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「9月平壌共同宣言」についてのRECNA見解

2018年9月20日

 韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、9月19日、3回目の南北首脳会談を終え、その結果を「9月平壌共同宣言」として発表、署名したi。内容は大きく分けて、南北の敵対関係の終了と、北朝鮮の非核化に関する具体的措置の合意であった。RECNAとしては、4月の板門店宣言に続く、歴史的な南北合意として高く評価したい。今後の注目すべき課題も含めて、重要な視点を以下3つにまとめた。

 1.事実上の朝鮮戦争終結につながる合意
 まず、南北の敵対関係の終了については、「9月平壌共同宣言」と同時に発表された「板門店宣言の履行に向けた軍事分野合意書」により、南北間のあらゆる問題を平和的な手段で解決するという前提のもと、陸海空において軍事的な緊張につながる敵対行為を中止し、軍事境界線一帯での大規模な演習や兵力の増強等も中止することに合意した。事実上、南北間での戦争状態の終結へ向けての具体的な合意であると言ってもよい。朝鮮半島において軍事対立の可能性が激減することは、地域の平和と安全に大きく寄与するものと期待できる。
 朝鮮戦争の休戦協定の当事者である中国と米国(国連軍)がこの合意に対してどのような反応を示すのか、また、朝鮮戦争の正式な終結へ向けて、すべての当事者が今後どのように関与してゆくのか。今後の動向が注目される。

 2.ミサイル、非核化:注目すべき成果と課題
 朝鮮半島の非核化に関しては、今回はいくつか具体的かつ重要な進展が見られた。一つは、トンチャンリ(東倉里)のミサイル発射台とエンジン試験場を関係国専門家の立ち会いの下で永久廃棄すると北朝鮮が明言したことである。これは北朝鮮が本格的な長距離弾道ミサイルの開発を断念すると宣言したに等しく、米国本土にとってはミサイル搭載核の脅威がほぼなくなることを意味する。今後の米韓首脳会談において、米国側からの歩み寄りを求めたい。
 ヨンビョン(寧辺)の核施設については、「米国が米朝共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば」、永久廃棄に応じる考えがあることを明らかにした。条件付きとはいえ、やはり具体的な前進である。北朝鮮のいう「永久廃棄」がどのような内容で、廃棄をどのように検証するのか等の詳細までは言及されていない。だが、北朝鮮の核開発の心臓部とも言うべき施設がすべて不可逆的に廃棄をされることが前提ならば、完全な非核化に向けた具体的なステップが示されたと評価できる。

 3.米国や他国の対応が課題
 朝鮮半島情勢は歴史的な転換点を迎えていると言っても過言ではないだろう。南北間で今後、交通手段の整備や相互交流、経済関係なども進めてゆく方針である。実現のためには非核化合意の進展に応じて、北朝鮮に対する制裁措置の段階的な緩和も必要だろう。それが「平和の配当」となり、北朝鮮の非核化を促し、かつ不可逆的なものにする力となることを期待する。
 朝鮮戦争の正式な終結と、ポスト冷戦時代における北東アジアの平和と安定のシステムづくりへ向けて、国際社会がどのように協力していけるかが重要な課題である。日本も柔軟な発想を持って、日朝国交正常化を目指し、北東アジアの非核化と新秩序づくりに貢献する外交が求められる。

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i 9月平壌共同宣言の要旨(韓国側発表に基づく)
1. 非武装地帯などでの軍事的敵対関係の終息を、朝鮮半島全地域の実質的な戦争の危険除去と根本的な敵対関係解消につなげていく。
2. 首脳会談を契機に締結した「板門店宣言軍事分野履行合意書」を平壌共同宣言の付属合意書として採択。順守、履行し、朝鮮半島を恒久的な平和地帯とするための実践的措置を取る。
3. 朝鮮半島を核兵器と核脅威がない平和の地にするため、実質的な進展を速やかに実現することで一致した。
4. 北朝鮮は、東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台を関係国専門家の立ち会いの下に永久に廃棄する。
5. 北朝鮮は米国が米朝共同声明の精神に沿い、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的廃棄などの追加措置を講じる用意を表明した。
6. 朝鮮半島の完全な非核化を推進していく過程で緊密に協力する。
7. 条件が整い次第、開城工業団地と金剛山観光事業を正常化する。
8. 離散家族問題を根本的に解決するための人道的協力をさらに強化する。
9. 2020年夏季五輪をはじめとする国際競技に共同で積極的に出場し、32年夏季五輪の共同開催を誘致することで協力する。
10. 金正恩朝鮮労働党委員長は文在寅大統領の招請により、近くソウルを訪問する。
出所:時事通信、2018年9月20日アクセス。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091901042&g=prk

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