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〈仮訳〉
2015年核不拡散条約再検討会議準備委員会
NPT/CONF.2015/PC.I/WP.53
2012年5月10日

議長による事実概要(作業文書)

1.加盟国は、核不拡散条約に対する誓約を再確認した。加盟国は、条約の目的にしたがって、すべての人々にとっての安全な世界を追求し、核兵器のない世界の平和と安全を達成する決意を想起した。

2.加盟国は、条約をその三本柱にわたって効果的に、バランスよく履行すること、条約の全条項を完全に遵守すること、条約を普遍的に支持することの根本的な重要性を強調した。加盟国は、条約の履行および加盟国による決定の履行を促進すること、条約を遵守し遵守の問題に効果的に対処すること、条約への普遍的支持を達成することが、再検討プロセスにおける主要課題であることを強調した。

3.この文脈で、加盟国は、1995年延長・再検討会議で採択された決定1と決定2、および中東に関する決議、2000年再検討会議で採択された最終文書、2010年再検討会議で採択された「結論ならびに今後の行動に向けた勧告」を履行することの必要性を強調した。

4.加盟国は、インド、イスラエル、およびパキスタンに対して、NPTに非核兵器国として即時かつ無条件で加盟するよう、また、条約で求められているように包括的保障措置協定を発効させるよう、あらためて要求した。

5.加盟国は、2010年再検討会議で採択された「結論ならびに今後の行動に向けた勧告」に盛り込まれた誓約の履行に多少の進展があったことを認めつつも、いっそうの履行努力が必要であることを認識した。加盟国は、履行努力に関する定期報告の重要性を想起した。

6.加盟国は、さらなる履行努力のための時間として、また、核兵器のない世界をはじめとする条約の目標のさらなる追求のなかで、2015年再検討会議で検討され採択されうる勧告を策定する時間として、現在の再検討サイクルの残りの期間に対する期待感を表明した。

7.加盟国は、すべての加盟国が条約第6条下で誓約している、核軍縮につながるような保有核兵器の完全廃絶を達成するとの核兵器国による明確な約束を想起する。多くの加盟国が、1995年再検討・延長会議で条約が無期限延長されたことは、核兵器の無期限保有を認めたものではないことを強調した。

8.加盟国は、核兵器国による核軍縮につながる重要措置が、国際の安定、平和、安全を促進し、また、すべてにとって強化され、減じない安全という原則に基づくべきであることを想起した。核軍縮と核不拡散は相互に補強しあうものであることが強調された。多くの加盟国からは、核兵器の継続的保有が、他国に核兵器取得への動機を与えかねないことへの懸念が表明された。

9.加盟国は、核兵器のいかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらすことに対する深い懸念を想起した。多くの加盟国が、そのような事態が起きた場合、こうした人道的結果がもたらされることは不可避であり、被害地への緊急援助の提供も不可能であることに対する深い懸念を強調した。多くの加盟国が、現在の再検討サイクルにおいて、核兵器使用のもたらす人道的結果の問題が取り上げられることに期待感を表明した。

10.多くの加盟国が、核兵器の使用あるいは使用の威嚇は国際人道法の原則に違反するとの懸念を表明した。いくつかの核兵器国は、自国の政策について、適用可能な国際人道法にのっとり、核兵器のいかなる使用も極端な状況下でのみ検討されると説明した。加盟国は、国際人道法を含む適用可能な国際法を、すべての国家がいかなる時も遵守する必要性を再確認した。

11.多くの国が、1996年7月8日にハーグで出された核兵器の威嚇および使用の違法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見を引用した。

12.加盟国は、本条約、及び、核兵器のない世界を達成するという目的に完全に合致した政策を追求するとの自らの誓約を想起した。加盟国は、条約上の義務の履行に関して、不可逆性、検証可能性、透明性の原則を適用すると誓約したことを想起する。多くの加盟国からは、これがとりわけ核軍縮の分野にあてはまるとの見解が示された。

13.多くの加盟国は、核兵器禁止条約を含め、特定の時間枠をともなった、核兵器完全廃棄に向けた段階的計画を交渉する必要性を強調した。一部の加盟国は、核兵器のない世界の実現・維持に向け、確固たる検証システムに裏打ちされ、明確に定義された評価基準と時限とを含んだ、相互に強化する包括的枠組みを確立するよう求めた。核軍縮に関する前進を達成することは、すべての国家が分有した責任であることが想起された。

14.加盟国は、2010年再検討会議で採択された「結論ならびに今後の行動に向けた勧告」に盛り込まれた、核軍縮につながるような具体的行動の完全履行の必要性を想起した。加盟国は、核兵器国があらゆる種類の核兵器を削減、廃棄する必要性を想起し、とりわけ最大の核保有国に対し、これに関する努力を率先して行うよう奨励した。

15.核兵器国は、核軍縮誓約の履行努力に関する情報を提供した。加盟国は、これらの取り組みに留意した。

16.多くの加盟国が、「戦略的攻撃兵器のさらなる削減および制限のための措置に関する条約」が2011年2月5日に発効したことを歓迎する。ロシア連邦とアメリカ合衆国は、この条約履行のために取った措置に関して情報を提供した。多くの加盟国が、こうした前向きな達成を認めつつも、核兵器全体の推定数が、作戦配備されているものも配備されていないものも含め、依然として数千発にも及んでいることに憂慮を表明した。ロシア連邦とアメリカ合衆国は、非戦略核兵器も含め、保有核兵器のさらなる削減を達成するための交渉を継続するよう奨励された。

