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中国の核戦力一覧 1)

2015年6月1日現在
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名称 NATO名 射程(km) 核弾頭の威力
(キロトン)
核弾頭数 備考
作戦配備 0 2)
作戦外貯蔵 250 3)
大陸間弾道ミサイル(ICBM)/中距離弾道ミサイル(IRBM) 4) 148 5)
 東風 DF-3A CSS-2 3,000 3,300 8 6)
 東風 DF-4 CSS-3 5,500 + 3,300 12 7)
 東風 DF-5A CSS-4 13,000 + 4,000–5,000 20 8)
 東風 DF-15 CSS-6 600 ? ? 9)
 東風 DF-21 CSS-5 2,150 200–300 80 10)
 東風 DF-31 CSS-10 M1 7,000 + 200–300 ? 8 11)
 東風 DF-31A CSS-10 M2 11,000 + 200–300 ? 20 12)
地上発射巡航ミサイル ?
 DH-10 CJ-10 1,500 ? ? ? 13)
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 60 14)
 巨浪 JL-1 CSS-NX-3 1,000 + 200–300 0 15)
 巨浪 JL-2 CSS-NX-4 7,000 + 200–300 ? 60 16)
航空機搭載爆弾 40
 核爆弾 40 17)
空中発射巡航ミサイル
 DH-20 CJ-20? ? ? ? 18)
退役・解体待ちなど 19)
全保有量 250
【脚注】
1) 中国は、NPT加盟核兵器国の中で唯一、弾頭数を増やしている国である。しかし、増加の速度は緩やかであり、必ずしも攻撃的傾向とは言えない。同じ著者による弾頭数の推定が、2013年初めに240から250に変化した(Kristensen, Hans M. 2013-1)。「退役およびその他」に分類されている部分が増えたことを意味するが理由は明らかではない。この数字以外の弾頭数は2013年の同著者らの文献(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013)による。数字には概数であることを示す記号をいちいち付していないが、すべて概数である。米国に届く長距離弾道ミサイルの数は、約60発である(DF-4、DF-5A、DF-31、DF-31A)。一方、核弾頭総数は250発ではなくて190発が妥当だとする最近の文献がある(Zhang, Hui 2015)。
2) 核弾頭はミサイルと別に貯蔵されているので、作戦配備ではなくて作戦外貯蔵と見なす。(Kulacki, Gregory 2011; Kristensen, Hans & Norris, Robert S. 2013)
3) 248を丸めた。
4) DF-4、DF-5A、DF-31、DF-31Aは大陸間弾道ミサイル(ICBM、射程5,500 km以上)、DF-15は短距離弾道ミサイル(SRBM、射程1,000 km以下)、他は中距離弾道ミサイル(IRBM、射程1,000–5,500 km)。後者のうち3,000 km以下のものを準中距離弾道ミサイル(MRBM)と呼ぶこともある。
5) カーンズ(Kearns, Ian 2011)は130–140、カラーキー(Kulacki, Gregory 2011)は155、チャン(Zhang, Hui 2015)は120と推定している。
6) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。移動型。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。1971年に配備。新型に置き換えられつつある。弾頭数を17(Kearns, Ian 2011)、5(Zhang, Hui 2015)と見積もる研究者もいる。
7) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。移動型。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。80年に配備。ロシアを標的にするとされる(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013)。新型に置き換えられつつある。弾頭数を17(Kearns, Ian 2011)、10(Zhang, Hui 2015)と見積もる研究者もいる。
8) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。サイロ型。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。81年配備。80年代初期以来、米国、ロシアを標的とした。 最新の米国防総省の報告書によれば、M3型として多弾頭のものがあると初めて記述している(Office of the Secretary of Defense, 2015)。
9) 米国CIAが、1990年8月の核実験が短距離弾道ミサイル用の弾頭開発の可能性があるとし、1993年9月には翌年に配備が始まると推定した。DF-15は大部分、核・非核両用と考えられる。弾頭数について推定できない。(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013)
10) 東風はドンフォンと読む。射程1,700–1,750 km (Zhang, Hui 2015; Kulacki, Gregory 2011)との数字もある。中国の中距離ミサイルの主力。固体燃料。移動型。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。81年に配備。徐々に DF-3A、DF-4と置き換えられている。弾頭数は55–60(Kearns, Ian 2011)、60(Zhang, Hui 2015)との見積りもある。通常弾頭のDF-21もあり、核兵器用のミサイルのみで約80基と見積もられる。
11) 東風はドンフォンと読む。固体燃料。移動型。2006年初期配備。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。弾頭数を10–15(Kearns, Ian 2011)、10(Zhang, Hui 2015)と見積もる研究者もいる。よく分からない理由で、配備の増加が中断している。米国防総省は射程を7,200+ kmと推定している(Office of the Secretary of Defense, 2013)。
12) 東風はドンフォンと読む。固体燃料。移動型。2007年配備。米国情報機関によれば単弾頭と考えられている。単弾頭だが、ミサイル防衛に備えておとりなどを伴うと考えられる。弾頭数を10–15(Kearns, Ian 2011)、15(Zhang, Hui 2015)と見積もる研究者もいる。米国防総省は射程を11,200 kmと推定している(Office of the Secretary of Defense, 2015)。
