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核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉の前進に向けた
オープン参加国作業部会・報告書(抜粋訳)
IV.会議における議論とそこで出された諸提案
2013年9月3日

18.オープン参加国作業部会(OEWG)の会期中を通じ、参加者は、核兵器のない世界の達成と維持に向けた多国間核軍縮交渉の実質面について、双方向的でオープン、かつ建設的な議論を行った。参加者は、10年以上にわたり国連の枠組み内における多国間核軍縮交渉が具体的成果を生んでいないことを認識し、核軍縮・不拡散問題が実質的進展をみせることの重要性と必要性を強調した。これらの議論のなかで、また、OEWGに提出された作業文書において、各国政府代表、国際機関、市民社会はさまざまな見解や提案を示した。それらの見解や提案は諸国家の立場へのいかなる偏りもない形で、また、包括的で網羅的たらんとする意図を持たずに、以下に反映されている。OEWGで行われた議論やそこで出された諸提案の詳細は、各ステートメント、提出された作業文書、その他会議文書を参照されたい。

A.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉を前進させるための諸アプローチ

19.多国間核軍縮交渉を前進させる方途を検討するなかで、OEWGは、核軍縮をめぐる現在の状況やさまざまな考え方、問題点の洗い出しを行った。

20.OEWGの参加者は、多国間核軍縮交渉を前進させることの普遍的な目標が、引き続き核兵器のない世界の達成と維持である点を強調した。この目的に向けたいくつかのアプローチが検討された。それは以下のようなものである。

・普遍的で、時間枠をともなう、非差別的、段階的かつ検証可能な方法によって核軍縮の目標を達成することを目指した、核兵器のない、非暴力的な世界に向けた行動計画
・核兵器の全面完全廃棄につながるような、相互に補強される漸進的な措置によるステップ・バイ・ステップのアプローチ
・核兵器禁止条約(NWC)を含め、核兵器の保有、開発、製造、取得、実験、備蓄、移転、使用あるいは使用の威嚇を禁止するとともに核兵器の破壊を義務付ける、特定された時間枠をともなった、核兵器完全廃棄への段階的計画に向けた包括的アプローチ
・相互に補強し合う部分で構成され、無条件に履行され、明確に定義された予定表と基準に裏打ちされた、すべての国を核兵器のない世界へともたらす法的拘束力のある枠組み
・『ビルディング・ブロック』アプローチ――相互に補強し合う、一国的な、あるいは二国間、複数国間、多国間的な要素の集合を追求する。それらは前提条件となることを意図せず、時間枠にこだわっていない。

21.一方で、OEWGは、国際社会がいずれのアプローチを選択することになろうとも、核軍縮を前進させ、核兵器使用がもたらす壊滅的な人道的結果のリスクを究極的に排除するという目標に向けては、国際社会は差異にではなく共通基盤に焦点をあてるべきであることを強調した。

B.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉において検討すべき諸要素

22.OEWGは、核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉の前進に必要な諸要素間の関係について意見を交わした。手段と要素のあいだの関連性を認めつつも、政府代表(複数)からは、とられる手段の如何にかかわらず検討を要する諸要素が存在するとの問題提起がなされた。また、手段が要素を決定するという点も指摘された。

23.核兵器のない世界の達成と維持のための交渉のもつ多国間的特徴が議論されたが、同時に一国的、二国間、そして複数国間のイニシアティブについても議論された。

24.核兵器のない世界を確立するために必要な諸要素と、その維持のために必要な諸要素をどのように分類するかの議論も行われた。要素の分類についていくつかの選択肢が検討された。それらは、核兵器のない世界の達成と維持における段階(最終状態/中間的措置)から、進展の時間枠(短期/中期/長期的要素)や性格(政治的な信頼醸成措置/拘束力のある法的文書)まで多岐にわたった。