17.核兵器国は、加盟国に対して、2011年6月30日から7月1日にかけてパリで開いた会合について情報提供した。この会合で、核兵器国は、2010年再検討会議で行った誓約を履行し、条約の目的を実現するためのさらなる前進を図る決意を表明した。この文脈において、透明性、相互信頼、標準報告形式に関する提案、保障措置、条約脱退通告への予防と対応、検証に関する作業と核に関する主要な用語の定義に関する作業が継続した。核兵器国は、2012年6月27日から29日にかけてワシントンDCで再び会合を持つことを発表した。

18.グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国は、核兵器の削減計画の履行に関する情報を提供した。フランスは、予定された削減数を達成したと発表した。多くの加盟国がこれらの取り組みを認識した。

19.多くの加盟国が、国連憲章にのっとった多国間主義と多国間で合意された解決のみが、軍縮と国際安全保障問題に対処する持続可能な方法であるとの見解を示した。加盟国は、核兵器国が、単独、および二国間、地域的、多国間の各手段を通じたものを含め、作戦配備されたものであれ配備されていないものであれ、あらゆる種類の核兵器を削減し究極的に廃絶するさらなる努力を講じると誓約したことを想起した。

20.保有核兵器の総数の公表を含め、核兵器国の一部が透明性を向上させる措置を実施したことを、多くの加盟国が歓迎した。加盟国は、透明性が、軍縮プロセスの重要な一部として、信用と信頼を構築するうえで不可欠なものであることを想起した。NPT加盟の非保有国は、重要な信頼醸成措置として透明性の向上を核兵器国に勧奨した。

21.加盟国は、核兵器国が核軍縮に関してなした特定の約束について2014年の準備委員会に報告するよう2010年再検討会議において求められたことを想起した。NPT加盟の非核兵器国は、核兵器国が準備委員会に定期報告することの価値と重要性を強調した。加盟国の一部は、核兵器国が使用する標準報告形式の内容及び報告の頻度に関して、特定の提案を行った。

22.多くの加盟国は、配備された核兵器、あるいは警戒態勢にある核兵器の削減は、重要ではあるものの、核兵器の不可逆的な完全廃絶の代わりにはなりえないことを強調した。核兵器システムの作戦態勢をさらに緩和する具体的な合意措置は、核軍縮につながる一歩であることが強調された。多くの加盟国が、核兵器の作戦態勢の緩和を引き続き求めた。多くの加盟国は、核戦力削減合意の批准に関連したものも含めて、保有核兵器が引き続き近代化されていること、および、改良・新型核兵器およびその運搬システム、関連インフラが開発されていることに憂慮を表明した。

23.多くの加盟国は、一国および地域の軍事ドクトリンにおいて依然として核兵器に役割が与えられていることに関して憂慮を表明した。この関連で、多くの加盟国は、あらゆる軍事および安全保障上の概念やドクトリン、政策において核兵器の役割をさらに低減させる必要性を強調した。一部の加盟国は、核兵器国の領域外に引き続き配備されている核兵器の削減・廃棄における進展の必要性を強調した。

24.加盟国は、ジュネーブ軍縮会議が核軍縮を扱う下部機関を即時に設置すべきであることを想起した。多くの加盟国は、核兵器廃絶の具体的かつ数量化可能な基準によって支えられた野心的な合意の行動計画、あるいは新しいパッケージを2015年の再検討会議で採択することを含め、具体的な提案をさまざまに行った。こうした提案には、核兵器の開発、生産、取得、実験、備蓄、移転、使用、あるいは使用の威嚇を禁止し、核兵器の破壊について定めた段階的なプログラムに従って核兵器を廃絶する方法および手段を特定するためのハイレベル国際会議を招集することも含まれた。多くの加盟国は、2015年再検討会議で核軍縮に関する下部機関を設立することを求めた。

25.加盟国は、コンセンサスを得ようとの努力がなされながらも、包括的でバランスの取れた作業計画への合意、さらにはその履行に長らく失敗してきていることも含め、ジュネーブ軍縮会議が依然として停滞していることに深い憂慮を表明した。国連事務総長が2010年9月に召集した、ジュネーブ軍縮会議の作業を再活性化し多国間軍縮協議を前進させることを目指したハイレベル会合が留意された。ジュネーブ軍縮会議が依然として停滞していることに照らして、一部の加盟国は、多国間軍縮協議において進展をもたらすようなオプションを国際社会が検討する必要性を強調した。

26.加盟国は、1995年の特別コーディネーター報告(CD/1299)およびそこに盛り込まれた任務にしたがい、核兵器あるいは核爆発装置に利用可能な核分裂性物質の生産を禁止する、非差別的で多国間、国際的かつ効果的に検証可能な条約の協議について、ジュネーブ軍縮会議がすみやかに開始すべきであることを想起する。一部の加盟国は、そうした条約の協議は、この多国間軍縮機関の協議議題の次の論理的なステップであることを強調した。一部の加盟国は、そうした条約の協議および発効までの間、核兵器国とその他すべての関係国が、核兵器あるいはその他の核爆発装置に利用可能な核分裂性物質の生産に関するモラトリアム宣言を維持し履行すべきであることを想起した。多くの加盟国が、そのような協議が始まるまでの間、そうした条約に関連する諸問題の実質的な討論を促すための努力について報告した。

27.ロシア連邦とアメリカ合衆国が、検証取り決めの適用に関して国際原子力機関と協議したことを含め、プルトニウム管理処分協定およびその議定書を履行するために採った措置の達成が、多くの加盟国によって認識された。

