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イスラエルの核戦力一覧

【概要】
2017年4月現在、イスラエルの保有核弾頭総数は80と推定される(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2017)。2014年末現在、イスラエルは約300kgの高濃縮ウラン(HEU)と約860 kgの兵器級プルトニウムを保有している(IPFM 2016)。核爆弾一発の製造には控えめに見ても12–18kgのHEUあるいは4–6kgのプルトニウムが必要であることから、イスラエルは159–240発の核爆弾に相当する核分裂性物質を保有していることになる。しかし技術力が高ければ、2–4kgのプルトニウムで核爆弾1発の製造が可能とされており、その場合、イスラエルが保有する核分裂性物質は、核弾頭およそ232–455発に相当する量となる(Union of Concerned Scientists 2004)。Kristensen & Norris はパキスタンが保有する兵器級の濃縮ウランやプルトニウムのすべてを弾頭化していないとし、また、核搭載可能な運搬手段に関する情報等を勘案し、核弾頭数を推定している(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2014)。
イスラエルは核兵器に関して「曖昧政策」、すなわち核兵器保有について否定も肯定もしない公式政策をとり続けている。1979年9月22日、南アフリカ近海の南インド洋はるか上空で、秘密裡に核実験が行われたとの説がある。2013年12月6日、イスラエルの元国会議長アブラハム・バーグ氏が、講演の席で、核兵器と化学兵器の保有を認める発言を行った(The Times of Israel 2013)。
インドやパキスタンと同様、イスラエルも核弾頭と地上発射ミサイルを分離して保管していると見られるが、国外に展開する潜水艦(脚注 3) 参照)においては核弾頭を搭載している可能性がある(McDonnell 2013)。
2017年6月1日現在
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核弾頭保有数 80
内訳 1)
地上発射弾道ミサイル 50
航空機搭載兵器 30
運搬手段 2), 3)
名称 射程(km) ペイロード(kg) 配備年 備考
地上発射弾道ミサイル
ジェリコ 2 1,500–1,800 750–1,000 1990年 4)
ジェリコ 3 < 4,000 1,000–1,300 開発中 5)
航空機搭載爆弾 6)
搭載機:F16A/B/C/D/I 1,600 5,400 1980年 7)
【脚注】
1) Kile & Kristensen は、航空機搭載の無誘導爆弾が30発で、その残りが中距離弾道ミサイルのジェリコ搭載用と見積もっている(Kile, Shannon N. & Kristensen, Hans M. 2016)。
2) 特に記載のない限り、運搬手段の射程とペイロードの出典は Kile & Kristensen(Kile, Shannon N. & Kristensen, Hans M. 2016)。
3) イスラエルはドイツ製のドルフィン級攻撃潜水艦を計6隻配備する予定であり、2015年末までに5隻がイスラエルに納入された(Kile, Shannon N. & Kristensen, Hans M. 2016)。独誌「スピーゲル」は、イスラエルがこれらの配備潜水艦に核巡航ミサイルを搭載していると報じた(Speagel Online 2012)。イスラエルがさらに3隻の潜水艦の購入を計画しているという報道もある(The Times of Israel 2016)。
4) 固体燃料、二段式、道路移動型(Missile Threat 2017)。50基(Kile, Shannon N. & Kristensen, Hans M. 2016)。2026年まで段階的にジェリコ3に置き換わると見られている(Missile Threat 2017)。
5) 固体燃料。2013年7月12日に発射テストをしたとみられる(Schell, Phillip Paton & Kristensen, Hans M. 2014)。
6) F15I航空機(ストライク・イーグル。イスラエル名:ラアム。25機)の一部も核任務を持つと見られている(Schell, Phillip Paton & Kristensen, Hans M. 2014)。
7) 205機の一部が核任務の一部を持つと推定される(Schell, Phillip Paton & Kristensen, Hans M. 2014)。
【出典】
IPFM (International Panel on Fissile Materials) 2016: “Fissile material stocks,” http://fissilematerials.org/(2017. 5. 31アクセス)
Kile, Shannon N. & Kristensen, Hans M. 2016: “Israeli nuclear forces,” SIPRI Yearbook 2016 Armaments, Disarmament and International Security, Oxford University Press, 2016. pp.653-654.
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2017: “Status of World Nuclear Forces,” Federation of American Scientists. http://fas.org/issues/nuclear-weapons/status-world-nuclear-forces/ (2017.5.31 アクセス)
McDonnell, Timothy 2013: “Nuclear pursuits: Non-P5 nuclear-armed states. 2013,” Bulletin of the Atomic Scientists, January/February 2013, vol.69 no.1, pp.62–70.
Missile Threat 2017: “Jericho 2,” https://missilethreat.csis.org/missile/jericho-2/(2017.5.31アクセス)
Spiegel Online 2012: “Secret Cooperation: Israel Deploys Nuclear Weapons on German-Built Submarines,” 3 June 2012. http://www.spiegel.de/international/world/israel-deploys-nuclear-weapons-on-german-submarines-a-836671.html(2017.5.31アクセス)
Schell, Phillip Paton & Kristensen, Hans M. 2014: “Israeli nuclear forces,” SIPRI Yearbook 2014 Armaments, Disarmament and International Security, Oxford University Press, July 2014. pp.333–334.
The Times of Israel 2016: “Israel looks to buy three new nuke-capable subs – report,” 21 October 2016, http://www.timesofisrael.com/israel-looks-to-buy-three-new-nuclear-capable-subs-report/(2017.5.31アクセス)
Union of Concerned Scientists 2004: “Weapon Materials Basics (2009),” http://www.ucsusa.org/nuclear-weapons/nuclear-terrorism/fissile-materials-basics#.WUTTElFpyM8(2017.6.17アクセス)
©RECNA 核弾頭データ追跡チーム

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