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対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約

(前文)
締約国は、

毎週数百人の人々、主として罪のないかつ無防備な文民、特に児童を殺し又はその身体に障害を与え、経済の発展及び再建を妨げ、難民及び国内の避難民の帰還を阻止しその他の深刻な結果をその敷設後長年にわたってもたらす対人地雷によって引き起こされる苦痛及び犠牲を終止させることを決意し、

世界各地に敷設された対人地雷を除去するという目標に取り組み、及びこれらの対人地雷の廃棄を確保することに効果的なかつ調整の図られた方法で貢献するために全力を尽くすことが必要であると確信し、

地雷による被害者の治療及びリハビリテーション(社会的及び経済的復帰を含む。)に係る援助の提供に全力を尽くすことを希望し、

対人地雷の全面的禁止は信頼の醸成についての重要な措置にもなることを認識し、

過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約に附属する1996年5月3日に改正された地雷、ブービートラップ及び他の類似の装置の使用の禁止又は制限に関する議定書の採択を歓迎し、また、同議定書を締結していないすべての国による同議定書の早期の締結を要請し、

また、対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲を禁止する国際的な合意であって、効果的なかつ法的拘束力のあるものを精力的に追求するようすべての国に要請している1996年12月10日の国際連合総会決議第45S号(第51回会期)を歓迎し、

更に、対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲を禁止し、制限し又は停止するためにこの数年間にわたって、一方的に及び多数国間においてとられた措置を歓迎し、

対人地雷の全面的禁止の要請に示された人道の諸原則の推進における公共の良心の役割を強調し、また、このために国際赤十字・赤新月運動、「地雷廃絶国際キャンペーン」その他の世界各地にある多数の非政府機関が行っている努力を認識し、

対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲を禁止する国際的なかつ法的拘束力のある合意について交渉することを国際社会に要請している1996年10月5日のオタワ宣言及び1997年6月27日のブラッセル宣言を想起し、

すべての国によるこの条約への参加を奨励することが望ましいことを強調し、また、すべての関連する場、特に国際連合、軍縮会議、地域的機関及び集団並びに過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約の検討のための会議において、この条約の普遍化を促進するために精力的に努力することを決意し、

武力紛争の当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は無制限ではないという国際人道法の原則、武力紛争においてその性質上過度の傷害又は無用の苦痛を与える兵器、投射物及び物質並びに戦闘の方法を用いることは禁止されているという原則並びに文民と戦闘員とは区別されなければならないという原則に立脚して、

次のとおり協定した。

 

第1条 一般的義務
1. 締約国は、いかなる場合にも、次のことを行わないことを約束する。

(a)対人地雷を使用すること。
(b)対人地雷を開発し、生産し、生産その他の方法によって取得し、貯蔵し若しくは保有し又はいずれかの者に対して直接若しくは間接に移譲すること。
(c)この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助し、奨励し又は勧誘すること。

2. 締約国は、この条約に従ってすべての対人地雷を廃棄し又はその廃棄を確保することを約束する。

 

第2条 定義
1. 「対人地雷」とは、人の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された地雷であって、1人若しくは2人以上の者の機能を著しく害し又はこれらの者を殺傷するものをいう。人ではなく車両の存在、接近又は接触によって起爆するように設計された地雷で処理防止のための装置を備えたものは、当該装置を備えているからといって対人地雷であるとはされない。

2. 「地雷」とは、土地若しくは他の物の表面に又は土地若しくは他の物の表面の下方若しくは周辺に敷設されるよう及び人又は車両の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された弾薬類をいう。

3. 「処理防止のための装置」とは、地雷を保護することを目的とする装置であって、地雷の一部を成し若しくは地雷に連接され若しくは取り付けられ又は地雷の下に設置され、かつ、地雷を処理その他の方法で故意に妨害しようとすると作動するものをいう。

4. 「移譲」とは、対人地雷が領域へ又は領域から物理的に移動し、かつ、当該対人地雷に対する権原及び管理が移転することをいう。ただし、対人地雷の敷設された領域の移転に伴って生ずるものを除く。

5. 「地雷敷設地域」とは、地雷の存在又は存在の疑いがあることにより危険な地域をいう。

 

第3条 例外
1. 第1条の一般的義務にかかわらず、地雷の探知、除去又は廃棄の技術の開発及び訓練のための若干数の対人地雷の保有又は移譲は、認められる。その総数は、そのような開発及び訓練のために絶対に必要な最小限度の数を超えてはならない。