28.加盟国は、軍事目的にはもはや不要とみなされた核分裂性物質を軍事計画から取り除くことに対して、不可逆性、検証可能性、透明性の原則が適用されることの重要性を強調した。この目的のために、一部の加盟国は、各核兵器国が軍事目的にはもはや不要とみなした核分裂性物質を不可逆的に除去するために、IAEAの文脈において、効果的で信頼に値する多国間検証取り決めを早期に発展させることを求めた。

29.加盟国は、核兵器の完全廃棄が、核兵器の使用あるいは使用の威嚇に対する唯一無二の絶対的な保証であることを再確認した。加盟国は、NPT加盟の非核兵器国が、核兵器が自らに対して使用されない、あるいは使用の威嚇がなされないとの、明確で法的拘束力のある安全の保証を核兵器から得ることへの正統な関心を有していることを想起する。この点において、多くの加盟国は、この保証は無条件のものであることを強調した。加盟国は、ジュネーブ軍縮会議が、法的拘束力のある国際的取り決めの問題を排除せずに、この問題のあらゆる側面に関連した勧告を策定することを視野に入れて、非核兵器国に核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないと保証を与える効果的な国際的取り決めの議論を即時に開始すべきであることを想起した。多くの加盟国は、核兵器国によって核兵器非保有の条約加盟国に対して核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないと確約した、普遍的かつ無条件、法的拘束力のある取り決めを妥結する必要性を強調した。多くの加盟国が、2015年の再検討会議においてこの問題に関する補助機関を設置することを求めた。

30.こうしたいかなるステップに先んじて、核兵器国は、安全の保証に関する既存の約束を完全に尊重しそれを延長することが求められた。核兵器の先制不使用政策に加えて、一部の加盟国は、中国が非核兵器国あるいは非核地帯に対して核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないと無条件で約束したことを認識した。

31.加盟国は、国際核軍縮不拡散体制の中心的な要素として、包括的核実験禁止条約を発効させることの緊急性を強調した。加盟国は、付属書2記載の国家としてインドネシアが最近条約を批准したこと、ガーナ、グアテマラ、ギニアが批准したこと、ニウエが署名したことを歓迎した。

32.包括的核実験禁止条約の未批准国、とりわけ、条約発効にその批准が必要とされる8か国に対して、すみやかに条約を批准することが求められた。加盟国は、条約に関する前向きの決定が核兵器国によってなされれば、CTBT批准に向けて有益な影響を与えるであろうことを想起した。加盟国は、包括的核実験禁止条約発効促進第14条会議が条約の普遍化プロセスに対してなした貢献を認識し、対外拡張活動および信頼醸成イニシアチブもふくめ、CTBT促進のために同会議およびその他のメカニズムを利用することを勧奨した。すべての国家、とりわけ最近CTBTを批准した国家に対して、条約批准の経験を共有し条約のさらなる批准を促すために、未批准国と関わりを持つことが促された。

33.包括的核実験禁止条約の発効までの間、すべての国家が、核爆発実験の実施に関して宣言されたモラトリアムを維持ないし履行することが促された。

34.多くの加盟国が、核爆発実験のために残された実験場および関連インフラの即時閉鎖・解体、核兵器研究開発の禁止を呼びかけ、さらにすべての国家に対して、他の手段を用いて核実験を行ったり、核兵器システムを更新するために新技術を利用したりすることを控えるよう呼びかけられた。多くの加盟国は、新型核兵器のいかなる開発も、核実験の再開と、包括的核実験禁止条約の目標と目的の敗北につながりかねないことに憂慮を表明した。

35.加盟国は、CTBT検証システムの確立のために包括的核実験禁止条約機構準備委員会がなしている重要な作業を支援する必要性を強調し、関連する技術的能力を各国において開発することを促した。とりわけ自然災害およびそのための緊急状況という文脈において、国際監視システムから得られたデータを民生利用に供するとの申し出が一部の加盟国から表明された。

36.一部の加盟国は、核軍縮の検証の実行可能性と複雑性を検討するさまざまなイニシアチブを歓迎した。ここには、本条約第6条の文脈の下で、核兵器解体の技術的・手続き的課題を検討している、ノルウェーおよびグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国のプロジェクトも含まれる。

37.加盟国は、軍縮不拡散教育の必要性を想起した。ここには、青年教育の取り組みの継続、新しい情報通信技術の利用、政府・国際組織・非政府組織・学術機関・民間セクターによる協働が含まれる。

38.核兵器のない世界の達成に関連して各国政府や市民社会から出された新しい提案やイニシアティブが認識され、この分野において引き続き今後も取り組みを行っていくことへの支持が表明された。加盟国は、本条約の目標履行において市民社会が果たしている役割を認識した。

39.加盟国は、IAEA保障措置が核不拡散体制の基本的な構成要素であり、条約の履行において不可な役割を担い、核協力推進での環境創出することに寄与するものであることを強調した。

40.IAEAが、IAEA憲章ならびにIAEA保障措置制度にしたがい、核エネルギーが平和的利用から核兵器あるいは他の核爆発装置に転用されることを防ぐべく、条約第3条第1節に基づく義務の履行について、加盟国による保障措置協定の遵守を検証し確保する責任を有する機関であることが強調された。多くの加盟国は、保障措置協定の完全履行におけるIAEA理事会及び事務局長の役割を強調した。

