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フランスの核戦力一覧

2016年6月1日現在
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名称 核弾頭の種類 核弾頭の威力
(キロトン)
核弾頭数 備考
作戦配備 280
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 1) 240
 MSBS M51 2) TN75 100 240 3)
爆撃機など航空機搭載 40
 爆撃機搭載 ASMPA 4) TNA 可変〜300 40 5)
 空母艦載機用 ASPMA 6) TNA 可変〜300 0 7)
作戦外貯蔵 〜10
SLBM
爆撃機など航空機搭載 〜10 8)
退役・解体待ちなど 〜10 9)
全保有数 300
【概要】
大枠となる弾頭数について公的情報がある。サルコジ大統領が「300弾頭以下に削減する」と発表(2008年3月21日)(Sarkozy, Nicolas M. 2008.03)したのに続いて、オランド大統領がその完了を含め現状を確認した(2015年2月19日)(HOLLANNDE François 2015)。2015年NPT再検討会議に提出した報告書(Government of France 2015)で、弾頭数が300以下であること、潜水艦発射弾道ミサイル数が1隻あたり16基で3隻分あること、空中発射核巡航ミサイル数が54発であることなど大統領演説の内容を再確認した。54発という数字は、この一覧表では、作戦配備の「爆撃機など航空機搭載」40発と作戦外貯蔵の「爆撃機など航空機搭載」10発との合計50発に該当するが、差の4発はその後退役して予備弾頭になったと推定される。核兵器関連費用は全軍事費の約3分の1と見積もられるが、2015年の場合約28万ドルと見積もられ、別の試算では42万ドルに達する(Kristensen, Hans M. 2015)。
【脚注】
1) 4隻のトリオンファン級(※)原子力潜水艦(SSBN):トリオンファン、テメレール、ビジラン、テリブルに搭載。うち少なくとも2隻が完全作戦体制にあり、そのうちの1隻が抑止パトロール(約10週)に就いている。基地はブレスト近くのロング島(Ile Longue)という半島(Kristensen, Hans M. 2015)。
※【トリオンファン級】前型最後のSSBNアンフレキシブルは2008年1月に退役(Norris, Robert S. & Kristensen, Hans M. 2008)。2010年9月20日、テリブルが就航し4隻体制になった。16基のミサイル発射管を装備する。
2) MSBS=Mer-Sol Balistique Stratégiqueの頭文字。フランス語で「艦対地戦略弾道ミサイル」。旧型M45(射程4,000 km以上、6弾頭MIRV 可能)から射程が長く、搭載重量が大きく、精度も高い新型M51に転換中。4隻中2隻はすべてM51を搭載(Kristensen, Hans M. 2015)。(現在のバージョンは51.1と名付けられる)。その発射実験は2010年1月27日と7月10日に行われた。2013年5月5日、ビジランからの発射実験に失敗した(Collin, Jean-Marie 2013)。M51は熱核弾頭TN75(※)を装着。2016年からTN75がTNO(Tête Nucléare Océanique、海洋型核弾頭)になり、ミサイルはM51.2に置き換わる予定(Kristensen, Hans M. 2015)。
※【TN75】フランスが1995~96年、ムルロアで行った最後の核実験で実証実験が行われた熱核弾頭。TNはフランス語の核弾頭(Tête Nucléare)の頭文字。
3) 4隻のうち3隻に交替で弾頭が装備される運用体制と考えられ、1隻はオーバーホール(Kristensen, Hans M. 2015)、3隻×16発射管×(4–6)MIRVと弾頭数が計算される。平均すると5発の多弾頭運用となる。
4) ASMPA=Air-Sol Moyenne Portée Amélioréの頭文字。フランス語で「空対地中距離改良型」。射程500 kmの巡航ミサイル。弾頭はTNA(Tête Nucléare Aéroportéeの頭文字。航空核弾頭)
5) 2種類の戦闘爆撃機ミラージュ2000N(※)、ラファールF3(※)各20機に搭載。1機あたり1弾頭。(Kristensen, Hans M. 2015
※【ミラージュ2000N】1988年に作戦配備。2009年にASMPAを装備。航続距離2,750 km。(Kristensen, Hans M. 2015
※【ラファールF3】2008年に作戦配備。2010年にASMPAを装備。航続距離2,000 km。(Kristensen, Hans M. 2015
6) フランスが持つ唯一の空母シャルル・ドゴール(R92、原子力推進)の艦載機ラファールMF3(※)の10機が核任務をもつ。以前はシュペール・エタンダールがこの核任務を担っていたが、ラファールMF3にとって代わられた。前者は2016年に退役予定(Kristensen, Hans M. 2015)。
※【ラファールMF3】2010年に作戦配備。2011年にASMPA装備。航続距離2,000 km(Kristensen, Hans M. 2015)。
7) 空母シャルル・ドゴールには、平時において核兵器は搭載されていない。艦載機ラファールMF3に搭載のためのASMPA約10発は陸上基地(おそらくイストレ(Istres)航空基地)に貯蔵されている(Kristensen, Hans M. 2015)。その意味で、中国の場合と同様に作戦外貯蔵に分類した。
8) 空母艦載機用ASMPA約10発を含む。
9) オランド大統領の発表では、「非配備の核兵器はない」と述べた(HOLLANNDE François 2015)。2015NPT再検討会議でも同様の報告を行った(Government of France 2015)が、米国の「即応核戦力」のような目的で非配備の予備核兵器をもっていない、という趣旨と思われる。実際には核弾頭の維持サイクルの中で、作戦貯蔵にはない、新しい弾頭、修理中の弾頭、解体を待っている弾頭などが少数あると推定される(Kristensen, Hans M. 2015)。
【出典】
Collin, Jean-Marie 2013: “The M51 missile failure: where does this leave French nuclear modernization?,” BASIC Blog, June 27, 2013.
http://www.basicint.org/blogs/2013/06/m51-missile-failure-where-does-leave-french-nuclear-modernization (2015.5.30 アクセス)
Government of France 2015: “Report submitted by France under actions 5, 20, 21 of the Final Document of the 2010 Review Conference of the Parties to the Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons,” (NPT/CONF.2015/10) 12 March 2015.
HOLLANNDE François 2015: “Speech on Nuclear Deterrence,” 19 February, 2015. 非公式英訳:http://acdn.net/spip/spip.php?article921&lang=en (2016.5.12 アクセス)
抜粋和訳:http://www.peacedepot.org/nmtr/bcknmbr/nmtr470.pdf (2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. 2015: Chapter ‘France,’ “Assuring Destruction Forever: 2015 EDITION,” edited by Ray Acheson, 2015, Reaching Critical Will.
http://www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Publications/modernization/assuring-destruction-forever-2015.pdf (2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2016: “Status of World Nuclear Forces,” Website of FAS. http://fas.org/issues/nuclear-weapons/status-world-nuclear-forces/ (2016.5.12 アクセス)
Norris, Robert S. & Kristensen, Hans M. 2008: “French nuclear forces, 2008,” Bulletin of the Atomic Scientists, September/October, 2008.
Sarkozy, Nicolas M. 2008: English version: “Presentation of SSBM ‘Le Terrible’ – Speech by M. Nicolas Sarkozy, President of the Republic,” 21 March 2008
http://www.ambafrance-uk.org/President-Sarkozy-s-speech-at,10430.html(2013.7.10 アクセス)。抄訳:「ニコラ・サルコジ仏共和国大統領の演説」、イアブック:核軍縮・平和2008(監修:梅林宏道、NPO法人ピースデポ)pp.250–252.
©RECNA 核弾頭データ追跡チーム