2. 廃棄のための対人地雷の移譲は、認められる。

 

第4条 貯蔵されている対人地雷の廃棄
締約国は、前条に規定する場合を除くほか、自国が所有し若しくは占有する又は自国の管轄若しくは管理の下にあるすべての貯蔵されている対人地雷につき、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも四年以内に、廃棄し又はその廃棄を確保することを約束する。

 

第5条 地雷敷設地域における対人地雷の廃棄
1. 締約国は、自国の管轄又は管理の下にある地雷敷設地域におけるすべての対人地雷につき、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも10年以内に、廃棄し又はその廃棄を確保することを約束する。

2. 締約国は、自国の管轄又は管理の下にあり、かつ、対人地雷が敷設されていることが知られ又は疑われているすべての地域を特定するためにあらゆる努力を払うものとし、自国の管轄又は管理の下にある地雷敷設地域におけるすべての対人地雷につき、当該地雷敷設地域におけるすべての対人地雷が廃棄されるまでの間文民を効果的に排除することを確保するためこれらの地域の外縁を明示し並びにこれらの地域を監視し及び囲いその他の方法によって保護することをできる限り速やかに確保する。その外縁の表示は、少なくとも、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約に附属する1996年5月3日に改正された地雷、ブービートラップ及び他の類似の装置の使用の禁止又は制限に関する議定書に定める基準に従ったものとする。

3. 締約国は、1のすべての対人地雷について1に規定する期間内に廃棄し又はその廃棄を確保することができないと認める場合には、当該対人地雷の廃棄の完了の期限を最長10年の期間延長することについて締約国会議又は検討会議に対して要請を行うことができる。

4. 3の要請には、次の事項を含める。

(a)延長しようとする期間
(b)延長の理由についての詳細な説明(次の事項を含む。)
(i)国の地雷除去計画によって行われる作業の準備及び状況
(ii)自国がすべての対人地雷を廃棄するために利用可能な財政的及び技術的手段
(iii)自国による地雷敷設地域におけるすべての対人地雷の廃棄を妨げる事情
(c)延長から生ずる人道上の、社会的な、経済的な及び環境上の影響
(d)延長の要請に関するその他の情報

5. 締約国会議又は検討会議は、4に規定する要素を考慮の上、期間延長の要請を評価し、出席しかつ投票する締約国の票の過半数による議決で当該要請を認めるかどうかを決定する。

6. 延長は、3から5までの規定を準用して新たな要請を行うことによって更新することができる。締約国は、新たな期間延長を要請するに当たり、その前の期間延長においてこの条の規定に従って実施してきたことについての関連する追加的な情報を提出する。

 

第6条 国際的な協力及び援助
1. 締約国は、この条約に基づく義務を履行するに当たり、実現可能な場合には、可能な限りにおいて他の締約国の援助を求め及び受ける権利を有する。

2. 締約国は、この条約の実施に関連する装置、資材並びに科学的な及び技術に関する情報を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束するものとし、また、その交換に参加する権利を有する。締約国は、地雷の除去のための装置及び関連する技術に関する情報の人道的目的のための提供に関して不当な制限を課してはならない。

3. 締約国は、可能な場合には、地雷による被害者の治療、リハビリテーション並びに社会的及び経済的復帰並びに地雷についての啓発計画のための援助を提供する。この援助は、特に、国際連合及びその関連機関、国際的、地域的若しくは国の機関、赤十字国際委員会、各国の赤十字社及び赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟若しくは非政府機関を通じて又は2国間で提供することができる。

4. 締約国は、可能な場合には、地雷の除去及び関連する活動のための援助を提供する。この援助は、特に、国際連合及びその関連機関、国際的若しくは地域的機関若しくは非政府機関を通じて、2国間で又は「地雷の除去を援助するための任意の国際連合信託基金」若しくは他の地雷の除去に対処する地域的な基金に拠出することによって提供することができる。

5. 締約国は、可能な場合には、貯蔵されている対人地雷の廃棄のための援助を提供する。

6. 締約国は、国際連合及びその関連機関に設置される地雷の除去に関するデータベースに対して情報(特に、地雷の除去のための各種の方法及び技術に関する情報並びに地雷の除去に関する専門家、専門的な機関又は自国の連絡先の名簿)を提供することを約束する。