41.加盟国は、条約第4条の遵守のために設計された方法でIAEA包括的保障措置が履行されるべきであり、加盟国の経済的あるいは技術的発展あるいは平和的核活動の分野における国際協力を妨げることのないようにすべきであるとの見解を示した。

42.加盟国は、条約第3条の規定にしたがい、加盟国のすべての平和的核活動におけるあらゆる原料物質または特殊核分裂性物質にIAEA包括的保障措置を適用することの重要性を想起した。加盟国は、2010年再検討会議以降において、さらに6か国がIAEAとの間で包括的保障措置協定を発効させたことを歓迎し、未だ発効させていない14の加盟国に対し可能な限り早期にそうした行動をとるよう要請した。

43.加盟国は、少量議定書を修正あるいは破棄していないすべての加盟国に対し、適宜、可能な限り早期に、そのような行動をとるよう奨励することを想起するとともに、修正少量議定書が53の加盟国において受諾されていることを認識した。

44.加盟国は、追加議定書を未だ締結、発効させていないすべての国家に対しそうした行動をとるよう、また、可能な限り早期にそれを発効させるまでの間、追加議定書を暫定的に履行するよう奨励することを想起した。加盟国は、2010年再検討会議以降において、14の加盟国が追加議定書を発効させているという事実に歓迎の意を表した。

45.多くの加盟国は、未申告の核物質及び活動の不存在についての信頼性のある保証をIAEAが供与する上で、包括的保障措置協定では不十分であることに留意した。それらの国は、追加議定書の履行が、追加的情報及びアクセス権をIAEAに与えており、未申告核物質及び活動が国内に存在していないとの保証を与えるというIAEAの能力を強化させ、条約に基づく義務への遵守に関する信頼性の強化をもたらすことに留意した。多くの加盟国が、追加議定書をともなった包括的保障措置協定が現在の検証基準であるとの見解を示した。

46.多くの加盟国は、追加議定書の締結はいかなる加盟国にとっても主権上の専決事項であるが、いったん発効すれば、同議定書は法的義務となることに留意した。多くの加盟国は、法的義務と自発的な信頼醸成措置とを区別する必要性を強調し、そのような自発的な取り組みが法的な保障措置義務とならないことを保証する必要性を強調した。それらの国は、保障措置に関連した追加的措置は条約加盟の非核兵器国の権利を害するものであってはならないことに留意した。

47.追加議定書の遵守拡大の達成に向けては、多くの加盟国が国内プロセスの前進のための指導や支援を提供すること、ならびに求められる法的及び制度的側面での国内インフラの構築の必要性を強調した。いくつかの加盟国はそのための支援提供を申し出た。

48.多くの加盟国は、条約並びにフルスコープ保障措置の遵守が、条約の非締約国との核分野でのいかなる協力においても条件となるべきであると強調した。

49.一部の加盟国は、核兵器国によって履行された自発的な協定と関連の追加議定書の重要性に留意した。これら国家は、こうした協定により、IAEAに保障措置実施の上で意義のある経験がもたらされていることに留意する。多くの加盟国は、核兵器国がフルスコープ保障措置を受け入れる約束をするよう提案した。

50.加盟国は、IAEAの保障措置は定期的に査定・評価されるべきであることを想起した。IAEA保障措置の効果をさらに強化し、その効率性を改善する目的でIAEAの政策諸機関によって採られた決定は支持され、履行されるべきである。

51.加盟国は、IAEAがその保障措置上の責任を果たし、新しい保障措置分析研究所の設立も含め、関連の技術的基盤を強化するために、追加の技術的、財政的貢献が諸国によってなされたことを認識した。

52.いくつかの加盟国は、保障措置の履行に関する国家レベルでのアプローチの概念化と発展においてIAEAでなされている作業を歓迎し、IAEAによる国家レベルでの統合保障措置アプローチの実施を歓迎した。

53.多くの加盟国は、保障措置の情報に関する情報保護の原則を完全に維持し遵守することの重要性を強調し、この点におけるIAEAの責任を強調した。これら国家は、そうした情報の漏えいのケースに対する憂慮にかんがみて、機微のあるいは秘密の情報の漏えいを予防することを視野に入れて、こうした情報の保護が完全に尊重されるべきであり、その保護のための措置が強化されるべきであることを強調した。

54.加盟国は、不拡散義務を遵守することの重要性を想起し、条約の一体性と保障措置体制の権威を守るため、あらゆる遵守関連事項に対処するものとした。多くの加盟国は、現在国連安全保障理事会やIAEA理事会において問題となっているケースも含め、保障措置の義務の不遵守問題に憂慮を表明し、不遵守国に対して、IAEAに完全協力し、当該国の義務に即時かつ完全に従うように求めた。

55.多くの加盟国は、保障措置の実行に関するIAEAの報告は、事実を基礎とし、技術的な裏付けを持ったものでなければならず、保障措置協定の関連条項を適切に参照したものでなければならないと強調した。IAEA規程第12.C条とINFCIRC/153(訂正)に従って、いかなる非遵守が起こった場合でも、査察官はまず事務局長に報告し、次に事務局長がこの報告を理事会に伝えて、理事会が問題になっている国に対して、すでに起こっている不遵守問題に対処するよう求めると同時に、国連安保理と国連総会のすべてのメンバー国に対してこの不遵守を報告すべきであることが強調された。

56.多くの加盟国が、IAEA[保障措置協定を遵守させ、IAEAから違反が通報されたときに適切な手段を採ることによって保障措置の義務に遵守させるうえで、IAEA規程第12.C条とINFCIRC/153(訂正)第19パラグラフに従って、事務局長も含め、IAEAによって国連安保理と総会に通告がなされることの重要性、および、国連憲章に従って、安保理と総会の役割の重要性が強調した。