25.OEWGは、NPTならびにその再検討会議の成果を含む、既存の軍縮・不拡散義務や誓約に対する完全で、効果的、差別的でない履行が必要であるとの議論を行った。この文脈において、OEWGは、すべてのNPT加盟国が第6条の下で誓約した核軍縮に導くよう核兵器国が彼らの保有核兵器の完全廃棄を達成するという明確な約束の実現について協議した。

26. OEWGは核軍縮と核不拡散がすべての側面において相互補強的であると話し合った。OEWGは水平的不拡散と垂直的不拡散の両方の誓約の確約について協議した。

27.議論やステートメントのなかで、また、提出された作業文書のなかで、参加者は、核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉を前進させる諸要素を、全体として、また前提条件や序列を設けずに追求することの重要性を検討した。核兵器のない世界の達成と維持に向け、透明性、検証可能性、不可逆性の原則を適用することの必要性が強調されるとともに、以下の諸要素が提起された。これらの中には、制定し、履行することが可能な政治的措置や法的文書が含まれる。

・核兵器の完全廃棄という目標に向けたすべての国家による明確な約束を確約すること。
・核兵器または他の核爆発装置に使用される核分裂性物質の生産に関するモラトリアムを維持あるいは宣言すること。また、設備を平和目的のものに転換し、国際的な検証措置下に置くこと。
・核兵器実験、新型核兵器の開発、または現存の核兵器システムの性能向上に関するモラトリアムを維持あるいは宣言すること。
・核兵器の完全廃棄をめざし、国家ならびに同盟の軍事及び安全保障ドクトリン/態勢/戦略における核兵器の役割を低減すること。
・核兵器の先行不使用を維持あるいは宣言すること。
・非核兵器国の領域内から核兵器を撤去すること。
・もはや軍事目的に不要である核分裂性物質を指定し、そのような核分裂性物質の不可逆的な除去を確実にするよう、IAEAの文脈において、法的拘束力のある検証や取り組めを開発すること。
・核兵器国によって課せられた諸条件や留保を取り除くことによって非核兵器地帯の役割を強化するとともに、未だ存在していない地域、とりわけ中東に新しい地帯を設立することによって非核兵器地帯を拡大すること。また、核兵器を禁止する国内法を制定すること。
・透明性を増し、備蓄核兵器、核弾頭、運搬手段、及び核兵器用核分裂物質の完全な目録など、核軍縮の進歩を測定するための明確な基準線を定めること。参加者は、この文脈において、統一した様式による定期的な報告の重要性について協議した。
・核兵器の危険を減じる措置をとること。
・核兵器のない世界の確立と維持のために活用できる検証手段、能力、メカニズムを発展させること。
・NPTの普遍化

28.OEWGは、中間段階で履行されることになる、核兵器のない世界の達成に向けた法的拘束力のある文書よりなる措置についても議論を行った。そうした措置は多様であるが、以下のようなものが含まれる。

・明確で、法的拘束力を有する、普遍的で、非差別的で、多国間の、明確に定義された基準と予定表をもった核軍縮の目標へのすべての国が関与した誓約
・国際的な検証体制をともない明確な基準と予定表をもった、すべての場所と種類における保有核兵器の漸進的、継続的、不可逆的な削減。また、すべての核施設をそのような体制の下に置くこと。
・核兵器実験のあらゆる側面を扱う法的拘束力のある多国間の法的文書。CTBTの発効。
・核分裂性物質に関する法的拘束力のある多国間の法的文書。以下を含む選択肢が検討された。
・  核兵器または他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止する条約。
・  核兵器または他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産を禁止し、そのような物質の既存の備蓄について対処し、また、核兵器または他の核爆発装置用の核分裂性物質の生産に使用される施設や関連装置を解体あるいは平和利用に転換することを定めた条約。
・非核兵器国に対して核兵器の使用や使用の威嚇を行わないという法的拘束力のある消極的安全保証の条項
・二国あるいは複数の核兵器国間で結ばれる法的取り決め
・核兵器の先行不使用に関する法的拘束力のある文書

