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中国の核戦力一覧

2016年6月1日現在
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名称 NATO名 射程(km) 核弾頭の威力
(キロトン)
核弾頭数 備考
作戦配備 0 1)
作戦外貯蔵 230 2)
地上配備弾道ミサイル 3) 163 4)
 東風 DF-3A CSS-2 3,000 3,300 ? 5)
 東風 DF-4 CSS-3 5,500 + 3,300 10 6)
 東風 DF-5A CSS-4 M2 13,000 + 4,000–5,000 10 7)
 東風 DF-5B CSS-4 M3 13,000 + 3×200–300 30 7)
 東風 DF-15 CSS-6 600 ? ? 8)
 東風 DF-21 CSS-5 2,150 200–300 80 9)
 東風 DF-31 CSS-10 M1 7,000 + 200–300 ? 8 10)
 東風 DF-31A CSS-10 M2 11,000 + 200–300 ? 25 11)
 東風 DF-41 CSS-X-20 ? ? ? 12)
地上発射巡航ミサイル ?
 DH-10 CJ-10 1,500 + ? ? 13)
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 48 14)
 巨浪 JL-1 CSS-NX-3 1,000 + 200–300 0 15)
 巨浪 JL-2 CSS-NX-14 7,000 + 200–300 ? 48 16)
航空機搭載爆弾 20
 核爆弾 20 17)
空中発射巡航ミサイル
 DH-20 CJ-20? ? ? ? 18)
退役・解体待ちなど 〜30 19)
全保有数 260
【概要】
中国は、NPT加盟核兵器国の中で唯一、弾頭数を増やしている国である。しかし、増加の速度は緩やかであり、必ずしも攻撃的傾向とは言えない。同じ著者による弾頭数の推定が、2015年8月に250から260に増加した(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。 地上配備弾道ミサイルの一部の多弾頭化に起因するところが大きい。量ではない部分で、多弾頭化の進行や戦略原子力潜水艦の抑止パトロールの開始に伴う今後の動向に注目する必要がある。表の弾頭数は、断りのない限り文献(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)によっている。概数であることを示す記号をいちいち付していないが、すべて数字は概数である。米本土に届く長距離弾道ミサイルの数は、約65発である(DF-5A、DF-5B、DF-31A)。一方、核弾頭総数は260発ではなくて190発が妥当だとする最近の文献もある(Zhang, Hui 2015)。
【脚注】
1) 核弾頭はミサイルと別に貯蔵されているので、作戦配備ではなくて作戦外貯蔵と見なす。(Kulacki, Gregory 2011; Kristensen, Hans & Norris, Robert S. 2015)
2) 231を丸めた。
3) DF-4、DF-5A、DF-5B、DF-31、DF-31Aは大陸間弾道ミサイル(ICBM、射程5,500 km以上)、DF-15は短距離弾道ミサイル(SRBM、射程1,000 km以下)、他は中距離弾道ミサイル(IRBM、射程1,000–5,500 km)。後者のうち3,000 km以下のものを準中距離弾道ミサイル(MRBM)と呼ぶこともある。
4) カーンズ(Kearns, Ian 2011)は130–140、カラーキー(Kulacki, Gregory 2011)は155、チャン(Zhang, Hui 2015)は120と推定している。
5) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。移動型。米国情報機関によれば単弾頭。1971年に配備。退役途上にあり、DF-21に置き換えられつつある (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。弾頭数を5 (Zhang, Hui 2015) と見積もる研究者もいる。
6) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。移動型。全て、または一部がトンネル内に配備。米国情報機関によれば単弾頭。80年に配備。インド、ロシアの一部、グアムに届く (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。DF-31に置き換えられつつある。弾頭数を17 (Kearns, Ian 2011)、10 (Zhang, Hui 2015) と見積もる研究者もいる。
7) 東風はドンフォンと読む。液体燃料。サイロ型。米国情報機関によれば単弾頭。81年配備。80年代初期以来、米国、ロシアを標的とした (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。最新の米国防総省の報告書は、M3型として多弾頭のものがあると初めて記述した (Office of the Secretary of Defense 2015)。2016年の同報告書も同内容を再確認した(Office of the Secretary of Defense 2016)。ここでは、DF-5Aの半分が多弾頭3のDF-5Bになったと計算されている (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。