57.いくつかの加盟国は、いかなる加盟国による本条約下での義務の遵守に関する懸念への対応も、本条約の条項および国連憲章に従って、外交的手段を通じて追求されねばならないことを強調した。

58.加盟国は、核関連輸出は核兵器あるいはその他の核爆発装置の開発を直接または間接に支援するようなものにさせない必要性、および、そうした輸出は、とりわけ第1、2、3条に規定されている本条約の目標および目的、さらに、1995年再検討・延長会議において採択された核不拡散・軍縮の原則および目標に関する決定と完全に一致するようにさせる必要性を想起した。いくつかの加盟国は、輸出管理は、本条約第3条の下で加盟国が負っている義務を履行する正当かつ必要、望ましい手段であるとの見方を表明した。加盟国は、自らの国別輸出管理を発展させる上で、多国間で協議され合意されたガイドラインや諒解を利用するよう奨励したことを想起する。

59.多くの加盟国は、発展途上国による、平和目的の核物質・機器・技術の輸出にかけられた限定および制限に深い憂慮を表明し、これは本条約の条項と一致しないと考えていることを表明した。これら国家は、本条約の条項にそぐわない核エネルギー平和利用に課された制限あるいは限定を即時除去することを求めた。多くの加盟国は、本条約に従って核エネルギーを平和利用する上で、最大限可能な協力を促進するために、効果的な輸出管理が肝要であることの見方を示した。

60.多くの加盟国が、特殊核分裂性物質またはその源泉物質、あるいは、特殊核分裂性物質の加工・使用・生産のために特別に設計されあるいは準備された機器または物質の非核兵器国への移転には、必要な前提条件として、フルスコープ保障措置と、核兵器またはその他の核爆発装置を取得しないとの国際的に法的拘束力のある約定を受け入れることが必要であると強調した。いくつかの加盟国は、いかなるそうした新規の供給協定も、INFCIRC/540(訂正)を基礎として、追加議定書を受け入れねばならないとの見方を表明した。

61.加盟国は、すべての核物質の効果的な物理的防護の重要性と、この点での国際協力を強化する必要性に留意した。加盟国は、核保安の第一義的な責任は個別国家にあると認識した。加盟国は、原子力を含め、核エネルギーを開発する際には、核エネルギーの利用は、各国の立法およびそれぞれの国際的義務に見合うような形で、適切かつ効果的な水準の保安が伴っていなくてはならないことを想起した。

62.一部の加盟国は、世界的な核保安枠組みを改善し、その実行を促進する上で、IAEAが不可欠の役割を果たしていると考えた。加盟国は、核物質・施設の最大限可能な水準の保安と物理的防護を維持するよう各国に奨励したことを想起した。加盟国は、IAEA文書INFCIRC/225/Rev.5およびその他の関連国際取り決めに盛り込まれた核物質・核施設の物理的防護に関する勧告を適切に適用するよう奨励された。加盟国は、核保安の分野でIAEAの助言サービスを十全に利用するよう奨励された。

63.加盟国は、核物質の物理的防護に関する条約への最近の加盟を歓迎し、まだ加盟していない国家は、同条約を可能な限り早く批准するよう奨励された。一部の加盟国は、IAEAで核保安指針委員会が設置されたこと、「核保安シリーズ」が引き続き発展されていることを歓迎した。

64.いくつかの加盟国は、核物質および放射性物質が違法に取引されている問題に重大な憂慮をもって留意した。加盟国は、それぞれの関連の国際的義務に従って、自国領域における核物質の違法取引を探知、抑止、阻止する国家ごとの能力を強化する必要性を想起し、そうすることができる立場にある加盟国に対して、この点における国際協力体制能力構築を強化するよう求めた。これら国家はまた、それぞれの関連の国際的法的義務にしたがって、核兵器の拡散を防止する効果的な国内管理を確立し実施する必要性を想起した。加盟国が、それぞれの国内法と手続きに従って、二国間・多国間メカニズムを通じて情報および専門知識を共有することに合意するよう示唆された。いくつかの加盟国は、探知された核またはその他の放射性物質の源泉を確定し、違法取引および悪意ある利用行為を訴追する証拠を提供する道具として、核科学警察を発展させることの重要性を強調した。一部の加盟国は、強化された情報交換を提供するためにIAEAによってなされている活動、および、IAEAが引き続き維持している違法取引に関するデータベースも含め、こうした違法取引と闘うために加盟国が行っていると取り組みを支持するIAEAの活動に留意した。

65.多くの加盟国が、テロリズムの脅威と、非国家主体が核兵器およびその運搬手段を取得するかもしれない危険性に関連した憂慮を表明した。世界の核施設および核分裂性物質の物理的防護を強化する上で、大量破壊兵器・物質の拡散に対抗するグローバル・パートナーシップ、および、核テロと闘うグローバル・イニシアティブの貢献が歓迎された。安全保障理事会決議1540(2004)を完全履行する必要が留意された。加盟国は、核テロリズム防止国際条約にまだ加盟していない国に対して、加盟すべきであることを想起した。

66.加盟国は、2012年3月26日から27日にかけて開かれたソウル核保安サミットで採択されたコミュニケに留意した。多くの加盟国が、核保安を強化し核テロリズムの問題に対処するために同サミットでなされた各国の新たなコミットメントを認識した。

