ひとつには、「国際人道法」という分野自体が、比較的新しい分野だということがあるのではないかと思います。また、第二次世界大戦後、「国際人道法」がまだ「戦争法」、「武力紛争法」と呼ばれていた時代には、「戦争を放棄した日本には、あまり関係の無い分野の国際法」だとして、関心を持ったり、専門に研究する人があまりいなかったのかもしれません。しかし、現在では、武力紛争の中だけでなく、より積極的に国際人道法の精神を核軍縮のような問題に反映させようとするような動きも世界的に高まっていますし、国際人道法を専門に研究しようとする若い人も増えてきています。国際法、特に国際人道は、仮に今の日本には直接関係しないと考えられる内容だとしても、「世界のルール」としては、きわめて重要なものですから、多くの人に関心を持って欲しいと思います。
(広瀬 訓)