NPTは、核兵器保有国に核兵器を保有する権利を認めているわけではありません。あくまでも、まだ核兵器を保有していない国に対して新しく保有することを禁止しているだけです。特に第6条の軍縮の促進に関する規定を読めば、すでに核兵器を保有している国々に対しても、「早く核兵器そのものを禁止する新しい条約を作り、核兵器を廃絶せよ」と要求していることがわかります。1996年の国際司法裁判所(ICJ)による核兵器の合法性に関する勧告的意見でも、NPT第6条は、核兵器保有国に対し、核軍縮を求める根拠として言及されています。NPTは、本来「核兵器はできるだけ早く地球上から無くすべきもの」という精神に基づいて起草されていると言うべきでしょう。
(広瀬 訓)