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天野万利軍縮会議日本政府代表部特命全権大使による演説

2015 年核不拡散条約(NPT)再検討会議第 1 回準備委員会
クラスターⅠ
2012 年 5月 3日、ウィーン

議長、

2010 年 NPT 再検討会議以降の核軍縮分野における国際的な進展においては、多くのことが成し遂げられました。特筆すべきは、この期間において、最大の核保有国である米国とロシアが新 START 条約を批准し、フランスと英国が一方的な核削減を表明したことです。日本は、核兵器国によるこれらの自主的措置を歓迎し、核軍縮におけるさらなる前進を続けるよう奨励いたします。

しかし、核兵器のない世界の実現のためには、NPT 第 6 条が求めるように、核兵器国が多国間ベースの核軍縮努力を誠実に実行していくことが不可欠です。2010 年再検討会議で合意された行動計は、核兵器国に対し、保有核兵器の完全廃棄を達成するという明確な約束を尊重し、あらゆる種類の核兵器の削減にいっそう努力するよう求めました。核軍縮につながる措置について具体的進展を加速させ、また、その履行状況を 2014 年準備委員会までに報告するよう核兵器国に求めた行動 5 はとりわけ重要です。すべての核兵器国がこの誓約を果たすことを求められています。

多国間かつグローバルな核軍縮が実現するまでの間、日本はすべての核兵器保有国に対し、それらの核兵器を削減する、あるいは少なくとも増加させないという誓約を早期に行うことを求めます。

議長、

核軍縮措置の履行において、不可逆性、検証可能性、透明性の諸原則が適用されることは必須です。これらの原則の中でも、透明性の確保は、安定したグローバル安全保障環境の基盤を確立する信頼醸成措置として死活的に重要です。この点に関して、日本は行動21を、信頼醸成措置としてすべての核兵器国が標準報告様式にできるだけ早期に合意するよう奨励する上で重要かつ画期的な措置であると認識しております。

これに関連して、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)はそのような報告様式に関する提案を起草し、核兵器国との共有を図りました。我々はまた、「核兵器の透明性」と題する作業文書への添付として、その報告様式を本準備会議に提出しました。日本は NPDI の提案が、核兵器国が標準報告様式ならびに報告の適切な間隔について合意する際に役立てられることを望みます。

透明性に加え、不可逆性の原則もまた極めて重要なものです。行動 16 に基づき、すべての核兵器国は、軍事目的上もはや必要でないとそれぞれが認定したすべての核分裂性物質をIAEA に申告し、可能な限り早期に IAEA あるいは他の関連する国際検証や取決めの下に置くよう求められています。こうしたことから、日本は近年の米ロ間でのプルトニウム管理処分協定を歓迎します。

議長、

核兵器のない世界に向かう道のりにおいて、論理的帰結としての次のステップは、核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)であると日本は認識しています。行動 15 は、そのような条約交渉の即時開始をジュネーブ軍縮会議(CD)に求めています。しかし、CD 参加国によるさまざまな努力にもかかわらず、残念ながらこれが実現する見通しは現在のところ立っていません。CD での交渉開始に向けた努力を継続する一方、日本としては、FMCT 交渉開始につながる他の選択肢の検討も必要であると考えております。

差し当たり FMCT 発効までの間において、日本は、核兵器を保有する国家に対し、核兵器あるいは他の核爆発装置の生産についてのモラトリアムを宣言し、維持するよう求めます。

議長、

包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効は、核兵器のない世界の実現に向けた実際的かつ具体的な措置として重要です。この場を借りまして、日本は、2012 年 2 月にインドネシアがCTBT の批准を行いましたことに歓迎の意を表します。我々は、あらゆる機会を活用してすべての NPT 加盟国、とりわけ付属文書Ⅱの国々に対し速やかな CTBT への署名・批准を求めてまいりましたし、今後もこうした活動を継続してゆく所存です。さらに、我々は核兵器を保有しているすべての国に核実験モラトリアムの宣言を要請し、また、すべての国々に条約の発効までの間においていかなる実験も行わないよう求めます。

議長、

軍縮及び不拡散の諸問題を乗り越えてゆくためには、市民社会や若い世代の協力や支援が欠かせません。日本は軍縮・不拡散教育に非常に重きを置いており、この分野において積極的な活動を続けてまいりました。2010 年 NPT 最終文書に行動 22 が盛り込まれたことは重要かつ画期的な出来事でした。なぜならそれが軍縮・不拡散教育の国連研究に関する国連事務総長報告に盛り込まれた勧告をすべての国が実施することを奨励するものであるからです。この点に関して、我々は、軍縮・不拡散教育に関する国連総会決議が求めるように、加盟国が自国の履行状況を国連事務総長に報告することを要請します。この問題について、日本は他の NPDI 参加国とともに、本準備委員会において作業文書を提出しておりますし、また、それとは別にオーストラリアと共同で作業文書を提出しております。さらに、国際機関や市民社会とのさらなる協力を促進するために、日本は国連大学とともに、「軍縮・不拡散教育グローバル・フォーラム」を本年 8 月 10 日~11 日に長崎市で開催することを決定しています。このフォーラムを通じて、我々は、軍縮・不拡散教育の重要性、ならびに様々なアクターとの協力の重要性について共通の理解が深まることを目指しており、この分野でのいっそうの発展につながることを期待しております。

議長、

日本は核兵器のない世界の平和と安全の達成に全力で取り組んでまいります。広島、長崎への原爆投下によってもたらされた悲劇を経験した我々は、核兵器が二度と使用されてはならないという強い信念を持っています。このことを胸に、日本は核兵器の完全廃棄に向け、実際的措置ならびに効果的措置を引き続き着実に推進してゆく所存です。
ご清聴ありがとうございました。

(翻訳:長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA))

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