大量破壊兵器委員会(WMDC)
「恐怖の兵器:世界を核・生物・化学兵器から解き放つ」
付録1:WMDCからの勧告
2006年6月
核兵器
核兵器の拡散防止
勧告1
すべてのNPT締約国は、条約で約束し1995年の無期限延長の際に再確認した、原則的かつバランスのとれた不拡散と軍縮に対する誓約に立ち返る必要がある。
勧告2
すべてのNPT締約国は、不拡散と軍縮の「原則と目的」に関する決定、NPT再検討プロセスの強化に関する決定、及び中東を核その他すべての大量破壊兵器のない地帯とする中東決議を履行しなければならない。これらはすべて1995年に採択された。また、2000年に採択された核軍縮のための「13項目の実際的措置」の履行を推進しなければならない。
勧告3
不拡散体制の有効性を高めるために、すべてのNPT非核兵器締約国はIAEA追加議定書で強化された包括的保障措置を受け入れるべきである。
勧告4
NPT締約国は締約国のために管理事務を扱う常設事務局を設立すべきである。この常設事務局が条約再検討会議及び準備委員会を組織すべきである。また、締約国の過半数の要請があれば、常設事務局がその他の条約関連の会議も組織すべきである。
勧告5
北朝鮮との交渉においては、北朝鮮によるNPT遵守の明示と1997年追加議定書の受諾、さらに1992年の朝鮮半島非核化共同宣言における誓約への復帰と法的確認を主たる要素として含んだ形で検証可能な合意を目指すべきである。注目すべきことに、非核化共同宣言は、北朝鮮・韓国双方に核兵器およびウラン濃縮・再処理施設の保有を禁じている。燃料サイクル・サービスは、国際的な取り決めによって保証されるべきである。合意は、生物・化学兵器およびCTBT(包括的核実験禁止条約)についても言及すべきである。これをもって朝鮮半島を非大量破壊兵器地帯とすることが可能となる。
勧告6
イランに関しては、緊張拡大を避け、中東非大量破壊兵器地帯設立という共通の目的に向けた展望を高めるために、機微な燃料サイクル関連活動を全て一時停止し、1997年追加議定書を批准し、IAEAへの全面的協力を再開するよう促すための交渉が継続されるべきである。国際社会とイランは、次を含む措置を介して相互信頼を築かなければならない。
(1)燃料サイクル・サービスの供給に関する信頼性のある保証
(2)すべての中東諸国による機微な燃料サイクル活動の長期にわたる停止または放棄
(3)体制変化をねらった攻撃や転覆行為を行わない保証
(4)国際貿易と投資の促進
勧告7
NPT締約核兵器国は、非核兵器国に対し、法的拘束力のある消極的安全保証を供与しなければならない。NPT非締約国である核保有国は、それとは別に、同じ保証を供与しなければならない。
勧告8
各国は、核燃料サイクルに関連した拡散の危険を軽減するためのさまざまな方法を模索する協議の場として、IAEAを積極活用すべきである。例として、国際燃料バンクの提案や、国際的な保障措置下で使用済み燃料の貯蔵などの燃料サイクル事業を提供する地域センターの提案、また、いくつかの「燃料サイクル国家」が濃縮・再処理活動を止めた国家に核燃料を貸与するという概念に基づく燃料サイクル体制の創設に関する提案が挙げられる。
勧告9
各国は、現時点で高濃縮ウランを必要としている艦船や研究炉において、低濃縮ウランの使用を進めていかなければならない。高濃縮ウランの製造は段階的に縮小されるべきである。使用済み核燃料の再処理によりプルトニウム分離を行っている国家はその活動を縮小していく可能性を追求しなければならない。
勧告10
すべての国家は、地球規模で核分裂性物質を一掃する取り組みの推進に向けた国際的なイニシアチブを支持しなければならない。このような支持には、研究炉を高濃縮から低濃縮ウランの使用に転換することや、核分裂性物質を中央管理された安全な場所に保管すること、輸出した核物質を安全に処分・廃棄するために供給者に返却することなどが含まれるべきである。
勧告11
NPT締約核兵器国でまだこれを実行していない国々は、地域的な非核兵器地帯を創設する条約の議定書を批准すべきである。こうした地帯内にあるすべての国家は、IAEAとの間で包括的保障措置協定を締結し、追加議定書の批准と履行に合意しなければならない。
勧告12