67.加盟国は、1999年の国連軍縮委員会の指針に従い、地域の関係諸国の自由意思を基礎とし、国際的に認知された非核兵器地帯の設立への支持をあらためて想起した。南極条約、ラテンアメリカ及びカリブ地域における核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)、東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)、アフリカ非核兵器地地帯条約(ペリンダバ条約)及び中央アジア非核兵器地帯条約が核軍縮及び核不拡散という目標を実現するためになしてきた貢献が認識された。加盟国は、モンゴル非核兵器地位の強化のための努力を歓迎した。加盟国は、地帯内国家間の協力の拡大を歓迎するとともに、2015年の非核兵器地帯条約加盟国・署名国及びモンゴル会議の開催に向けた準備について満足をもって留意した。

68.加盟国は、核エネルギーに関するアフリカ委員会の設置や、東南アジア非核兵器地帯の議定書に関連して同条約の加盟国と核兵器国とで結ばれた合意を含め既存の非核兵器地帯の強化に向けた進展を歓迎する。加盟国は、核兵器国が東南アジア非核兵器地帯の議定書に可能な限り早期に署名・批准することに期待感を示した。加盟国は中央アジア非核兵器地帯の議定書に関して、核兵器との協議が開催されることに期待感を示した。多くの加盟国は、非核兵器地帯の議定書に関連し、態度保留や解釈上の宣言は未だ継続していることに懸念を表明した。多くの加盟国が、非核兵器地帯の設立が保有核兵器の完全廃棄を達成するとの非核兵器国の法的義務及び明確な約束を代替するものではないとの見解を表明した。

69.加盟国は、1995年再検討・延長会議で採択された中東に関する決議の重要性を想起し、2000年再検討会議において、また、2010年再検討会議で採択された結論及びフォローアップ行動への勧告においてその目的が再確認されたことを想起した。加盟国は、そうした目的が達成されるまで本決議が有効であることをあらためて想起した。また、NPT条約寄託国が共同提案した本決議が1995年の会議の成果において、また、1995年に無投票で条約が延長されたことの基盤において重要な要素であることを想起した。加盟国はその速やかな履行に向け、あらゆる必要措置を個別及び共同で実行してゆくとの決意を想起した。

70.加盟国は、1995年中東決議の完全履行につながるプロセス、ならびに2010年再検討会議で合意された、その目的に向けた実際的措置の重要性をあらためて想起した。関連して加盟国は、国連事務総長並びに1995年決議の共同提案国が地域国家との協議の下、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に関する2012年会議のファシリテーターにフィンランドのヤッコ・ラーヤバ氏を任命し、また、フィンランドを受け入れ国としたことを歓迎した。加盟国は本準備委員会に提出されたファシリテーターの報告書(NPT/CONF.2015/PC.I/11)に謝意を表明し、次回準備委員会における報告書に期待を述べた。加盟国は、任命以降、ファシリテーターが広範かつ継続的な協議を行ってきたことに謝意を述べた。

71.加盟国は、2010年再検討会議が採択した「結論ならびに今後の行動に向けた勧告」を履行する上で、地域のすべての国の参加するかたちで2012年会議が開催されることの重要性を強調した。加盟国は、会議の成功に向けては、2010年再検討会議で承認された付託事項にしたがって、すべての国家がさらなる作業を進めることが必要であるとの認識を示した。加盟国は、ファシリテーター、会議の開催国、地域のすべての国家が協議を加速させ、議論を深化させる必要性をさまざまに強調した。

72.多くの加盟国が、議題、運営形態、まとめの方法、継続的プロセスに向けたフォローアップ措置等の未決定事項についての明確化を求めた。いくつかの加盟国は、会議の準備過程において包括性の重要さを強調した。加盟国は、会議開催に向けた地域国家との協議における国連事務総長及び1995年決議の共同提案国の責任をあらためて想起した。いくつかの加盟国からは、会議の成功をもたらす政治環境を整備する責任は地域国家にあるとの見方が示された。加盟国は、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に向けた前向きな一歩としてこの会議が開かれることに期待を表明した。

73.多くの加盟国が、地域にそのような地帯が生まれることは国際の平和と安定のみならず、地域の信頼関係を大幅に強化するものであることを強調した。いくつかの加盟国は、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に向けては、他の非核兵器地帯の経験を活かすことが必要であると強調した。いくつかの加盟国は、国際原子力機関(IAEA)、化学兵器禁止機関(OPCW)、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)、生物兵器条約(BWC)支援ユニットなどが当該地帯の設立努力に有益な役割を担うことができると指摘した。多くの加盟国が、2015年再検討会議で1995年決議の履行問題を扱う下部機関を設置することを要求した。

74.加盟国はすべての国家が条約下の義務及び誓約を厳格に遵守する必要性を想起した。また、すべての地域国家が、1995年決議の目標の実現に寄与する関連措置並びに信頼醸成措置を講じる必要性を想起した。加盟国は、すべての国家がこの目標の達成を阻害するようないかなる措置も講じることを控えるべきであること想起した。

75.加盟国はイスラエルが条約に加盟し、同国のすべての核施設をIAEA包括的保障措置の下に置くことの重要性を想起した。加盟国は条約の普遍性達成の緊急性及び重要性を想起した。また、条約に加盟していない中東のすべての国家が非核兵器国として条約に加盟し、よって早期に普遍性を達成する必要性を想起した。