13) 地上発射対地攻撃巡航ミサイル。米空軍はその核能力について「通常あるいは核」能力と述べたことがある(Kristensen, Hans M. 2013-2)。
14) これらを搭載する2種類の原子力潜水艦(夏(シァ)級と晋(ジン)級)があったが、夏(シァ)級は退役したと考えられる(次項参照)。晋(ジン)級のみが現役。しかし、戦略抑止パトロールは未達成で、2015年に始まると予想(Office of the Secretary of Defense, 2015)。
15) 巨浪はジュランと読む。単弾頭。1986年に配備。戦略原潜・夏(シァ)級(中国名:大慶魚、092型)に搭載の予定。12発射管。最新の米国防総省報告に名前が記述されておらず、原潜とともに一度も使われることなく退役したと考えられる(Office of the Secretary of Defense, 2015)。
16) 巨浪はジュランと読む。単弾頭。DF-31の変形。新世代原潜・晋(ジン)級(094型)に搭載する計画。12発射管。発射テストに失敗していたが、2012–13年に発射テストに成功。米情報機関は、2013–14年に初期作戦能力を達成すると予想していた(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013)。最近の米国防総省報告では、晋級は4隻が作戦配備されており、5隻が建造中とされる(Office of the Secretary of Defense, 2015)。同報告は射程を7,400 kmと推定している。 弾頭数は5隻分60発としたが、一部分はJL-1であるかも知れない。
17) 爆撃機「轟(ホン)」H-6(NATO名:B-6)100–120機のうちの20機が核任務を持つと推定。戦闘半径3,100 km。1965年配備。ソ連のTu-16(バジャー)の変形だが現在も高性能化が進んでいる(Office of the Secretary of Defense, 2015)。また、攻撃機「強(キャン)」Q-5などの他の機種のうちの20機程度が核任務を持つと推定。数量を計20と見積もる研究者もいる(Zhang, Hui 2015)。
18) 開発中。改良型戦闘爆撃機「轟(ホン)」H-6に搭載予定。米空軍グローバルストライク軍が核能力ありと推定。しかし、米国防省内で統一した記述がない(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013)。
19) 少数の退役・解体待ちなど。
【出典】
Kearns, Ian 2011: “Beyond the United Kingdom: Trends in the Other Nuclear Armed States,” BASIC Trident Commission, November 2011. 数字はホルスラグからの引用。(Holslag, Jonathan 2010: “Trapped Giant: China’s Military Rise,” IISS, 2010)http://www.basicint.org/sites/default/files/commission-briefing1.pdf(2015.5.30 アクセス)
Kristensen, Hans M. 2013-1: “Status of World Nuclear Forces Early-2013,” FAS Nuclear Information Project
http://www.fas.org/programs/ssp/nukes/nuclearweapons/nukestatus.html(2013.7.10 アクセス)
Kristensen, Hans M. 2013-2: “Chinese Nuclear Developments Described (and Omitted) by DOD Report,” FAS Strategic Security Blog, May 14, 2013 
http://blogs.fas.org/security/2013/05/china2013/#more-6024(2015.5.30 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013: “Chinese Nuclear Forces, 2013,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 69, #6, 2013 http://bos.sagepub.com/content/69/6/79.full(2015.5.30 アクセス)
Kulacki, Gregory 2011: “China’s Nuclear Arsenal: Status and Evolution,” Union of Concerned Scientists, May 2011 
http://www.ucsusa.org/assets/documents/nwgs/UCS-Chinese-nuclear-modernization.pdf(2015.5.30 アクセス)
Office of the Secretary of Defense, 2013: “Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2013,” May 2013 
http://www.defense.gov/pubs/2013_China_Report_FINAL.pdf(2015.5.29 アクセス)
Office of the Secretary of Defense, 2015: “Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2015,” April 2015 
http://www.defense.gov/pubs/2015_China_Military_Power_Report.pdf(2015.5.29 アクセス)
Zhang, Hui 2015: Chapter ‘China’, “Assuring Destruction Forever: Nuclear Weapon Modernization around the World” edited by Ray Acheson, 2015, Reaching Critical Will http://www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Publications/modernization/assuring-destruction-forever-2015.pdf(2015.5.30 アクセス)
©RECNA 核弾頭データ追跡チーム

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