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第70回国連総会
核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動
2015年10月21日、A/C.1/70/L.26

アフガニスタン、オーストラリア、ベルギー、ベリーズ、ベニン、ブルガリア、ブルキナ・ファソ、カナダ、チリ、コスタリカ、クロアチア、チェコ共和国、デンマーク、エルサルバドル、エストニア、フィンランド、ジョージア、ドイツ、ギリシャ、グレナダ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ケニヤ、キルギスタン、ラトビア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、マラウィ、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナミビア、オランダ、ナイジェリア、ノルウェー、パナマ、パプアニューギニア、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、セネガル、セルビア、セーシェル諸島、スロバキア、スロベニア、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、バヌアツ共同提出決議案

 総会は、

核兵器のない平和で安全な世界の達成に向けた誓約を再確認し、

 2014年12月2日の決議69/52を想起し、

 今年が広島・長崎への原爆投下ならびに第二次世界大戦終結の70周年にあたることを想起し、

 国際的な核不拡散体制における礎石として、また、核軍縮、核不拡散、核エネルギーの平和利用という同条約の三本柱を追求するための不可欠な基礎として、核不拡散条約(NPT)※の死活的な重要性を再確認し、

 核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道上の結末をもたらすことに深い懸念を表明し、すべての加盟国がいかなる時も、国際人道法を含む、適用可能な国際法を遵守する必要性を再確認するとともに、核使用を回避するためにあらゆる努力がなされるべきであることを確信し、

 核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の結末が十分に理解されるべきであり、関連してそうした理解を広げる努力が行われるべきであることに留意し、

 国際の平和と安全の増進と核軍縮の促進は相互に強めあうものであることを再確認し、

 核軍縮の一層の前進が核不拡散のための国際体制の強化に貢献し、そのことがとりわけ国際の平和と安全において不可欠であること再確認し、

 軍縮の過程における加盟国の努力の究極の目標が、厳格かつ効果的な国際管理の下に置かれた全面完全軍縮であることに留意し、

 1995年のNPT再検討・延長会議※における決定及び決議、ならびに2000年※と2010年※のNPT再検討会議における最終文書の重要性を強調し、

 地域の関係各国の自由意思で合意された取決めに基づき、中東に核も、他の大量破壊兵器も、それらの運搬手段も存在しない地帯を設立すること、そしてその目的のために関係各国を含めた対話を再開させることへの支持を再確認し、

 2015年4月27日から5月22日にかけて開催された2015年再検討会議が全会一致の成果を生み出せなかったことを遺憾とするとともに、そこで行われた議論を考慮に入れつつ、2020年再検討会議に向けた次の再検討サイクルにおける前進の重要性を強調し、

 戦略攻撃兵器のさらなる削減及び制限のための措置に関するアメリカ合衆国とロシア連邦との間の条約が引き続き成功裏に履行されていることを歓迎し、

 また、フランス、英国、米国が核弾頭の全備蓄数に関する情報を公開し、最近においても更新したこと、ならびにロシアが保有核兵器に関する情報を更新したことについて、さらなる透明性向上と相互信頼の向上に資するものであるとして歓迎し、

 拡散ネットワークによるものを含め、大量破壊兵器、とりわけ核兵器の拡散による危険が増大していることに深い懸念を表明し、

 加盟国共通の目標である核軍縮、核不拡散、核エネルギーの平和利用とならんで核セキュリティの目標の重要性を認識し、2016年に米国で開催されるものを含めた核セキュリティサミットの開催を歓迎し、また、核セキュリティ―の枠組みのグローバルな強化や核セキュリティ―の分野における国際活動の調整において国際原子力機関(IAEA)が果たしている中心的役割を再確認し、

 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が実施した核実験、弾道ミサイル技術を用いての発射行為、ならびに同国が継続している核及び弾道ミサイル開発計画を最も強い言葉をもって非難し、同国が NPTの下での核兵器国の地位を持ち得ないことを想起し、その核兵器保有に国際社会が反発していることを再度強調し、ウラン濃縮及びプルトニウム生産計画を含めた同国の現在の核活動に対する深い憂慮を表明し、

 1.すべての加盟国は、すべてにとってより平和な世界、ならびに核兵器のない平和で安全な世界を達成することを目指し、核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動をとるという決意を一新する。

 2.これに関連し、すべての核不拡散条約(NPT)加盟国が第6条の下で誓約している核軍縮につながるよう保有核兵器の全面的廃絶を達成するとした、核兵器国による明確な約束を再確認する。

 3.核兵器使用による人道上の結末に対する深い懸念が、核兵器のない世界に向けたすべての国家の努力を支え続けていることを強調する。

 4.すべてのNPT加盟国が、条約の全条項に基づく義務を遵守し、1995年再検討・延長会議及び2010年再検討会議の最終文書で合意された諸措置を履行することを求める。

 5.すべてのNPT未加盟国が、その普遍性の達成をめざして即時かつ無条件に非核兵器国として加盟するとともに、条約加盟までの間においては、すべての条項を遵守し、条約を支持する実際的な措置を講じることを求める。