29.OEWGは、核兵器のない世界が達成された後に、それを維持するために必要な要素を検討した。そのなかで以下の諸要素が確認された。

・核兵器と核兵器物質の完全廃棄、ならびにその検証
・核兵器の使用や使用の威嚇の禁止
・核兵器の保有、備蓄、開発、移転の禁止
・核兵器用核分裂性物質の生産ならびに既存の備蓄の使用を禁止し、そのような核分裂性物質をすべて国際的保障措置の下に置くこと。
・超臨界、未臨界の双方を含む、あらゆる形態の核兵器実験を禁止すること。

C.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉の前進を目的として、21世紀の安全保障状況における核兵器の役割を再検討する

30.OEWGは、21世紀の安全保障状況において核兵器の役割を検討することの重要性について意見を交わした。

31.核兵器の役割を議論するなかで、参加者は、とりわけ人道問題や開発目標を考慮した、集団的安全保障のより広範かつ多面的な定義について考察した。核兵器の人道的影響の問題は、軍縮問題のあらゆる要素に影響を及ぼす横断的な問題として提起された。また、参加者は、21世紀の安全保障の特質を検討する必要性に言及し、核兵器がそうしたニーズに見合うものであるかについて疑義が呈された。核兵器の価値を低めることや、抑止態勢の効果に対する疑問といった点も議論された。

32.参加者は、核兵器保有国側の安全保障感覚を考慮に入れることの必要性、また、それらの国家間が対話と信頼と安心感を確立することの必要性について議論した。現存する安全保障ドクトリンにおける核兵器の重要性を減じることに関するいくつかの提案が示された。非核兵器国と核兵器保有国との間の関与の必要性も指摘された。

33.提案には、戦術、戦略、非配備の核弾頭の一方的削減から多国間で交渉されたプロセスによる完全廃棄まで、幅広い活動が網羅されていた。参加者からは、既存の保有核兵器の近代化や新型核兵器の開発を阻止するための提案も出された。

D.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉を前進させるための国際法の役割

34.OEWGは、核兵器のない世界の達成と維持に向けた多国間核軍縮交渉を前進させるための国際法の貢献について意見を交わした。OEWGは既存の国際的な法的枠組みにおける欠けている部分について検討した。

35.OEWGは、核兵器のない世界という目標の達成に向けて、現在の国際的な法的枠組みなどにある法的な欠落部分を、既存の法的文書(複数)を補完する一つあるいは複数の多国間の法的文書によって埋める選択肢について議論した。参加者は、このように一つあるいは複数の法的文書は、普遍的なものであり、核兵器の開発(近代化を含め)、あらゆる種類の核兵器実験、核兵器の製造、核兵器用核分裂性物質の生産あるいは既存の備蓄の使用、核兵器の保有と備蓄、核兵器の移転、及び核兵器の使用ならびに使用の威嚇を禁じるものであるべきかどうかについて議論した。この文脈において、核兵器を禁止する条約(訳注:a treaty banning nuclear weapons)という選択肢が検討された。

36.一国や二国間における核軍備管理及び軍縮措置に関するこれまでの努力を考慮しつつ、代表者たちは、法的拘束力のある文書を通じ、明確に定義された時間枠をもって取り組まれる、いくつかの具体的な多国間核軍縮措置について議論を行った。また、法的拘束力のある文書を通じて確立される、核軍縮のための検証体制についても検討がなされた。

37.核兵器のない世界を達成し、とりわけそれを維持するための多国間核軍縮交渉を前進させることをめざして、代表者たちは、保証措置体制の適用をすべての国家へと広げることを議論した。

38.OEWGは、既存のもの提案されているものを含め、他の法的規範がグローバルな核軍縮努力に寄与しうることについて意見を交わした。また、OEWGは、核兵器の合法性や正統性についても議論を行った。この文脈において、核兵器を忌むべきものとすること(訳注:stigmatisation)やその法的な意味が議論された。