7. 締約国は、国際連合、地域的機関、他の締約国その他適当な政府間又は民間の場に対し、特に次の事項を定める地雷除去計画の策定に当たって自国の当局への援助を要請することができる。

(a)対人地雷に関する問題の程度及び範囲
(b)当該地雷除去計画の実施に必要な資金、技術及び人的資源
(c)自国の管轄又は管理の下にある地雷敷設地域におけるすべての対人地雷の廃棄のために必要であると見込まれる年数
(d)地雷による傷害又は死亡の発生を減少させるための地雷についての啓発活動
(e)地雷の被害者への援助
(f)自国の政府と当該地雷除去計画の実施に当たる政府機関、政府間機関又は非政府機関との関係

8. この条の規定により援助を提供する締約国及び当該援助を受ける締約国は、合意された援助計画の完全かつ迅速な実施を確保するために協力する。

 

第7条 透明性についての措置
1. 締約国は、次の事項につき、国際連合事務総長に対し、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも180日以内に報告する。

(a)第9条にいう国内の実施措置
(b)自国が所有し若しくは占有する又は自国の管轄若しくは管理の下にあるすべての貯蔵されている対人地雷の総数並びに貯蔵されている対人地雷の型式ごとの数量及び可能な場合には型式ごとのロット番号の内訳
(c)可能な場合には、自国の管轄又は管理の下にあり、かつ、対人地雷が存在する又は存在の疑いがあるすべての地雷敷設地域の位置並びに各地雷敷設地域における対人地雷の型式ごとの数量及び敷設された時期に関する可能な限りの詳細
(d)第3条の規定に従い、地雷の探知、除去若しくは廃棄の技術の開発及び訓練のために保有しており若しくは移譲した対人地雷又は廃棄のために移譲した対人地雷のすべての型式、数量及び可能な場合にはロット番号並びに対人地雷を保有し又は移譲することを自国によって認められた機関
(e)対人地雷生産施設の転換又は稼働の停止のための計画の状況
(f)第4条及び第5条の規定に基づく対人地雷の廃棄のための計画の状況(廃棄に用いる方法、廃棄を行うすべての場所の位置並びに安全及び環境についての適用可能な基準であって廃棄に際して従う必要のあるものの詳細を含む。)
(g)この条約が自国について効力を生じた後に廃棄されたすべての対人地雷の型式及び数量(第4条及び第5条の規定に従ってそれぞれ廃棄された対人地雷の型式ごとの数量並びに第4条の規定に従って廃棄された対人地雷については、可能な場合には、型式ごとのロット番号の内訳を含む。)
(h)自国の生産した対人地雷の各型式の技術上の特徴(判明しているものに限る。)及び自国がその時点で所有し又は占有する対人地雷の各型式の技術上の特徴であって、合理的に可能である場合には、対人地雷の識別及び除去を容易にすることができるような情報を与えるもの。この情報には、少なくとも、寸法、信管、使用されている火薬及び金属、カラー写真その他の情報であって地雷の除去を容易にすることができるものを含める。
(i)第5条2の規定に従って特定されたすべての地域に関して住民に対する迅速かつ効果的な警告を発するためにとられた措置

2. 締約国は、この条の規定に従って提供する情報につき、直近の暦年を対象として毎年更新し、毎年4月30日までに国際連合事務総長に報告する。

3. 国際連合事務総長は、受領した報告のすべてを全締約国に送付する。

 

第8条 遵守の促進及び遵守についての説明
1. 締約国は、この条約の実施に関して相互に協議し及び協力し並びに締約国がこの条約に基づく義務を履行することを促進するために協調の精神に基づいて協力することを合意する。

2. 1又は2以上の締約国は、他の締約国によるこの条約の遵守に関連する問題を明らかにし及びその解決を求めることを希望する場合には、当該他の締約国に対し、国際連合事務総長を通じて、そのような問題についての「説明の要請」を行うことができる。この要請には、すべての適当な情報を添付する。締約国は、濫用を避けるために注意を払い、根拠のない「説明の要請」を慎まなければならない。「説明の要請」を受けた締約国は、要請を行った締約国に対し、国際連合事務総長を通じて、当該問題を明らかにする上で有用なすべての情報を28日以内に提供する。