8) 米国CIAが、1990年8月の核実験が短距離弾道ミサイル用の弾頭開発の可能性があるとし、1993年9月には翌年に配備が始まると推定した。DF-15は大部分、核・非核両用と考えられる。弾頭数について推定できない。(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)
9) 東風はドンフォンと読む。旧式M1の射程は1,750 kmだが、新式M2の射程は2,150 kmと推定される (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。中国の中距離ミサイルの主力。固体燃料、2段式。移動型。米国情報機関によれば単弾頭。81年に配備。徐々に DF-3A、DF-4と置き換えられている。弾頭数は55–60 (Kearns, Ian 2011)、60 (Zhang, Hui 2015) との見積りもある。通常弾頭のDF-21もあり、核兵器用のミサイルのみで約80基と見積もられる。
10) 東風はドンフォンと読む。固体燃料、3段式。移動型。2006年初期配備。米国情報機関によれば単弾頭。弾頭数を10–15 (Kearns, Ian 2011)、10 (Zhang, Hui 2015) と見積もる研究者もいる。よく分からない理由で、配備の増加が中断している。米国防総省は射程を7,200+kmと推定 (Office of the Secretary of Defense, 2013)。
11) 東風はドンフォンと読む。固体燃料、3段式。移動型、道路移動とレール移動の両方がある (Gertz, Bill 2016)。2007年配備。米国情報機関によれば単弾頭。単弾頭だが、ミサイル防衛に備えておとりなどを伴うと考えられる。文献によると、6–10弾頭の多弾頭化が可能であり、2016年4月19日、道路移動式発射台から2弾頭の発射テストが行われたことを米国防総省が確認した (Gertz, Bill 2016)。弾頭数を10–15 (Kearns, Ian 2011)、15 (Zhang, Hui 2015) と見積もる研究者もいる。米国防総省は射程を11,200+kmと推定 (Office of the Secretary of Defense 2015)。
12) 東風はドンフォンと読む。開発中の道路移動型。1997年に米国防総省が報告していたが、その後記述がなかった。2014年に復活。多弾頭の可能性 (Office of the Secretary of Defense 2016)。
13) 地上発射対地攻撃巡航ミサイル。米空軍はその核能力について「通常あるいは核」能力と述べたことがある。ミサイル数は不確実 (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。米国防総省は射程を1,500+kmと評価(Office of the Secretary of Defense 2016)。
14) これらを搭載する2種類の原子力潜水艦(夏(シァ)級と晋(ジン)級)があったが、夏(シァ)級は退役したと考えられる(次項参照)。晋(ジン)級のみが現役。しかし、戦略抑止パトロールは未達成で、2016年に始まると予想 (Office of the Secretary of Defense 2016)。しかし、平時パトロールは、中国の基本ドクトリンの変更を必要とするともに、新しい通信システム、指揮・統制の技術システムも必要と考えられる (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。
15) 巨浪はジュランと読む。単弾頭。1986年に配備。戦略原潜・夏(シァ)級(中国名:大慶魚、092型)に搭載の予定。12発射管。2015年の米国防総省報告以来、名前が記述されておらず、原潜とともに一度も使われることなく退役したと考えられる(Office of the Secretary of Defense 2015; Office of the Secretary of Defense 2016)。弾頭は退役した弾頭に数えた。
16) 巨浪はジュランと読む。単弾頭。DF-31の変形。新世代原潜・晋(ジン)級(094型)に搭載する計画。12発射管。発射テストに失敗していたが、2013年に発射テストに成功。米国情報機関は、2013–14年に初期作戦能力を達成すると予想していたが (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)、2016年の米国防総省報告では、晋級は4隻が作戦配備されており、5隻が建造中とされる(Office of the Secretary of Defense 2016)。同報告は射程を7,400 kmと推定している。弾頭数は4隻分48発とした。
17) 爆撃機「轟(ホン)」H-6(NATO名:B-6)100–120機のうちの20機が核任務を持つと推定。戦闘半径3,100 km。1965年配備。ソ連のTu-16 (バジャー) の変形だが現在も高性能化が進んでいる (Office of the Secretary of Defense 2016)。また、戦闘爆撃機が核実験に使われたことがあるが、実戦配備されたか否かは不明 (Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。
18) 開発中。改良型戦闘爆撃機「轟(ホン)」H-6に搭載予定。米空軍グローバルストライク軍が核能力ありと推定。しかし、米国防省内で統一した記述がない(Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015)。
19) DF-3A、JL-1など退役・解体待ちなど。
【出典】
Gertz, Bill 2016: “China Flight Tests New Multiple-Warhead Missile,” The Washington Free Beacon, April 19, 2016.