39.OEWGは、核兵器の使用あるいは使用の威嚇の適法性に関する1996年の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見以後の、国際人道法、人権法、環境法の分野などにおける国際法の発展、及びそれが多国間の核軍縮交渉の前進に与えうる影響について議論した。さらに、OEWGは、核兵器の使用や使用の威嚇に関連して、国際刑事法の発展についても意見を交わした。OEWGは、国際人道法、人権法、環境法の分野や、国際刑事裁判所(ICC)の法的領域を含め、核兵器のない世界の達成に関連した国際法の進展についての研究に取り組むという提案を検討した。

E.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮(ママ)を前進させる上での国家ならびに他のアクターの役割

40.OEWGは、核兵器のない世界の達成と維持のための核軍縮交渉を前進させる上で国家や他のアクターがどのような役割を担うかを議論した。なかでも、国家が共通の役割を担っているか、それとも異なる役割を担っているかが議論された。

41.OEWGは、とりわけ核兵器の壊滅的な人道的結果に照らして、核兵器のない世界の達成がすべての国家の共通の責務であることに留意した。OEWGは、この責務は分担されるとともに集団的なものであるが、国々には異なる役割や機能があることにも留意した。

42.OEWGは、非核兵器国がグローバルな核軍縮を促進する役割を担っているという見解を共有した。また、OEWGは、核兵器国、とりわけ最大の核保有国が、核軍縮に関連した効果的な措置の履行を含め、核軍縮を達成するための任務において特別の責任を有していることを考察した。

43.OEWGは、多国間核軍縮交渉を前進させるアクターとして、国会議員、関連国際機関、とりわけ国連とその関係機関、市民社会、アカデミアの役割を議論した。核兵器を人道問題及び人間の安全保障の問題と取り上げる上で、OEWGは、国家が幅広いアクターとの協力関係を築くべきであると議論した。

44.諸提案をめぐる議論において、OEWGは、核兵器に付与されている地位や価値に疑義を呈する上での非核兵器国の役割について検討した。安全保障ドクトリンにおける核兵器の重要性を減じるために、拡大核抑止の保証の下にある非核兵器国が担うべき役割が議論された。OEWGは、また、核兵器の価値や正統性に疑義を呈する上で非核兵器地帯が担う役割や、核軍縮の促進に向けて非核兵器地帯間の協力を強める可能性についても議論した。

F.核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉を前進させるのに寄与しうるその他の実際的行動

45.OEWGは、国連総会、ジュネーブ軍縮会議(CD)、NPT再検討プロセス、ハイレベル会合やサミットなどのさまざまな場で、核軍縮問題の議論を継続することの必要性を話し合った。

46.OEWGは、核軍縮への前進を促す上で教育が担う役割について意見を交わした。参加者は、核兵器が人道面、経済面、環境面にもたらす結果を含め、核軍縮の様々な側面に対する理解を促進する上で教育が果たせる貢献を強調した。

47.OWEGは、この点に関する努力の報告を半年毎に行うことなど、国連事務総長報告(A/57/124)に含まれる勧告を継続して履行することの必要性を考慮した。参加者はまた、教材を普及し、一般市民、とりわけ若い人々のあいだの意識を高めるために、新しい情報・通信技術をいっそう活用することについても議論した。

48.参加者は、核兵器計画に費やされる予算を、他の分野、とりわけ経済開発、核軍縮、軍縮・不拡散教育に振り向けることについて議論した。核兵器に関連した投資を行わないという問題を議論するなかで、OEWGは、公共部門や民間部門の役割について話し合った。

49.OEWGは弾道ミサイル防衛システムや宇宙における軍備競争の防止が核軍縮に与えうる影響について議論を行った。

50.OEWGは、今回の会合で提起された、核兵器のない世界の達成と維持のための多国間核軍縮交渉の前進に関連したすべての問題について、さらなる努力を続ける必要性について議論した。

 

(訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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