第58回国連総会・新アジェンダ連合(NAC)決議
非戦略核兵器の削減
2003年12月8日採択、A/RES/58/50
共同提案国:ブラジル、エジプト、アイルランド、メキシコ、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン
追加提案国:チリ、コスタリカ、エルサルバドル、パラグアイ、ソロモン諸島
総会は、
2000年11月20日の決議55/33D、2002年11月22日の決議57/58と決議57/59を想起し、
2000年核不拡散条約(NPT)締約国再検討会議の最終文書にある、すべての締約国がNPT第6条の下で誓約している核軍縮につながるような、保有核兵器の完全廃棄を達成するという核兵器国による明確な約束を強調し、※
国際の平和と安全の確保には軍縮と不拡散が不可欠であることを認識し、
NPT締約国が、いかなる時、いかなる状況においても同条約における義務に厳格に従うことの必要性と※、2000年および1995年の再検討会議で合意された決定および最終文書における誓約を支持することの必要性を再確認し、
1996年7月8日にハーグで出された国際司法裁判所(ICJ)による「核兵器による威嚇またはその使用の合法性」に関する勧告的意見に留意し、※
核軍縮につながるような、透明性、検証可能性、不可逆性をもった核兵器の削減を行なうという責任が核兵器国にあることをくり返し、
2000年NPT再検討会議の最終文書において、非戦略核兵器のさらなる削減を行うという誓約がなされたことを強調し、※非戦略核兵器のさらなる削減が、核軍備の削減と軍縮の過程における不可欠な一部分を構成することを確信し、
その軽便性や紛争地域への近接性のために非戦略核兵器がもたらす脅威を懸念し、
したがって、その拡散および使用の危険性を懸念し、
新型の低威力非戦略核兵器の開発の可能性など、安全保障政策の一環として核兵器により広い役割を認めるアプローチが現れつつあることを懸念し、
非戦略核兵器に関連して、透明性および公式の同意が欠如していることを考慮し、
核兵器の廃棄に向けた重要な一歩として、非戦略核兵器のさらなる削減に、より高い優先性が与えられるべきであること、そして、それが包括的な方法で実施されるべきであることを強調し、
1. 非戦略核兵器の削減および廃棄が、一方的なイニシャティブに基づくものであること、そして、核軍備削減と軍縮過程における不可欠な一部分として含められるべきであることに合意する。
2. 非戦略核兵器の削減が、透明性、検証可能性、不可逆性を持つ方法で行われるべきであると合意する。
3. アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国/ロシア連邦による、1991年と1992年の非戦略核兵器に関する大統領核イニシャティブを維持し、再確認し、履行することの重要性について合意する。
4. 大統領核イニシャティブを条約として公式化し、このような兵器のさらなる削減に関する交渉に着手することを、ロシア連邦とアメリカ合衆国に要求する。
5. NPTの下で誓約された核軍縮過程の一環として、核兵器国が非戦略核兵器を取り除き、のちに廃棄するため、非戦略核兵器、その部品、関連物質の輸送および保管のための特別保安装置や物理的な防護措置を、とりわけ、物理的に安全な中央の保管場所にそれらの兵器を置くことを通じて強化することの重要性を強調する。※またこれに関連して、このような兵器を保持するすべての核兵器国に必要な措置をとるよう要求する。
6. 非戦略核兵器による脅威を低減するために、さらなる信頼醸成と透明化の措置を要求する。
7. 非戦略核兵器が使用される危険性を低くするために、非戦略核兵器システムの作戦上の地位のさらなる低減に向けた具体的な合意措置を要求する。
8. 作戦配備の兵器の数や種類を増やさない、また新型のこのような兵器の開発やそれらの使用を正当化しないという、このような兵器を保有する核兵器国による約束が必要であることを強調する。
9. いくつかの核兵器国の保有核兵器からすでに外された種類の非戦略核兵器を禁止すること、これらの兵器の廃棄における検証のための透明性メカニズムを構築することを要求する。
10. 「非戦略核兵器の削減」と題する議題を第60総会の暫定議題に含めることを決定する。
(翻訳:特定非営利活動法人ピースデポ)
※印には参照すべき原文の題名等が記載されているが省略した。