76.他の地域問題に関して、加盟国はインド及びパキスタンが無条件かつ速やかに、非核兵器国として条約加盟し、条約が求める包括的保障措置協定を発効させることの必要性を想起した。いくつかの加盟国は、インド及びパキスタンに対し、核兵器ならびにミサイル計画を制限するとともに、条約加盟までの間において、実際的な核軍縮・不拡散措置を講じ、前進させるよう求めた。

77.加盟国は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が6か国協議における誓約を果たす必要性を想起した。これには、2005年9月の共同声明にそってすべての核兵器ならびに既存の核計画を完全かつ検証可能な形で放棄することが含まれる。DPRKは国連安保理決議1718(2006)及び1874(2009)に基づく義務を遵守するよう求められた。DPRKがいかなることがあろうとも条約に定められた核兵器国の地位を得ることはできないことが強調された。ウラン濃縮計画を含め、条約に対する挑戦として、同国の核計画への深刻な懸念が表明された。朝鮮半島の非核化という目標を達成する重要性、ならびにこの問題を平和的に解決する必要性が強調された。2012年4月13日のDPRKによる発射行為に対する深刻な懸念が表明された。DPRKは、核爆発実験を含め、地域に深刻な懸念を呼び起こすようなさらなる行為を控えるよう求められた。

78.加盟国は、2012年4月14日のイラン・イスラム共和国とE3+3の協議の成果を歓迎した。多くの加盟国が、これを、多くの加盟国が明確に述べた特定の懸念について効果的に対処するであろう持続的解決策を交渉する上で、ステップ・バイ・ステップアプローチによって、また、相互利益の原則にしたがって、具体的措置を講じる好機であるとの見解を示した。また、条約第1、2、3条にのっとって、各国が有する核エネルギー平和利用の権利を完全に尊重する一方、イランの核計画が平和目的に限定したものであるということについて国際的な信頼を回復するものであると評した。加盟国はこの問題においてIAEAが重要な役割を担うことを認識した。イランはその核計画が平和目的に限定したものであり、条約に合致するものであると述べた。

79.多くの加盟国は、シリア・アラブ共和国の核活動に関して、同国のIAEAへの完全な協力を通じたものを含め、特定の未解決問題の解決が追求されるよう強調した。シリアは自国が包括的保障措置協定を誓約しており、IAEAの作業計画の履行を待っていると述べた。

80.多くの加盟国が、条約のいかなる部分も、差別なく、条約第1、2、3条にしたがって、平和目的の核エネルギーの開発、研究、生産、利用を進めるという、すべての条約加盟国の奪い得ない権利に影響を与えるものと解されてはならないことを想起した。かかる権利は、条約の基本目標の一つであることが認識された。加盟国は、この権利が条約に基づく義務にしたがって行使されるべきであることを強調した。加盟国は、核エネルギーの平和利用分野における各加盟国の選択及び決定が、核エネルギーの平和利用に関する自国の政策や国際協力の諸取決め並びに燃料サイクル政策を損なうことなく、尊重されるべきであることを強調した。

81.加盟国は、条約の全条項にしたがい、核エネルギー平和利用のための機材、物質、科学的・技術的情報の交換の最大限の可能性を追求していくとの約束、また、それに参加する自国の権利について想起した。多くの加盟国が、そのような交換が気候変動、拡大するエネルギー需要、ミレニアム開発目標と持続可能な開発の達成に必要であるとの見解を示した。加盟国は、条約にしたがい、核技術の移転や加盟国間の国際協力を促進する必要性を想起した。これに関して条約に合致しないいかなる制約も排除することの重要性を想起した。多くの加盟国は、核技術の移転及び国際協力は、差別なく、誠実に支援され、追求されるべきであると強調した。加盟国は、核エネルギーの平和利用の促進において、とりわけ発展途上国におけるニーズを考慮に入れることを含め条約加盟の非核兵器国に優先的処遇が与えられるべきであることを想起した。

82.多くの加盟国は、発展途上国の科学的・技術的能力を維持、強化し、ゆえに社会経済開発に貢献すべく、知識を共有しそれらの国々に核技術を移転することの重要性を強調した。加盟国は核エネルギー平和利用の分野におけるIAEAの中心的役割を強調した。加盟国はIAEAの技術協力計画、とりわけ保健、食糧、農業、水資源、環境保護、産業への適用、核及び放射能安全、核エネルギーの分野における技術協力計画の価値と重要性を強調した。

83.多くの加盟国は、核エネルギーの平和利用に関して発展途上の加盟国を支援するというIAEAの技術協力計画を強化する必要性を想起した。加盟国は、IAEAの枠組みのなかで、そうした技術協力計画の有効性、効率性、透明性を向上し、また、IAEAの諸資源が技術協力活動において十分に確保され、保証され、予測可能なものとなるべく、努力を継続する必要性を強調した。多くの加盟国が、IAEAが提供する技術協力及び支援は、その憲章の規定と合致しないいかなる条件の対象にもなってはならないことを強調した。

84.多くの加盟国は、IAEA平和利用イニシアティブ(PUI)への支持を表明した。いくつかの加盟国は2010年以降に実施されたPUIへの貢献に関する情報を提供し、それを行うことのできるすべての加盟国に対し核技術に対するアクセス拡大に寄与するよう要請した。

85.加盟国は核安全に関する主たる責任は個々の加盟国にあることを認識した。加盟国は、原子力発電を含む核エネルギーの開発において、核エネルギーの使用は、各国の国内法及びそれぞれの国際上の義務に合致した形で、適切かつ効果的な安全基準をともなうものとなるべきであることを想起した。

