6回目の北朝鮮核実験について
解説と見解
RECNA
2017年9月4日
2017年9月3日、北朝鮮は6回目の核実験を行った。北朝鮮政府は「大陸弾道弾ミサイル(ICBM)に搭載可能な水爆実験に成功」と発表しており、これまで以上の規模であったと推定されている。度重なるミサイル発射と核実験はとても許される行為ではないが、その対応には冷静な分析が必要だ。6回目となる北朝鮮核実験の意味と当面の対応について、簡単にRECNAの見解をまとめた。
1.核実験の技術的評価
核実験の地震規模としては、5.7(韓国気象庁)~6.3(米国地質調査所)(日本の気象庁は6.1)としており、最低の5.7でも、前回5回目(5.0)の数倍規模(50~100キロトン)と推定される。最大の6.3であると、さらにその10倍程度にまで拡大し、1000キロトン(メガトン)程度の大規模な爆発威力であった可能性も否定できない。そうなると、今回の核実験は「ブースト型原爆」ではなく「水爆」であった可能性もある。いずれにせよ、今回の核実験はこれまでで最大の爆発威力であったと判断できる。今後北朝鮮がICBMに搭載可能なレベルにまで核弾頭を小型化させることは時間の問題であり、早急な対応が求められる。
2.実験の狙い
ミサイル発射実験と相前後して実施した背景には、核兵器搭載可能なICBM開発に成功したこと(すなわち米国への核抑止能力を確立したこと)を誇示したかったものと考えられる。これは、いわゆる「レッドライン」(米国が軍事行動を起こすかどうかの判断基準)を超えかねない極めて危険な挑発行為といえる。その半面、米国を外交交渉に引き出す大きな賭けに出ているとみることもでき、冷静な分析も必要だ。
3.軍事衝突の回避を
最も懸念すべきことは、米国・北朝鮮の間での、意図せざる偶発的な軍事衝突である。日本、韓国は米国に対し、「圧力と対話」による解決へのアプローチをさぐるなかで、軍事圧力が偶発的な戦争につながらないよう強く要請すべきだ。また、万一衝突が起きたときには、それが拡大しないような危機管理対策を早急に日米韓、さらには中露も含めて検討すべきだろう。さらに、北朝鮮と国交のある欧州諸国などの力も借りながら、対話による緊張緩和の糸口を見つける努力を加速すべきだ。