3. 要請を行った締約国は、2に規定する期間内に国際連合事務総長を通じて回答が得られなかったとき又は「説明の要請」に対する回答が十分でないと認めたときは、同事務総長を通じて、次回の締約国会議に問題を付託することができる。国際連合事務総長は、すべての締約国に対し、付託された問題を、関連する「説明の要請」についてのすべての適当な情報と共に送付する。この情報は、要請を受けた締約国にすべて提示されるものとし、当該要請を受けた締約国は、意見を述べる権利を有する。

4. いずれの関係締約国も、締約国によるいずれかの会議が招集されるまでの間、国際連合事務総長に対し、要請された説明を促進するためのあっせんを行うよう要請することができる。

5. 要請を行った締約国は、国際連合事務総長を通じて、問題を検討するための締約国特別会議の招集を提案することができる。国際連合事務総長は、直ちに、すべての締約国に対し、その提案及び関係締約国が提出したすべての情報を送付するものとし、締約国による当該問題の審議のための締約国特別会議の開催に賛成するかどうかを示すよう要請する。その送付の日から14日以内に締約国の3分の1以上が当該締約国特別会議の開催に賛成する場合には、国際連合事務総長は、その後の14日以内に当該締約国特別会議を招集する。当該締約国特別会議には、締約国の過半数が出席していなければならない。

6. 締約国会議又は締約国特別会議は、関係締約国が提出したすべての情報を考慮の上、問題を更に検討するかどうかをまず決定する。締約国会議又は締約国特別会議は、コンセンサス方式によって決定を行うようあらゆる努力を払うものとし、この決定を行うためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しなかったときは、出席しかつ投票する締約国の過半数による議決で決定を行う。

7. すべての締約国は、締約国会議又は締約国特別会議による問題の検討(8の規定に従って決定される事実調査使節団の設置を含む。)を行うため、これらの会議に十分に協力する。

8. 締約国会議又は締約国特別会議は、問題を更に明らかにする必要がある場合には、出席しかつ投票する締約国の過半数による議決で事実調査使節団の設置及びその任務を決定する。要請を受けた締約国は、いつでも、自国の領域への事実調査使節団の派遣を招請することができる。この場合においては、事実調査使節団は、締約国会議又は締約国特別会議の決定によることなく設置されるものとする。事実調査使節団は、9及び10の規定に従って指名され及び承認される9人以内の専門家により構成されるものとし、遵守について申し立てられた問題に直接関連する地点その他の場所であって、要請を受けた締約国の管轄又は管理の下にある場所において、追加的な情報を収集することができる。

9. 国際連合事務総長は、資格を有する専門家の氏名、国籍その他関連するデータを記載した単一の名簿を、各締約国の提供する名簿に基づいて作成し及び改定し、並びにこれをすべての締約国に送付する。この単一の名簿に含められる専門家は、いずれかの締約国が書面により受け入れられない旨を宣言する場合を除くほか、すべての事実調査使節団のために指名されたものとみなす。受け入れられない場合には、受け入れられない旨が個別の事実調査使節団のための専門家の任命に先立って宣言されたときに限り、当該専門家は、受け入れられない旨の宣言を行った締約国の領域内又はその管轄若しくは管理の下にあるその他の場所において、当該事実調査使節団に参加しない。

10. 国際連合事務総長は、締約国会議又は締約国特別会議の求めに応じ、要請を受けた締約国と協議した後、事実調査使節団の構成員(使節団の長を含む。)を任命する。関係する事実調査使節団の設置を決定するよう求めた締約国又は当該事実調査使節団により直接影響を受ける締約国の国民については、当該事実調査使節団に任命してはならない。事実調査使節団の構成員は、1946年2月13日に採択された国際連合の特権及び免除に関する条約第6条にいう特権及び免除を享受する。

11. 事実調査使節団の構成員は、できる限り速やかに、かつ、72時間前までに通告した上で、要請を受けた締約国の領域に到着する。要請を受けた締約国は、事実調査使節団を受け入れ、輸送し及び宿泊させるために必要な行政上の措置をとり、並びに当該事実調査使節団が自国の管理の下にある領域にある間は当該事実調査使節団の安全を可能な最大限度まで確保する。

12. 事実調査使節団は、要請を受けた締約国の主権を害することなく、必要な装置を、遵守について申し立てられた問題に関する情報を収集するためにのみ使用することを条件として、当該要請を受けた締約国の領域内に持ち込むことができる。事実調査使節団は、その到着に先立ち、要請を受けた締約国に対して、自己の任務の遂行において使用することとしている装置について通報する。

