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第67回国連総会第一委員会
核軍縮の人道的側面に関する共同声明
2012
年10月22日、ニューヨーク
<暫定訳>

 

議長、

私は、アルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、バングラデシュ、ベラルーシ、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、デンマーク、エクアドル、エジプト、アイスランド、インドネシア、アイルランド、カザフスタン、リヒテンシュタイン、マレーシア、マルタ、マーシャル諸島、メキシコ、ニュージーランド、ナイジェリア、ノルウェー、ペルー、フィリピン、サモア、シェラレオネ、南アフリカ、スワジランド、タイ、ウルグアイ、ザンビア、そしてスイスの34か国ならびにオブザーバー国であるバチカンを代表し、発言しています。

我々は、核兵器のいかなる使用もがもたらすであろう人道的結果を深く懸念しております。我々は、過去数年においてこの問題に対する関心が高まっていることを歓迎いたします。2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議は、「核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことに深い懸念」を表明し、また、「すべての国家いかなる時も、国際人道法を含め、適用可能な国際法を遵守する必要性」を再確認しました。2010年以降、いくつもの国連総会決議、あるいは他の議論の場において、この問題がいっそう重んじられてきたことに我々は勇気付けられております。

議長、

核兵器の人道的側面に関し、深刻な懸念が繰り返し表明されてきました。広島と長崎において、それらの使用の恐るべき結果が明らかになった時に、国際赤十字委員会(ICRC)は、それらの「殲滅的な」兵器の廃絶を求めるという立場を明らかにしました。

核兵器の使用の純然たる恐怖は、1946年に国連総会が採択した第一号決議に盛り込まれ、その後も主要な多国間の諸文書に反映されました。NPTの前文は、「核戦争が全人類に惨害をもたらすものであり、したがって、このような戦争の危険を回避するためにあらゆる努力を払い、及び人民の安全を保障するための措置をとることが必要であること」と言及しています。1978年の第一回国連軍縮特別総会(SSOD-1)は、核兵器が人類ならびに文明の生存に対する最大の脅威であることを強調しました。それらの採択から数十年が経過した今も、そうした懸念の表現は妥当であり、それは核兵器が存在する限り変わることはありません。

もしこのような兵器が、意図的にであれ、偶発的にであれ、再び使用されることがあれば、甚大な人道的結果をもたらすことは避けられません。ICRCがすでに結論付けているように、国際的な緊急援助を提供する機関は、その責務を果たすことは不可能でしょう。直接の犠牲者に加え、核爆発の恐ろしい影響から辛うじて生き延びた人々も、計り知れない苦しみを耐え忍ぶことになるでしょう。たった一発の核兵器の放出する放射能であろうとも、極めて広い地域の人口、農業および天然資源に影響を及ぼし、また将来の世代にわたって脅威となることを、いくつかの研究はすでに示しています。さらにいくつかの研究は、「核兵器による限定された交戦」――それ自体言葉の矛盾です――であっても、10億人を超える人々に影響を与える世界的な飢饉を引き起こしかねない、環境と食糧生産に対する深刻かつ長期間にわたる影響を伴う地球規模の気候変動をもたらすと結論づけています。

議長、

核兵器は、人類の生存に対して脅威となる破壊的な能力を有しており、それらが存在し続ける限り、人類に対する脅威も存続します。これは、これらの兵器に付随すると目されている政治的な価値や威信とも相まって、拡散と国際的な義務に対する不遵守を促進するさらなる要因です。さらに、冷戦の終結後においてすら、核による絶滅の脅威が、21世紀における国際的な安全保障の状況の一部であり続けていることは、深刻な懸念です。

伝統的な安全保障上の問題に対処するうえでの、このような大量破壊の手段の有用性に対し、多くの国々ならびに市民社会の専門家により疑問が呈されてきています。さらに、核兵器は、貧困、保健、気候変動、テロリズムあるいは国際犯罪のような現在の問題に対処するうえで、役に立ちません。少なくとも、社会福祉、保健衛生、また教育のために利用できる資金が減少している時に、毎年核兵器の備蓄を維持し、近代化し、また拡大するために巨額の財源を使うことは、疑問に思えます。選択肢は明らかです。

議長、

核兵器に特有の破壊力や、時間的、空間的な影響における制御不能性に起因する人道上の深刻な懸念は、重要な法的な問題をも提起しています。国際人道法のすべての規則は、核兵器に対して完全に適用が可能です。とりわけ、それらの規制には、目標区別、均衡性および予防措置、ならびに過度の障害または無用の苦痛の禁止、また、広範な、長期の、重大な環境への損害の禁止が含まれます。昨年11月、国際赤十字および赤新月社運動代表者会議は、あらゆる核兵器の使用に起因する計り知れない人間の苦痛を強調するだけでなく、いかなる核兵器の使用であっても、国際人道法の規則といかに両立しうるかを思い描くことは困難であることを強調する決議を採択しました。

議長、

もっとも重要なことは、このような兵器が、いかなる状況に下においても二度と使用されないことです。これを保証する唯一の方法は、NPT第6条の完全な履行を通じたものを含め、効果的な国際管理の下での全面的、不可逆的かつ検証可能な核兵器の廃絶であります。すべての国家は、核兵器を非合法化し、核兵器のない世界を実現するための努力を強めなければなりません。市民社会は、核兵器の著しい人道的結果および国際人道法の関与の必要性についての意識を高めるうえで、重要な役割を果たします。

核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことは、国際社会全体の懸案であります。したがいまして、国連総会は、この問題に包括的に取り組んでゆく上で、とりわけ重要な役割を担っております。

ご清聴ありがとうございました。

 

(暫定訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター)

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