 6.すべてにとって減じず、強化された安全保障という原則の下、核兵器の全面的廃絶に向けてさらなる実際的な措置や効果的な措置を講じることをすべての加盟国に求める。

 7. ロシアと米国が、可能な限り早期の交渉妥結をめざし、核兵器備蓄のさらなる削減の達成に向けた交渉を一日でも早く開始することを奨励する。

 8. すべての核兵器国が、世界的な核備蓄のさらなる削減の促進に向け、一方的、二国間、地域的あるいは多国的措置を通じて、配備・非配備を問わず、あらゆる種類の保有核兵器を削減することを求める。

 9. すべての加盟国が、核軍縮及び不拡散のプロセスに関連して、不可逆性、検証可能性、透明性の原則を適用することを求める。

 10.関係各国が、核兵器の役割や重要性の一層の低下をめざし、軍事・安全保障上の概念、

ドクトリン、政策を継続的に見直ししていくことを求める。

 11.核兵器を保有するすべての国家が、意図的でない核爆発の危険性に包括的に対処していく上で必要となるあらゆる努力に継続的に取り組むことを要請する。

 12.核兵器国が、核軍縮の行動の促進をめざした定期会合を継続的に開催し、透明性向上に向けた努力を拡大させ、相互信頼を増進することを奨励する。これには、2020年再検討会議に向けたNPT再検討プロセスにおける核軍縮努力の中で廃棄・削減された核兵器や運搬システムに関するより頻繁かつ詳細な報告の提出が含まれる。

 13.すべての関係各国が、国連軍縮委員会の1999年指針に従い、適切な地域にさらなる非核兵器地帯を設立するとともに、非核兵器地帯条約とその関連議定書、とりわけ核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないことを定めた法的拘束力のある保証を含む議定書を批准することを奨励する。

 14.すべての加盟国、とりわけ包括的核実験禁止条約(CTBT)付属文書2※の発効要件国のうち残る8か国が、2016年が条約の署名開放20周年にあたることを心に留め、さらなる遅滞なく、また、他国の行動を待つことなしに、条約の署名及び批准に向けた個別のイニシアティブを実施するとともに、CTBT発効までの間、核兵器の爆発実験もしくは他のすべての核爆発に関する現行のモラトリアムを継続することを要請する。

 15.すべての関係各国が、2012年12月3日の決議67/53第3節が求めた政府専門家グループの報告書提出を歓迎しつつ、核兵器あるいは他の爆発装置用の核分裂性物質の生産禁止条約に関する交渉をジュネーブ軍縮会議(CD)において即時に開始し、1995年3月24日のCD/1299文書及びそこに含まれる任務に基づき早期に締結するとともに、同条約発効までの間、あらゆる核兵器もしくは核爆発装置のための核分裂性物質の生産に関するモラトリアムを宣言し維持することを要請する。

 16.加盟国が、適切な多国間協議の場において、核兵器のない世界を達成するために必要とされる効果的措置のさらなる模索を開始することを奨励する。

 17.朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が、核実験のさらなる実施を思い留まり、世界的な不拡散体制を損なわせる核戦力増強の政策を放棄し、あらゆる核兵器ならびに既存の核計画を断念し、早期にNPTと国際原子力機関(IAEA)保障措置に復帰することを強く要請する。また、DPRKが、現在行っているすべての核活動を即時に停止し、関連する国連安保理決議に基づく諸義務を完全に遵守し、2005年9月19日の6か国協議共同声明における関連した誓約を尊重する具体的な措置を講じることを要請する。

 18.すべての加盟国が、核兵器とそれらの運搬手段の拡散を防止する努力を倍加させるとともに、核兵器を否定することを誓った諸義務を全面的に尊重し、遵守することを求める。

 19.国際原子力機関(IAEA)の不可欠な役割ならびに包括的保障措置協定の普遍化の重要性を強調するとともに、追加議定書の締結が各国の主権的決定であることに留意しつつ、1997年5月15日にIAEA理事会が承認したモデル追加議定書を未だ締結、発効していないすべての加盟国が、可能な限り早期にそうした行動をとることを強く奨励する。

 20.すべての加盟国が、2004年4月28日の決議1540(2004)を含む関連安保理決議を完全に履行することを求める。

 21.核テロリズムの防止を筆頭に、脆弱な核物質や放射性物質の保安を確実にするためのあらゆる努力を奨励する。また、すべての加盟国が、必要に応じて、キャパシティビルディング分野を含めた支援の要請や提供を行いつつ、国際社会として核セキュリティの前進のために協働することを求める。

 22.すべての加盟国が、軍縮・不拡散教育に関する国連事務総長による報告※に述べられた諸勧告を履行することによって、核兵器のない世界の実現を支え、各国が着手しているこの目的における努力に関する情報の自発的な交換を行うことを奨励する。

 23.各国指導者や若者らが核兵器使用の被害都市を訪問することや、原爆を生き延びた人々(被爆者)の証言を聴くことなどを含めて、核兵器使用がもたらす人道上の影響に対する意識を喚起するためのあらゆる努力が行われることを奨励する。

 24.第71会期の暫定議題として、「全面完全軍縮」項目の下に「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意をともなう共同行動」という副項目を含めることを決定する。

 

※印には参照すべき文書の名称等が記載されているが省略した 。

(暫定訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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