターを公開しました。サムネイル画像をクリックしてご覧ください。[PDF: A3サイズ印刷可]
日本語版 | 英 語 版 | 韓国語版 | |
2025年6月 | ![]() |
![]() |
![]() |
2025年6月現在、ロシア、米国、中国、フランス、英国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国が保有する「現役核弾頭」の合計は9,615発です。これは前年から32発の増加であり、2018年に「現役核弾頭数」が増加傾向に転じて以降、合計364発の増加となります。
「現役核弾頭数」とは、核弾頭「総数」から「退役・解体待ち」弾頭を引いたもので、すなわち実際に配備中のものと、配備に備えて保管されている弾頭の合計を指します。『世界の核弾頭データ』ポスターでは、こうした実効的な核戦力をより的確に示す指標として、この「現役核弾頭数」に注目し、2024年版からはその点を前面に押し出したデザインに刷新しました。
◆ 各国の詳細なデータは「世界の核弾頭一覧」からご覧いただけます。
◆ 記者会見時(2025年6月4日)の配付資料
・資料12025年版「世界の核弾頭データ」解説
・資料1-別添1 図1~4
・資料1-別添2 世界の核弾頭一覧表
・資料22025年版 核弾頭データ追跡チーム
◇ 過去の『世界の核弾頭データ』は[全リスト]からご覧いただけます。
『世界の核物質データ』2025年版 [全リスト]
今年も昨年と同様、高濃縮ウラン(HEU)の総量は減少し、分離プルトニウムの総量が増加したために、全体として増加傾向が続いています。HEUの総在庫量は1,251トン、19,550発分(昨年より4トン、約60発分減少)となりました。しかし、分離プルトニウムはこれまでと同様増加傾向が続き、特に民生用のプルトニウムが4トン増加したため、総在庫量は564トン、94,050発分(昨年より4トン、約780発分増加)となりました。その結果、総量は113,600発分となり昨年(112,880発分)より約720発分の増加となりました。(詳細は下記「資料1」以下参照)
◆ 右の2つの画像はクリックすると拡大します。以下のPDF版も閲覧・ダウンロードできます。
◆ 核物質保有マップの元となったデータは次からご覧いただけます。
・分離プルトニウム保有量一覧(2025年6月)
・高濃縮ウラン保有量一覧(2025年6月)
◆ 記者会見時(2025年6月4日)の配付資料
・資料1 2025年版『世界の核物質データ』解説
・資料2 各国の最新状況:2024年6月~2025年5月
・資料3 核物質 Q&A
・資料4 2025年版 核物質データ追跡チーム
◆ 過去の『世界の核物質データ』は[全リスト]からご覧いただけます。
NPT Blog 2025
また、ナガサキ・ユース代表団第13期生も会議を傍聴し、現地での活動の様子などレポートしていきます。
フランシスコ教皇
核兵器廃絶に向けた道徳的灯台を偲ぶ
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)
2025年4月22日
フランシスコ教皇は、核兵器廃絶への努力における世界的な良心として記憶され続けるでしょう。教皇の言葉はまさに、世界中に響き渡っていました。
「原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています」1
この言葉は、2019年11月の広島と長崎への歴史的訪問の際に教皇が語られたもので、核兵器廃絶を求める国際的な運動における重要な節目となりました。
長崎原爆の爆心地に立たれた教皇は、今もなお軍縮の取り組みに響き続けるメッセージを発信されました。
「国際的な平和と安定は、相互破壊への不安や壊滅の脅威を土台とした、どんな企てとも相いれないものです」2
教皇は、恐怖と不信に依拠した核抑止による誤った安全保障を強く戒め、それが人々と国家間の真の対話を妨げると警告されました。教皇が呼びかけた「連帯と協力に基づくグローバルな倫理」は、信頼と対話、そしてお互いの尊重があってこそ平和は築かれるというRECNAの理念と響き合うものです。
教皇はまた、大量破壊兵器への莫大な資金の浪費を「神に歯向かうテロ行為」3と非難されました。彼の指導のもと、バチカン市国は核兵器禁止条約(TPNW)に署名・批准した最初の国の一つとなり、核廃絶に向けた人道的な取り組みに強力な道徳的正当性と国際的な注目を与えました。
長崎への教皇のご訪問は、被爆者ならびに核戦争の脅威なき未来を目指すすべての人々に希望をもたらしました。「平和の担い手」になるようにとの教皇の呼びかけを、RECNAも重く受け止め、今後も大切に引き継いで参ります。
教皇への追想を通じて、私たちの平和への決意がさらに強まり、核兵器の完全廃絶に向けた世界的な取り組みが新たな息吹を得ることを願ってやみません。
1 教皇の日本司牧訪問 教皇のスピーチ「平和のための集い」広島平和記念公園、2019年11月24日、https://www.cbcj.catholic.jp/2019/11/24/19823/
2 教皇の日本司牧訪問 教皇のスピーチ「核兵器についてのメッセージ」長崎・爆心地公園、2019年11月24日、https://www.cbcj.catholic.jp/2019/11/24/19818/.