86.多くの加盟国が、核安全基準をつくり促進することを含め、国際協力の促進ならびに世界的な核安全の強化に向けた国際努力の調整におけるIAEAの中心的役割を強調した。

87.多くの加盟国が、原子力事故が国境を越える影響をもたらすことにかんがみて、核安全はたんに国家の懸念事項ではなく、知識や技術、学習、模範的実践の交換のための国際協力が肝要であることを強調した。2011年3月に起こった福島第一原子力発電所での事故は、関連する国際的法取り決めの改善も含め、核安全を世界的に強化する必要性を示していると、多くの加盟国は留意した。加盟国は、この事故への対応として核安全を強化する各国家、地域、世界規模での取り組みを歓迎した。

88.加盟国は、2011年6月に開催された「核安全に関するIAEA閣僚会議」とその宣言を歓迎した。多くの加盟国は、IAEA総会が2011年9月に承認した核安全行動計画を履行するステップを歓迎した。一部の加盟国は、各国家に対して、IAEAの安全検討使節団を定期的に受け入れるよう勧奨した。

89.加盟国は、2011年9月の「核安全・核保安に関するハイレベル会合」の召集を含め、原子力安全に関連して国連事務総長が行っている取り組みを認識する。

90.加盟国は、日本がIAEAとの共催で2012年12月に開催予定の「核安全に関する福島閣僚会議」に留意する。加盟国は、原子力安全条約の加盟国が2012年8月に特別会合を開く決定を下したことを歓迎する。

91.加盟国は、核安全と核保安を強化する目的の措置やイニシアチブが、発展途上国が持つ核エネルギー平和利用への権利を否定したり制限したりするために使われてはならないとの見方を表明した。

92.「原子力安全条約」、「原子力事故の早期通報に関する条約」、「原子力事故または放射線緊急事態の場合における援助に関する条約」、「使用済燃料管理の安全及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」にまだ加盟していない本条約加盟国に対して、条約に加盟するよう求められた。加盟国は、2010年以降のこれらの条約の新たな批准を歓迎した。さらに、「放射線源の安全とセキュリティに関する行動規定」と「放射線源の輸出入に関するガイダンス」をまだ履行していない本条約加盟国に対して、その履行が呼びかけられた。

93.加盟国は、技術的及び経済的に可能な限り、民主部門での高濃縮ウランの使用を最小化するためのさらなる自発的措置を講じるよう奨励した。いくつかの加盟国は、高濃縮ウランの使用を最小化し、すべての高濃縮ウランを原産国に返却することに関する自国の取り組みについての情報を提供した。これらの取り組みに歓迎の声があがった。いくつかの加盟国は、放射性同位元素の生産において低濃縮ウランの使用を拡大することを奨励した。

94.加盟国は、安全、保安、環境保護に関する国際基準及び指針にしたがって放射性物質が今後も輸送されることがすべての加盟国の利益に合致すると想起した。多くの加盟国は、IAEAの参加のもと、放射性物質の輸送時における事故や事件の可能性に対する懸念をめぐり、輸送国と沿岸国間の意思疎通に関する非公式協議が行われたことを歓迎した。

95.多くの加盟国は、ロシアでの低濃縮ウラン備蓄の設置や商用契約の重要性を強調したモデル核燃料供給保障が承認されたことを含め、燃料供給に関するIAEA理事会決定に留意した。IAEAが管理する低濃縮ウランバンクの受け入れ国であるカザフスタンで準備が進んでいることにも留意された。多くの加盟国が、核燃料サイクルへの多国間アプローチの推進に関してさらなる議論が行われることを奨励した。多くの加盟国は、そのような議論が、差別的でなく透明な方法で、本条約の下での権利及び諸国の燃料サイクル政策に影響を与えることなく、また、これに関連した技術的、法的、経済的複雑さに対処しつつ、行われることを奨励した。

96.加盟国は、すべての加盟国に対し、2009年9月18日のIAEA総会で全会一致採択された、運転中あるいは建設中の核施設に対する軍事攻撃あるいは攻撃の威嚇の禁止に関する決定に従うべきであると想起した。

97.加盟国は、関連する主要な国際諸条約で確立された原則に基づき、関連する国際条約の加盟国となり、もしくは適切な国内法を採択することによって民生用核に関する責任体制を実効化することの必要性を想起した。

98.加盟国は、条約第10条にしたがって、各加盟国が、この条約が対象とする事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認めるときは、その権利の行使として、この条約から脱退する権利を有することを想起した。

99.多くの加盟国は、脱退通告への対応、ならびに脱退した場合にIAEA保障措置が継続して適用されることや、条約締約国として保障措置下で入手あるいは開発した機材及び物質を処分することなどを含めて、条約第10条の関連事項についてさらなる議論が行われることを求めた。いくつかの加盟国は、脱退国が、国際法の下、条約締約国であった時点で犯した違反に対し引き続き責任を有することを強調した。

100.いくつかの加盟国は、脱退に関する主権を解釈し直したり制限したりする取り組みについて、それが条約の履行にとって有害であるとして支持しなかった。多くの加盟国が、条約の役割を様々な手段で再確認することにより条約に留まるよう加盟国を奨励すること、その普遍性を達成すること、2010年再検討会議で採択されたすべての結論及び勧告を履行すること、国家の脱退につながりうる根本的原因に対処することの重要さを強調した。

101.多くの加盟国が、2015年再検討会議に向けて、強化された条約再検討プロセスの効率を向上させるための方法の検討を継続したいとの意向を表明した。加盟国からは、この点に関して、多くの具体的な勧告が提案された。

(仮訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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