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第66回国連総会:新アジェンダ連合(NAC)決議
核兵器のない世界へ:核軍縮に関する誓約の履行を加速する

     2011年12月2日採択、A/RES/66/40

共同提案国:ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン
追加提案国:オーストリア

総会は、

2010年12月8日の決議65/59を想起し、

核兵器使用の可能性によって人類がさらされている脅威を繰り返し憂慮し、核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすとの、2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議が表明した深刻な懸念を想起し、

核軍縮と核不拡散は、相互に強化しあう過程であり、これら両方における緊急かつ後退しえない前進が求められていることを再確認し、

1995年のNPT再検討・延長会議で採択された、「条約再検討プロセスの強化」、「核不拡散及び核軍縮の原則と目的」及び「核不拡散条約の延長」と題された諸決定と中東決議※、ならびに2000年※と2010年※の再検討会議の最終文書を想起し、

とりわけ、NPT第6条※の下で誓約され、2010年再検討会議であらためて確認された誓約にしたがい、核軍縮につながるよう、保有核兵器の完全廃棄を達成するとした核兵器国による明確な約束を想起し、

包括的核実験禁止条約※の早期発効が、核軍縮及び核不拡散の目標への前進のために引き続き死活的に重要であることを認識し、最近のガーナ及びギニアによる同条約の批准を歓迎し、

非核兵器地帯の設立が世界及び地域の平和と安全を促進し、核不拡散レジームを強化し、そして核軍縮の目標実現に貢献するとの確信を再確認し、

2010年NPT再検討会議の最終文書が、地域の関係諸国間の自由意思で合意された取り決めに基づく、非核兵器地帯の追加設立を奨励したことを想起しつつ、これが非核兵器地帯が現在、存在しない地域、とりわけ中東における非核兵器地帯設立のための協調した国際的努力の出発となることへの希望を表明し、

2010年NPT再検討会議が、1995年中東決議の全面履行のための具体的措置を合意したことに満足をもって留意し、

非核兵器地帯に関連した前進、とりわけロシアによるペリンダバ条約※議定書Ⅰ及びⅡの批准、米国によるペリンダバ及びラロトンガ条約※議定書への助言と 同意を求めた上院提出、バンコク条約※議定書に関する東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国による協議、2010年4月30日のニューヨークにおける非核兵器地帯条約加盟国・署名国及びモンゴルによる第2回会議の開催※を認識し、

戦略攻撃兵器のさらなる削減及び制限のための措置に関するアメリカ合衆国とロシア連邦との間の条約の発効を歓迎するとともに、2010年NPT再検討会議が、両国に対して保有核兵器のさらなる削減を実現するための後継措置に関する協議継続を奨励したことを想起し、

2010年NPT再検討会議が、核兵器の全面廃棄が核兵器の使用あるいは使用の威嚇を防止するための唯一の絶対的保証であること、及び明確かつ法的拘束力を持つ安全の保証を核兵器国から受けることに関する非核兵器国の正統な関心を再確認し、認識したことを想起し、

ジュネーブ軍縮会議を含め、核軍縮問題に関する多国間交渉に向けた進展の欠如に深い失望の念を示すとともに、二国間及び地域的イニシアティブの意義を認識しつつも核軍縮における多国間主義の重要性を強調し、

2015年NPT再検討会議に向けた準備プロセスの第一回委員会が2012年5月に開催されること、そしてそれが、核軍縮につながる措置の具体的進展を 加速させるという核兵器国の誓約を含め、2010年再検討会議で合意された行動計画※の誓約に対するすべての加盟国の履行状況を監視する基礎作業の第一歩 となることに留意し

1. NPTの各条項は加盟国をいかなる時もいかなる状況においても法的に拘束するものであり、すべての加盟国は、条約下の義務に対する厳格な遵守について全面的な責任を負わねばならないことを繰り返す。

2. 2010年NPT再検討会議が、核兵器の完全廃棄に向けた具体的措置を含む核軍縮、核不拡散及び原子力の平和利用、中東、とりわけ1995年中東決議の履行に関する後継措置に関する結論及び勧告を盛り込んだ実質的最終文書※を採択したことを歓迎する。

3. とりわけ、同再検討会議が、NPTの目的※に従い、すべてにとってのより安全な世界を追求し、核兵器のない世界の平和と安全を実現することを決議したという事実を歓迎する。

4. 2010年再検討会議において、核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結末をもたらすことに対する深刻な懸念が表明されたこと、並びにすべての加盟国がいかなる時も国際人道法を含めた適用可能な国際法を遵守する必要性を再確認したことを歓迎する。

5. 2000年NPT再検討会議の最終文書※が合意した、すべてのNPT化盟国が同条約第6条の下で誓約している核軍縮につながるよう、自らの保有核兵器 の完全廃棄を達成するという核兵器国による明確な約束を含む実際的措置が引く続き有効であることを再確認したことを歓迎する。

