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2015 年 NPT 再検討会議第 1 回準備委員会へのファシリテーター報告書

ファシリテーターの任命及び 2012 年会議の召集
1.1995 年の核不拡散条約(NPT)再検討・延長会議は、効果的に検証可能な中東非大量破壊兵器地帯、すなわち核、化学、生物兵器、ならびにそれらの運搬手段が存在しない地帯を設立すること等を求めた「中東に関する決議」を採択した。これに続いて、2010 年NPT 再検討会議は、1995 年決議の完全履行につながるプロセスの重要性を強調した。

2.2010 年再検討会議の最終文書にしたがい、国連事務総長ならびに 1995 年決議の共同提案国(ロシア、英国、米国)(以下、「召集者」)は、地域国家と協議し、中東の全国家の参加の下、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に関する会議を 2012 年に開催するものとする。同地帯は、地域国家の自由意思による取り決めに基づくものであり、核兵器国の全面的支援及び関与を伴うものである。2012 年会議は 1995 年決議をその付帯事項とする。

3.2010 年再検討会議で合意された実際的措置にしたがい、2011 年 10 月 14 日、召集国は地域国家との協議の下、中東非核・非大量破壊兵器地帯の設立に関する 2012 年会議のファシリテーターにフィンランド外務省のヤッコ・ラーヤバ国務次官を任命し、また、フィンランドを受入国として定めた。

4.ファシリテーターの任務とは、この問題に関して地域国家との協議を実施し、2012 年会議の召集に向けた準備を行うことによって 1995 年決議の履行を支援することにある。また、ファシリテーターは、2012 年会議の参加国で合意されるフォローアップ措置の履行においても支援を提供する。ファシリテーターは 2015 年再検討会議ならびにその準備委員会において報告を行うものとする。

ファシリテーターによる協議
5.1995 年決議の履行を支援し 2012 年会議の召集に向けた準備を行う上で、ファシリテーターは、地帯の設立ならびに会議に対する地域各国の考えや見解、期待を聞き集めることからその任務遂行の一歩を踏み出した。これは、地域各国の主たる意見がプロセスに確実に取り込まれるようにし、さまざまな出発点への理解を十分に得ることを目指したものである。開催時期、参加者、議題、その他のモダリティ(様式)といった、会議の運営面に関する共通の基盤も模索された。

6.地域のあらゆる国家の見解が協議プロセスにおいて確実に考慮されるべく、ファシリテーターは包括的アプローチを採った。ファシリテーターは中東の全国家に対し、オープンかつ前向きなアプローチを採るよう、また、それぞれがお互いに建設的な対話及び協力に努力するよう奨励した。ファシリテーターは、国際社会やファシリテーターは重要な支援を提供するとしつつも、会議を成功させ、地帯を設置する主人公また最終的な責任者は地域国家にあることを強調した。

7.ファシリテーターは、地域の全国家、会議の召集者、核兵器国、関連する国際機関、市民社会、その他の関心ある人々を含むあらゆる関係者とともに、地域国家の首都をはじめ、ニューヨーク、ジュネーブ、ハーグ、ウィーン、ヘルシンキなどで 100 回を超える協議を行ってきた。これらの協議の焦点は地域国家であった。

8.ファシリテーターの任命及び受入国の指定に続いて、ファシリテーターを支援し 2012年会議の準備に協力すべくフィンランド外務省内に事務所が設置された。事務所は関連する実質的ならびに技術的問題に関する専門知識を有するものである。

9.ファシリテーターは、地域内外のすべての国家から好意的に受け入れられた。2012 年会議の受入国政府としてフィンランドを指定し、ファシリテーターとしてヤッコ・ラーヤバ次官を任命したことに対し、すべての国が歓迎の意を示した。任命以降、ファシリテーターは 2012 年会議の召集者との定期的な協議を重ねてきた。ファシリテーターは自らの任務遂行において召集者からの強固かつ全面的な支援を受けてきた。

10.すべての地域国家がこうした調整プロセスに建設的な態度でかかわってきた。議論は前向きな精神をもって進められ、問を発する者たちも真摯かつオープンマインドな姿勢でこの問題に取り組んできた。

11.協議は、核、化学、生物兵器ならびにそれらの運搬手段のない地帯の設立に関する実質問題を幅広くカバーしてきた。話題は、とりわけ、地帯の範囲や限界、検証や遵守の問題、平和利用、安全及び保安、信頼醸成措置や関連する条約の枠組みなどに関する問題に及んだ。議論のなかでは、地域の安全保障環境全般や中東の近年の動向も話題に上った。

12.多くの地域国家は、こうしたプロセスが地域の全国家に対し重要な協働の機会を与えているという点を看過してはならないと強調した。地帯の設立は、国際及び地域的な軍備管理、軍縮、不拡散努力に貢献するものであると同時に、安全保障環境全体を向上させるものであるとの認識がもたれている。

13.特筆すべきは、地域の全国家が地帯設立という目標を共有していることである。しかし一方で、この目標を達成するための方法や時間枠の問題をめぐり、各国の見解には相違が存在する。プロセスそのものの性質に関して、どこを強調するかが異なっている。いくつかの国は、地域の参加国による交渉や具体的措置を通して計画的な地帯設立を目指したいと考えている。また、より広範な問題に関する期限を限定しない自由な対話の必要性や、先に政治的環境を整える必要性を強調したいと考える国もあった。

14.地帯設立への進捗が図られる緊急性がしばしば強調された。いくつかの国家からは、遅々とした進展あるいは進展の欠如が、世界的また地域的不拡散努力の活力や現在の NPT再検討サイクルに影響を及ぼす可能性に言及した。

