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英国の核戦力一覧

【概要】
英国はNPT下の核兵器国のなかで最も核保有量が少ない。2010年5月26日、英政府は唯一の保有核兵器であるトライデント用備蓄弾頭数は将来225発を超えず、また、作戦に供する核弾頭数は160発以下であると議会に対して発表(Hague, William 2010)。2010年10月19日、英国「戦略的防衛及び安全保障の見直し(SDSR)」は225発という上限を再確認するとともに、2020年代中頃までに弾頭数は180以下に削減すると述べた(Office of the Prime Minister 2010)。2015年、議会で作戦に供される核弾頭は120発に削減した(2015年1月20日)と明らかにされたが、2015年NPT再検討準備委員会に提出した政府報告書においても、これが確認された (Government of the U.K. 2015)。弾頭総数215はクリステンセンの統括表による (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2018)。英国は唯一の保有核兵器を次世代版へと更新する計画を実行中である。次世代戦略ミサイル原潜「ドレッドノート」は2011年に設計段階に入り2030年代初期に1隻目が就役予定。搭載弾頭の生産を2019年に決定する予定。現在のトライデント運用費用は年間約20億ポンド(約2900億円)、代替原潜の建造費用は310億ポンド(約4.5兆円)、さらに2030年初期まで現在の原潜を維持する費用は12~14億ポンドと見積もられる(Fenton, Janet 2018)。
2018年6月1日現在
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名称 核弾頭の威力
(キロトン)
核弾頭数 備考
作戦配備 120
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 1) 120
 トライデントII D5 2) 100 120 3)
作戦外貯蔵 95
SLBM 95
全保有数 215
【脚注】
1) バンガード級(※)戦略原潜4隻に搭載。それぞれに16基の米国製のトライデントⅡ (D-5) ミサイルを装備できるが、1隻当たり8基以下に削減するとともに、1隻に搭載する弾頭数を48発から40発に削減 (Government of the U.K. 2015)。常時1隻が海洋パトロールしている抑止態勢(CASD = Continuous At-Sea Deterrent、連続航行抑止)をとっている (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2011)。1ミサイル当り平均3弾頭の装備となる。
※【バンガード級】英国製の最新の戦略原子力潜水艦で4隻ある。1番艦バンガードは1994年12月、2番艦ビクトリアスは1995年12月、3番艦ビジラントは1998年6月、最後の4番艦ベンジアンスは2001年2月に作戦配備された。
2) D-5は米国製、射程7,400km。英国は50基を維持している。3隻分48基に十分な数である。1基のD-5は最大12個の弾頭を搭載できるが、上記のように現状では平均5発を搭載している。弾頭は米国のW76と同じであるが、部品の高性能火薬部分は英国製であり、他の重要部品は米国製、全体として両国の部品で組み立てられている (Ainslie, John 2015)。
2016年6月に4年振りに潜水艦からのD-5発射実験が米フロリダ州沖で行われたが失敗した。失敗情報は隠蔽されていたが2017年1月になって暴露され、政治問題化した(Sunday Times 2017; BBC 2017)。
3) パトロール中の原潜は40発の弾頭を搭載しているので、その3隻分(120発)が作戦配備と数えられている。これは2010年の発表通りの削減が5年で達成したことを意味する。 (Office of the Prime Minister, 2010、及びGovernment of the U.K. 2015)。
【出典】
Ainslie, John: Chapter ‘United Kingdom,’ “Assuring Destruction Forever: 2015 EDITION,” edited by Ray Acheson, 2015, Reaching Critical Will.
http://www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Publications/modernization/assuring-destruction-forever-2015.pdf(2018.5.17アクセス)
BBC 2017: “Trident: Defense Secretary refuses to give test missiles details,” 23 January 2017.
http://www.bbc.com/news/uk-38714047 (2018.5.17 アクセス)
Fenton, Janet 2018: Chapter ‘United Kingdom,’ “Assuring Destruction Forever: 2018 EDITION,” edited by Allison Pytlak, April 2018, Reaching Critical Will.
http://www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Publications/modernization/assuring-destruction-forever-2018.pdf(2018.5.17アクセス)
Government of the U.K. 2015: “National report on the implementation of actions 5, 20, 21 of the action plan of the 2010 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons; Report submitted by the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland” (NPT/CONF.2015/29) 22 April 2015.
Hague, William 2010: Statement on foreign affairs and defense. Daily Hansard, 26 May, 2010.
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2011: “British Nuclear Forces, 2011,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 67, #5, 2011. http://bos.sagepub.com/content/67/5/89.full(2018.5.19 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2018: “Status of World Nuclear Forces,” Website of FAS. http://fas.org/issues/nuclear-weapons/status-world-nuclear-forces/(2018.5.17 アクセス)
Office of the Prime Minister 2010: “Securing Britain in an Age of Uncertainty: The Strategic Defence and Security Review,” October, 2010. https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/62482/strategic-defence-security-review.pdf(2018.5.17 アクセス)。抄訳「不確定な時代における英国の安全:戦略防衛・安全保障見直し」、イアブック:核軍縮・平和2011(監修:梅林宏道、NPO法人ピースデポ)pp.299–302
Sunday Times 2017: “No 10 covered up Trident Missile fiasco,” 22 January 2017.
https://www.thetimes.co.uk/article/no-10-covered-up-trident-missile-fiasco-hch3shsrn (2018.5.17 アクセス)
©RECNA 核弾頭データ追跡チーム

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