3 同上
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、被爆80年における取り組みのキーワードとして対話を選び、ウェブサイト「対話プロジェクト」を開設いたしました。
≫ 対話プロジェクト ウェブサイト:https://recna-taiwa.com/
RECNAニューズレター Vol.13 No.2 (2025年3月31日発行)
![]() |
RECNA研究会報告「人間的価値と核廃絶」 - 樋川 和子 RECNA図書「核なき時代をデザインする」の出版 グローバルリスク研究センター キックオフシンポジウム SIPRI、UNIDIRとの連携強化;学術交流協定(覚書)に署名 2024年度核兵器廃絶市民講座 ナガサキ・ユース代表団 13期生 活動開始:13期生の声を交えて [全文閲覧] |
核廃絶への政治的アプローチを再考する(Rethinking a Political Approach to Nuclear Abolition)
George Perkovich, 吉田 文彦, 西田 充
米国ワシントンDCにあるカーネギー国際平和財団(CEIP)は、核軍縮・不拡散研究では世界屈指のシンクタンクです。 RECNAはこのCEIPと2年近くにわたって共同研究を進めてきました。その成果として、デジタル書籍「核廃絶への政治的アプローチを再考する」(英文タイトル: Rethinking a Political Approach to Nuclear Abolition)を出版いたしました。無料でご覧いただけます。
Rethinking a Political Approach to Nuclear Abolition【PDF】(言語:英語)
TPNW Blog 2025
⾧崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)は、このたび初めてTPNW締約国会議に研究活動として教員を派遣し、論点整理や課題、意義などについての発信をすることといたしました。
こちらからご覧ください。
核なき時代をデザインする ― 国際政治・核不拡散・国際法からみた現実的プロセス
吉田 文彦・遠藤 誠治・佐藤 丙午・真山 全【編著】
発 行: 早稲田大学出版部
ISBN: 9784657240088
出版年:2024年12月
吉田文彦、遠藤誠治、佐藤丙午、真山全編著「核なき時代をデザインする:国際政治・核不拡散・国際法からみた現実的プロセス」(早稲田大学出版部)が昨年末に刊行されました。筆者は合わせて12人で、RECNAからは吉田文彦の他、西田充、樋川和子、河合公明(執筆順)が入っています。
本書では、核兵器を含む軍縮が国際秩序の維持、持続可能な平和にとって大切な手段である点を世界の「共通認識」にするよう求めています。そのうえで、国際人道法、軍縮・環境関連の国際法、核のタブーなどの多面的な対応策で核兵器の役割を最小化し、核軍縮の加速と「ポスト核時代」の安全保障システムづくりの同時進行を促しています。加えて、核不拡散体制の強化・徹底をはかり、核廃絶後の核(再)武装を防ぐ検証・保障措置の整備が不可欠と指摘しています。そうした見取り図を念頭に置きながら、持続可能な核廃絶の達成に向けた15 の政策提言を示しています。
早稲田大学出版: [書籍紹介] 図書館所蔵: [大学図書館] [公共図書館] [地域図書館]