15.同時に、近年の中東地域における政治動向に関する問題を多くの国が協議の中で提起した。いくつかの国からは、これらの動きが本プロセスにいかなる影響を及ぼすのかについて懸念が示された。

16.地域の全国家の参加が、会議の成功するための前提条件であるとの認識が広くもたれている。多くの国がファシリテーターに会議参加の意向を告げているものの、いくつかの国家は現段階では態度を保留している。参加を拒否した地域国家は存在しない。

2012 年会議に向けた準備
17.会議は国連事務総長ならびに 1995 年決議の共同提案国によって召集される。委任事項に定められた通り、中東のすべての国家の参加が求められている。準備の際に協議すべき地域の参加国及び地域主体のリストを決定する上で、召集者及びファシリテーターは、国際原子力機関(IAEA)文書 GC(XXXIII)/887(1989 年 8 月 29 日)3 節(中東における保障措置適用のさまざまな様式に関する技術的研究)を参照した。委任事項にしたがい、他
の参加者には、会議の召集者、核兵器国、ファシリテーター、さらには背景文書の提出を求められた国際機関を含む。追加的な国家あるいは他の適切なアクターの参加について、協議を行った国や機関の中には見解の相違もあったが、会議の主たる役割は地域の参加国によって担われることが強調されてきた。参加の程度についても様々な見解が示されている。参加をめぐる問題については、さらなる協議が必要である。

18.開催時期及び場所について、受入国であるフィンランドは、2012 年のいずれの時期であってもヘルシンキにおいて開催する用意ができていると発表した。12 月の可能性が協議中にしばしば言及されているので、それに従ってロジ計画が進行中である。

19.重要な進展がみられた反面、会議の議題、様式、運営規則の確定のためにはさらに協議を強化する必要がある。すべての関係者の参加を確保すべく、議題については全員の支持を得られるものでなければならないことが協議の中で強調されてきた。会議は、本会議に加え、もし地域国家が望むならば、合意される議題に沿ったいくつかの小委員会あるいは作業グループで構成されることが提案されている。

20.2010 年 NPT 再検討会議の最終文書においては、1995 年決議の履行を支援するための追加的措置に関する合意がなされている。その中には、IAEA、化学兵器禁止機構(OPCW)及びその他の関連国際機関に対し、過去の業務や得られた経験に基づき、核・大量破壊兵器ならびにその運搬手段のない地帯の様式に関して、2012 年会議に向けた背景文書を準備するよう要請することが含まれる。ファシリテーターは、IAEA、OPCW、生物兵器条約履
行支援ユニット、包括的核実験禁止条約機構準備委員会に当該文書の作成を要請した。文書は 2012 年 9 月末を期限としている。

21.2010 年 NPT 再検討会議の最終文書は、1995 年決議の履行に貢献する上で市民社会の担う重要な役割を認識し、これに関するすべての努力を奨励した。中東決議に関しては市民社会から大きな関心が寄せられている。ファシリテーター及び彼のチームは市民社会のアクターが企画したさまざまなイベントに参加し、NGO、アカデミア、シンクタンクとの積極的なかかわりを追求してきた。当該トピックに関しては広範な取り組みがすでになされており、貴重なインプットが得られる可能性がある。ファシリテーターは協議の中で市民社会の貢献を取り上げてきた。市民社会が担う役割については、意識啓発、新たなアプローチの開発、対話の形成といった点で一般的に歓迎され重要視されている。

22.実際的措置の一環として、2010 年 NPT 再検討会議はまた、1995 年決議の履行を支援するための他の全ての検討を支持した。その中には欧州連合(EU)が後継セミナーを主催するという申し出があった。そのセミナーは、国家及び市民社会の広範な参加を得て 2008年 6 月に、継いで 2011 年 7 月に実施したものである。これに関し EU が提示するさまざまな可能性が検討されている。

23.会議開催の財源に関しては、受入国であるフィンランドをはじめ相当数の国家がすでに自発的な寄付を行ったか、あるいは寄付を約束している。寄付が可能な国はフィンランド外務省に連絡するよう奨励されている。

次なるステップ
24.ファシリテーターは、1995 年決議の履行と会議の準備に向けて相当な進展があったと報告することができるが、ファシリテーター、召集国、地域国家のすべてによるさらなる努力の強化が必要であることは明白である。

25.今回の第一回報告に続いて、ファシリテーターは地域国家との協議を継続してゆく所存であり、会議の運営面ならびに実質的な内容面での諸事項、会議の議題、様式、成果、後続措置などについて、彼らからより具体的な提案が得られることを期待する。これに向けた重要な準備作業がすでに各国政府において進められている。地域の全国家による会議参加を確保し、会議成功の見通しを最大限にするためには、これらの問題についての前進
及び見解の収斂が得られなければならない

26.ファシリテーター及び召集者は、合意された通りの 2012 年の会議の開催に向けて明確な目標と責任をもっている。会議の成功を確保するのは、最終的には、引き続き地域のすべての国の責任である。ファシリテーターは今後とも未解決問題に関する共通の基盤を追求し醸成してゆく所存であるが、それには地域国家間の十分な協力と関与が不可欠である。この調整プロセスにおいては、すべての参加者の、この準備委員会や他の関連する場におけるオープンかつ建設的な態度が今後とも必要とされる。地域国家間のより強い協力、とりわけ直接の接触やコミュニケーションが、この目標を大きく前進させるであろう。

27.地帯という共通目標に到達するためには、会議がその設立に向かうプロセスの出発点として確実に成功するよう、我々すべてが努力しなければならない。

28.ファシリテーターは、協議プロセス全体を通じ、すべての関係者から多大な支援が得られたことに感謝するとともに、その委任任務の完全履行を希望している。

 

(翻訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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