13. 要請を受けた締約国は、事実調査使節団に対し遵守について申し立てられた問題に関連する情報を提供することができるすべての者と話す機会を与えることを確保するためにあらゆる努力を払う。

14. 要請を受けた締約国は、事実調査使節団に対し自国の管理の下にあるすべての地域及び施設であって遵守についての問題に関連する事実を収集することができると予想されるものへのアクセスを認める。ただし、要請を受けた締約国が次の事項のために必要と認める措置をとることを妨げるものではない。要請を受けた締約国は、当該措置をとる場合には、この条約を遵守していることを代替的な手段により明らかにするためにあらゆる合理的な努力を払う。

(a)機微に係る装置、情報及び地域の保護
(b)要請を受けた締約国が財産権その他の憲法上の権利並びに捜索及び押収について負う憲法上の義務の保護
(c)事実調査使節団の構成員の防護及び安全

15. 事実調査使節団は、別段の合意がある場合を除くほか、要請を受けた締約国の領域内に14日以内(特定の施設については7日以内)の間滞在することができる。

16. 秘密のものとして提供され、かつ、事実調査の対象である事項に関連しないすべての情報については、秘密のものとして取り扱う。

17. 事実調査使節団は、締約国会議又は締約国特別会議に対し、国際連合事務総長を通じて、その調査結果を報告する。

18. 締約国会議又は締約国特別会議は、すべての関連する情報(事実調査使節団が提出した報告を含む。)を検討するものとし、要請を受けた締約国に対し遵守についての問題を特定の期間内に取り扱う措置をとるよう求めることができる。当該要請を受けた締約国は、その求めに応じてとったすべての措置について報告する。

19. 締約国会議又は締約国特別会議は、関係締約国に対し、検討中の問題を一層明らかにし又は解決するための方法及び手段(国際法に適合する適当な手続の開始を含む。)を提案することができる。締約国会議又は締約国特別会議は、問題となっている事項が要請を受けた締約国にとってやむを得ない事情によるものであると認める場合には、適当な措置(第6条に規定する協力のための措置の利用を含む。)を勧告することができる。

20. 締約国会議又は締約国特別会議は、18及び19に規定する決定をコンセンサス方式によって行うようあらゆる努力を払うものとし、合意に達しなかったときは、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で当該決定を行う。

 

第9条 国内の実施措置
締約国は、この条約によって締約国に対して禁止されている活動であって、自国の管轄若しくは管理の下にある者によるもの又は自国の管轄若しくは管理の下にある領域におけるものを防止し及び抑止するため、立法上、行政上その他のあらゆる適当な措置(罰則を設けることを含む。)をとる。

 

第10条 紛争の解決
締約国は、この条約の適用又は解釈に関して生ずる紛争を解決するため、相互に協議し及び協力する。

1. 締約国は、締約国会議に当該紛争を提起することができる。

2. 締約国会議は、適当と認める手段(あっせんを提供すること、紛争当事国である締約国に対し当該締約国が選択する解決のための手続を開始するよう要請すること及び合意された手続に従って解決するための期限を勧告することを含む。)により、紛争の解決に貢献することができる。

3. この条の規定は、遵守の促進及び遵守についての説明に関するこの条約の規定を害するものではない。

 

第11条 締約国会議
1. 締約国は、この条約の適用又は実施につき次の事項を含む問題を検討するために定期的に会合する。

(a)この条約の運用及び締結状況
(b)この条約の規定に従って提出される報告から生ずる問題
(c)第6条の規定に従って行われる国際的な協力及び援助
(d)対人地雷を除去する技術の開発
(e)第8条の規定に基づき締約国により付託された問題
(f)第5条に規定する締約国の要請に関する決定

2. 第1回締約国会議については、この条約が効力を生じた後1年以内に国際連合事務総長が招集する。その後の締約国会議は、第1回検討会議が開催されるまでの間においては毎年、国際連合事務総長が招集する。

3. 国際連合事務総長は、第8条に規定する条件に従って締約国特別会議を招集する。

4. 締約国会議及び締約国特別会議には、この条約の締約国でない国、国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会及び関連する非政府機関に、合意される手続規則に従いオブザーバーとして出席するよう招請することができる。

 

