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A/AC.281/WP.4
2013年6月27日
核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉を前進させる
諸提案を生み出すためのオープン参加国作業部会
ジュネーブ 2013年

核兵器のない世界に向けたビルディング・ブロック
(暫定訳)

オーストラリア、ベルギー、カナダ、フィンランド、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スウェーデンによる提出

基本理念
1. 国際社会は、核兵器のない平和で安全な世界という目標を共有している。諸国家には、その目標を達成するための手段または順序に関して相違があるかもしれない。しかし、核軍縮を前進させ、究極的には核兵器使用による壊滅的な人道的結果という危険性を取り除くために、国際社会は、相違点に焦点をあてるのではなく、この共通の目標に向けた具体的で実際的な「ビルディング・ブロック」を見出すことで共通基盤に焦点を当てるべきである。

2. 「ビルディング・ブロック」への焦点化は、「ステップ・バイ・ステップ」アプローチを追求する上でその補強となりうるものである。それは並行的、同時的な措置がありうることを見越している。核兵器のない世界の達成と維持に向けた究極的な手段が多国間的でなければならない一方で、効果的な軍縮には、多国間、複数国間、二国間または一国による、相互に補強された「ビルディング・ブロック」が不可欠である。軍縮と不拡散は同じコインの裏表を表すものであるから、核兵器の不拡散を確実にしていくことによって、適切な環境を生み出すことにもつながるだろう。

3. 1980年代の最大保有時以降の世界の核兵器備蓄における大幅な削減といった、過去の二国間および一国による「ビルディング・ブロック」に加え、核兵器のない世界を達成し維持することへの支えとなる、数多くの多国間的な「ビルディング・ブロック」が既に存在する。これらには、国際原子力機関(IAEA)の保証措置制度、部分的核実験禁止条約、宇宙条約、核不拡散条約(NPT)、海底非核化条約、包括的核実験禁止条約(CTBT)、核テロリズム防止条約、および多国間軍縮機関が含まれる。さらなる「ビルディング・ブロック」が必要である。

4. 我々の目標が効果的で検証可能、不可逆的な核軍縮であるならば、これには即効薬は存在しない。これが私たちの直面している困難な現実である。しかし我々は、着実な歩みを続ける努力をしなければならない。現在の国際環境の大勢を考慮するならば、多国間核軍縮の前進には実際的で効果的な信頼醸成措置を促進することが求められる。この目的に向けては、核軍縮のプロセス全体を遅らせてしまいかねない国際社会の分裂を回避することが必須である。多国間核軍縮プロセスは、とりわけ核兵器保有国を関与させることを通じて、可能な限り包含的でなければならない。さらなる信頼および信用のための環境構築は、こうした包含的プロセスを確保するために不可欠である。そのような信用は、核兵器保有国すべてによる具体的な軍縮措置の目に見える形での履行と、すべての非核兵器国による不拡散への継続的な誓約を通じて、構築されなくてはならない。

実際的措置
5. 核兵器のない世界を下支えするような、実際的だが具体的な、短・中期の多国間行動が数多く存在する。上記の基本理念に基づき、また、2010年NPT行動計画の履行への明確な焦点化およびそれらへの誓約に沿って作られたものである。措置を講じる必要性も可能性もあるこれらの措置には、以下のようなものが含まれる。

・核兵器または他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する検証可能で差別的でない条約の交渉で、その目的達成のためのあらゆる関連問題に対処したもの。
・そのような条約の交渉及び発効までの間、核兵器用の核分裂性物質の生産モラトリアムをすべての核兵器保有国が維持もしくは宣言すること。
・軍事目的ではもはや必要とされない核分裂性物質を指定すること。そのような核分裂性物質の不可逆的な除去を確実にするために、IAEAの文脈において、法的拘束力のある検証取り決めを策定すること。
・包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効。
・CTBTの発効までの間、核兵器実験に関するモラトリアムをすべての核兵器保有国が維持または宣言すること。加えて、新たな核兵器技術の使用、および、同条約の目標および目的を損なうようないかなる行為をも慎むこと。
・すべての核兵器保有国が、安全の保証に関する誓約を十分に尊重するか、または、未だ行っていない場合、そうした保証の供与を継続的に誓約すること。
・ジュネーブ軍縮会議において、他の核関連の主要問題も含め、実質作業に復帰すること。とりわけ、核軍縮に関連したもの、ならびに、非核兵器国に対して核兵器の使用もしくは使用の威嚇を行わないとの保証を与える効果的で制限を排した国際取り決めについて実質的に交渉すること。後者については、国際的に法的拘束力ある文書を排除せず、この問題のあらゆる側面を取り扱う勧告を検討することを視野に入れる。
・包括的な保証措置協定および追加議定書への普遍的な支持を含めた、国際原子力機関(IAEA)保障措置制度への支援および強化。
・核テロリズム防止条約の普遍化。
・核物質および核技術が平和目的で利用されることを保証するために、核軍縮に向けた技術的なノウハウも含めた、検証制度の開発についての作業の継続。

6. さらに、より多くの、一国による、二国間、または複数国間での行動が取られるべきであり、またそれは可能である。それには以下のようなものが含まれる。
・保有核兵器および備蓄する核分裂性物質に関する透明性の向上。
・核兵器または他の核爆発装置における使用のための核分裂性物質の製造施設の解体、あるいは平和利用への転換。
・配備された戦略核兵器の数の削減。
・非戦略および非配備の核兵器の数の削減。
・配備・非配備の核兵器の数を凍結するとの事前の誓約を伴った、複数国間または多国間の核削減交渉の推進。
・安全保障ドクトリンにおける核兵器の役割の低減、および、偶発的もしくは未承認の核兵器発射の危険性のさらなる低減。
・NPT普遍化の追求を含めた、非核兵器地帯の強化、および、新たな非核兵器地帯の創設。
・核兵器の使用による人道的結果を含め、軍縮・不拡散教育の推進。

7. 核兵器のない世界に向けた道筋の最後の局面において、多国間核軍縮枠組みあるいは核兵器禁止条約(NWC)がいかに最終的な「ビルディング・ブロック」として見なされるかについて、より長期的な視野でさらなる検討を加えることが必要とされるであろう。信用および信頼における環境の大勢は、そうした最終的措置の進展に影響を与えるものであり、我々が共通の目標に近づくにつれて、重要な考慮がなされなければならない。すべての国家、特に核兵器を保有する国々(しかしそれに限られない)は、そうした環境を形成する上での責任を有している。

(暫定訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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