http://freebeacon.com/national-security/china-flight-tests-multiple-warhead-missile/ (2016.5.12 アクセス)
Kearns, Ian 2011: “Beyond the United Kingdom: Trends in the Other Nuclear Armed States,” BASIC Trident Commission, November 2011. 数字はホルスラグからの引用(Holslag, Jonathan 2010: “Trapped Giant: China’s Military Rise,” IISS, 2010)。 http://www.basicint.org/sites/default/files/commission-briefing1.pdf(2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. 2013-1: “Status of World Nuclear Forces Early-2013,” FAS Nuclear Information Project. http://www.fas.org/programs/ssp/nukes/nuclearweapons/nukestatus.html(2013.7.10 アクセス)
Kristensen, Hans M. 2013-2: “Chinese Nuclear Developments Described (and Omitted) by DOD Report,” FAS Strategic Security Blog, May 14, 2013. http://blogs.fas.org/security/2013/05/china2013/#more-6024(2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2011: "Chinese Nuclear Forces, 2011," Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 67, #6, 2011.
http://bos.sagepub.com/content/67/6/81.full(2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2013: "Chinese Nuclear Forces, 2013," Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 69, #6, 2013.
http://bos.sagepub.com/content/69/6/79.full(2016.5.12 アクセス)
Kristensen, Hans M. & Norris, Robert S. 2015: "Chinese Nuclear Forces, 2015," Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 71, #4, 2015.
http://bos.sagepub.com/content/71/4/77.full.pdf+html (2016.5.12 アクセス)
Kulacki, Gregory 2011: “China’s Nuclear Arsenal: Status and Evolution,” Union of Concerned Scientists, May 2011. http://www.ucsusa.org/assets/documents/nwgs/UCS-Chinese-nuclear-modernization.pdf(2016.5.12 アクセス)
Office of the Secretary of Defense 2013: “Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2013,” May 2013. http://www.defense.gov/pubs/2013_China_Report_FINAL.pdf(2015.5.29 アクセス)
Office of the Secretary of Defense 2015: “Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2015,” April 2015. http://www.defense.gov/pubs/2015_China_Military_Power_Report.pdf(2016.5.12 アクセス)
Office of the Secretary of Defense 2016: “Annual Report to Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2015,” April 26, 2016. http://www.defense.gov/Portals/1/Documents/pubs/2016%20China%20Military%20Power%20Report.pdf(2016.5.26 最新のアクセス)
Sanger David E. & Broad William J. 2015: “China Making Some Missile More Powerful,” May 16, 2015. http://www.nytimes.com/2015/05/17/world/asia/china-making-some-missiles-more-powerful.html(2015.8.15 アクセス)
Zhang, Hui 2015: Chapter ‘China’, “Assuring Destruction Forever: Nuclear Weapon Modernization around the World” edited by Ray Acheson, 2015, Reaching Critical Will. http://www.reachingcriticalwill.org/images/documents/Publications/modernization/assuring-destruction-forever-2015.pdf(2016.5.12 アクセス)
©RECNA 核弾頭データ追跡チーム