第12条 検討会議
1. 検討会議は、この条約の効力発生の5年後に国際連合事務総長が招集する。その後の検討会議は、1又は2以上の締約国の要請があった場合には、検討会議の間隔をいかなる場合にも5年以上とすることを条件として、国際連合事務総長が招集する。この条約のすべての締約国は、検討会議に招請されるものとする。

2. 検討会議の目的は、次のとおりとする。

(a)この条約の運用及び締結状況を検討すること。
(b)前条2にいう締約国会議を更に開催する必要性及び会議の間隔を検討すること。
(c)第5条に規定する締約国の要請について決定すること。
(d)必要な場合には、この条約の実施に関する結論を最終報告において採択すること。

3. 検討会議には、この条約の締約国でない国、国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会及び関連する非政府機関に、合意される手続規則に従いオブザーバーとして出席するよう招請することができる。

 

第13条 改正
1. いずれの締約国も、この条約が効力を生じた後いつでもこの条約の改正を提案することができる。改正のための提案については、寄託者に通報するものとし、寄託者は、当該改正のための提案をすべての締約国に対して回章に付し、当該改正のための提案を検討するために改正会議を開催すべきかどうかについての締約国の見解を求める。寄託者は、締約国の過半数が当該改正のための提案を更に検討することを支持する旨を当該改正のための提案の回章の後30日以内に寄託者に通報する場合には、すべての締約国が招請される改正会議を招集する。

2. 改正会議には、この条約の締約国でない国、国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会及び関連する非政府機関に、合意される手続規則に従いオブザーバーとして出席するよう招請することができる。

3. 改正会議は、締約国の過半数が一層早期の開催を要請する場合を除くほか、締約国会議又は検討会議の後直ちに開催する。

4. 改正は、改正会議に出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。寄託者は、採択された改正を締約国に通報する。

5. 改正は、締約国の過半数が受諾書を寄託者に寄託した時に、改正を受諾したすべての締約国について効力を生ずるものとし、その後に改正の受諾書を寄託する他の締約国については、受諾書の寄託の日に効力を生ずる。

 

第14条 費用
1. 締約国会議、締約国特別会議、検討会議及び改正会議の費用については、適切に調整された国際連合の分担率に従い、締約国及びこれらの会議に参加するこの条約の締約国でない国が負担する。

2. 第7条及び第8条の規定により国際連合事務総長が要する費用並びに事実調査使節団の費用は、適切に調整された国際連合の分担率に従って締約国が負担する。

 

第15条 署名
1997年9月18日にノールウェーのオスロで作成されたこの条約は、1997年12月3日及び4日にカナダのオタワにおいて並びに1997年12月5日からその効力発生までの期間はニュー・ヨークにある国際連合本部においてすべての国による署名のために開放しておく。

 

第16条 批准、受諾、承認又は加入
1. この条約は、署名国によって批准され、受諾され又は承認されなければならない。

2. この条約は、この条約に署名しなかった国による加入のために開放しておく。

3. 批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。

 

第17条 効力発生
1. この条約は、40番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された月の後6番目の月の初日に効力を生ずる。

2. 40番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後に批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国については、この条約は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後6番目の月の初日に効力を生ずる。

 

第18条 暫定的適用
いずれの国も、自国の批准、受諾、承認又は加入の時に、この条約の効力発生までの間第1条1の規定を暫定的に適用する旨を宣言することができる。

 

第19条 留保
この条約の各条の規定については、留保を付することができない。

 

第20条 有効期間及び脱退
1. この条約の有効期間は、無期限とする。

2. 締約国は、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。この権利を行使する締約国は、他のすべての締約国、寄託者及び国際連合安全保障理事会に対してその旨を通告する。脱退の通告には、脱退しようとする理由についての十分な説明を記載する。

3. 脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した後6箇月で効力を生ずる。ただし、脱退する締約国が当該6箇月の期間の満了の時において武力紛争に巻き込まれている場合には、脱退は、武力紛争の終了の時まで効力を生じない。

4. この条約からの締約国の脱退は、国際法の関連規則に基づく義務を引き続き履行することについての国の義務に何ら影響を及ぼすものではない。

 

第21条 寄託者
国際連合事務総長は、ここに、この条約の寄託者として指名される。

 

第22条 正文
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。

 

内閣総理大臣 小渕恵三
外務大臣 高村正彦
通商産業大臣 与謝野馨

 

(出典:官報、号外第222号,平成10年10月28日,6-9頁、24頁)
RECNA注:一部の表記を漢数字から算用数字に改めた。

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