6. あらゆる種類の核兵器を、配備・非配備を問わず、一方的、二国間、地域的及び多国的措置を通じ、削減し究極的に廃棄するためいっそうの努力を行うこと を核兵器国が誓約したことを想起するとともに、核兵器国による核兵器の開発及び質的改良の制限並びに最先端の新型核兵器の開発中止に対する非核兵器国の正 統な関心を2010年NPT再検討会議が認識したことを強調し、この点に関して措置を講じるよう核兵器国に要請する。

7. すべての核兵器国が、2010年再検討会議最終文書の核軍縮行動計画に従い、それぞれの核兵器国でもはや軍事的に不要と判断された核分裂性物質の不可逆的廃棄を保証し、核軍縮に関連する適切な検証能力の開発を支援する、さらなる措置をとることを奨励する。

8. すべてのNPT加盟国に対して、1995年再検討・延長会議で採択された中東に関する決議の完全履行に向けた努力を求める。また、2010年再検討会議 が、中東非核兵器・非大量破壊兵器地帯の設立に関する会議を、すべての地域国家の参加の下で2012年に開催することを含め、1995年決議の完全履行に つながるプロセスにおける具体的措置に合意したことを認識する。さらに、国連事務総長及び1995年決議の共同提案国が、地域国家との緊密な協議及び協力 の下、2012年会議の開催に向けたあらゆる準備を行うことを求めるとともに、この点に関し、最近におけるファシリテーターの任命及び受け入れ国政府の 決定を歓迎する。

9. NPTが核軍縮及び核不拡散の実現において果たす中心的役割を引き続き強調し、すべての加盟国が、NPTの普遍化のためのいかなる努力も惜しまないよう求 める。またこれに関連して、インド、イスラエル及びパキスタンが非核兵器国としてすみやかに、かつ無条件にNPTに加盟することを求める。

10. 朝鮮民主主義人民共和国に対して、平和的手段による朝鮮半島の非核化を達成するとの見地から、すべての核兵器と現存する核計画の放棄を約束した 2005年9月の共同声明を含む6か国協議における誓約を履行し、早期にNPTとIAEA保障措置の遵守に復帰するよう要請するとともに、6か国協議への 支持を再確認する。

11. ジュネーブ軍縮会議を含め、国際的な軍縮関連機関における障害を乗り越えるべく、すべての加盟国が協働することを奨励する。こうした障害は、多国間の文脈の中で核軍縮の目的を前進させようとの努力を妨害している。

12. 2010年債検討会議で合意された誓約の進捗状況を検討するために、2011年6月30日にパリで核兵器国が会合を開いたことに留意しつつ、 2000年再検討会議最終文書に示された、核軍縮につながる措置の具体的進捗を加速させるという、2010年再検討会議における誓約を核兵器国が履行する こと、並びに2015年再検討会議に先立って実質的な進捗の達成を確実にすべく速やかに取り組むことの重要性を強調する。

13. 2010年再検討会議の行動計画の行動5に示された通り、核軍縮につながる措置の具体的進捗の加速に向けて核兵器国が以下を誓約したことを想起する。
(a)行動計画の行動3で確認されたように、あらゆる種類の核兵器の世界的備蓄の総体的削減に速やかに向かう。
(b)全面的な核軍縮プロセスの不可欠な一部として、種類や場所を問わずあらゆる核兵器の問題に対処する。
(c)あらゆる軍事及び安全保障上の概念、ドクトリン、政策における核兵器の役割と重要性をいっそう低減させる。
(d)核兵器の使用を防止し、究極的にその廃棄につながり、核戦争の危険を低下させ、核兵器の不拡散と軍縮に貢献しうる政策を検討する。
(e)国際の安定と安全を促進するような形で、核兵器システムの作戦態勢をいっそう緩和することに対する非核兵器国の正統な関心を考慮する。
(f)核兵器の偶発的使用の危険性を低下させる。
(g)透明性をいっそう高め、相互の信頼を向上させる。

14. 各再検討サイクルの間に加盟国がその履行状況を定期的に監視できるような形で、核兵器国がこれらの誓約を履行することを求める。また、この点に関連して、核兵器国がこれらの誓約の履行に関する定期報告を行うことを要請する。

15. いくつかの核兵器国が自国の保有核兵器、政策、軍縮努力に関する情報を公表したことを歓迎し、そのような行動を未だとっていない核兵器国に同様の情 報開示を要請する。また、こうした報告の推進に向け、可能な限り早期に標準化された報告様式について核兵器国が合意することを奨励する。

16. 核兵器国が、上記に関連して、また、2010年再検討会議の成果に関連して、核政策の見直しの一環にあるものを含め、あらゆる軍事及び安全保障概念における核兵器の役割及び重要性の低減に向けた自国の努力について定期報告を行うことを求める。

17. すべてのNPT加盟国が、2010年再検討会議の行動計画のあらゆる要素について、誠実かつ時宜を得た形でそれらを履行し、よって条約のすべての柱において前進が図られることを求める。

18. 第67回国連総会の暫定議題に「核兵器のない世界へ:核軍縮に関する誓約の履行を加速する」と題された項目を含めること、並びに現存する決議の履行を同会期において点検することを決定する。

 

(翻訳:特定非営利活動法人ピースデポ)

※印には参照すべき文書の名称等が記載されているが省略した。

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