すべての国家は、全面的な和平プロセスの一環として、中東非大量破壊兵器地帯の設立に向けた継続努力を支持すべきである。現段階においても措置を講じることは可能である。信頼醸成措置として、イランやイスラエルを含む地域のすべての国家は、いかなる濃縮・再処理活動および他の機微の燃料サイクル活動も自国領土内で行わないとする検証可能な取り決めを長期にわたって遵守していかなければならない。このような誓約には、平和目的の核活動に必要とされる燃料サイクル事業に対する信頼性のある保証が伴わなければならない。エジプト、イラン、イスラエルは、他の中東諸国と同様にCTBTを批准しなければならない。
勧告13
インド・パキスタンは、CTBT締結までの間、同条約を批准し、核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアムを宣言している他の核兵器国と足並みをそろえなければならない。両国は、軍事紛争の危険を軽減し、両国の核・ミサイル活動における透明性を高めるとともに、政治的、経済的、軍事的措置を介して2国間の緊張緩和を追求し信頼を醸成し続けなければならない。最終的には、両国は核供給国グループ(NSG)やミサイル技術管理レジーム(MTCR)の参加国、および1997年追加議定書に基づきIAEA保障措置協定の締結国となるべきである。
核テロリズムの防止
勧告14
各国は、核兵器や核分裂性物質がテロリストの手に渡らないようにしなければならない。このため各国は、自国領土に存在する、すべての核分裂性物質や放射性物質の在庫ならびにその他の放射線源に関する完全かつ効果的な計量・管理を維持しなければならない。各国は、核テロ行為又はテロを支持する活動に対しても、個人の法的責任が存在することを確実にしなければならない。各国は、とりわけ不正な核取引に関する情報を含む情報の共有を通じて協力を拡大しなければならない。また、各国は、核テロリズム防止条約や核物質防護条約への普遍的加盟ならびに国連安保理決議1540の履行を推進すべきである。
現存する核兵器の脅威および数の削減
勧告15
すべての核保有国は、核兵器の第一不使用に関する明確な政策を宣言すべきである。それらの国々は、先制攻撃や予防攻撃はもちろん、生物・化学・通常兵器による攻撃に対する報復についてもこの方針が適用されることを具体的に明示しなければならない。
勧告16
すべての核保有国は、自国の軍事計画を見直し、信頼性のある核に依存しない安全保障政策を維持するためには何が必要かを明らかにすべきである。潜水艦発射ミサイル、地上発射大陸間弾道ミサイル、長距離爆撃機搭載ミサイルからなる核戦力の三本柱を配備する国は、余剰核の削減および核軍拡競争の悪化防止のために、このような政策を放棄しなければならない。
勧告17
ロシアと米国は、両者の核の一触即発警戒態勢の解除に向けた相互措置に合意し、目的達成を促進する合同委員会を設置すべきである。両国は、大部分の戦略軍の作戦準備態勢の並行的な低減を管理下で実施しつつ、核戦争計画からの警報即時発射オプションの撤廃にとり組むべきである。以下の方法がある。
・航海中の戦略潜水艦の数を削減するとともに、停泊時における技術的な発射即応性を低減する。
・核爆弾および空中発射巡航ミサイルを関係する飛行場以外の場所に保管する。
・大部分の大陸間弾道ミサイルのノーズコーンおよび/または弾頭をミサイルと別の場所に保管する、またはミサイルの即応性を下げるために他の技術措置をとる。
勧告18
ロシアと米国は戦略攻撃力削減条約(モスクワ条約)で認められた配備戦略兵器の数を少なくとも半減することを狙った新しい戦略兵器削減条約の交渉を開始すべきである。これには戦略攻撃力削減条約の下で削減された兵器を不可逆的に解体するという法的拘束力のある誓約を含むべきである。新しい条約には、透明性のある計数規定、兵器解体の日程や手順、及び相互の検証措置も盛り込むべきである。
勧告19
これからの軍縮努力の基準として、まずロシアと米国が、現役および退役状態にある核兵器保有量の総量を公表し、他の核保有国もそれに続くべきである。また、それらの国々は、核弾頭の透明性、不可逆性、検証、及び物理的破壊に関連する具体的な条項を将来の軍縮協定に盛り込むことに合意すべきである。
勧告20
すべての核保有国は核兵器の継続的保有の問題に対処しなければならない。すべてのNPT締約核兵器国は、NPTやその無期限延長に関係した誓約によって要求される通り、核軍縮に向かう措置をとらなければならない。ロシアと米国がこれを先導すべきである。他の核保有国もこのプロセスに対して個々にまたは調整しあってこの過程に加わるべきである。イスラエル、インド、パキスタンはNPT締約国ではないものの、同様に核軍縮プロセスに貢献する責務がある。
勧告21
ロシアと米国は、爆破兵器、砲弾ならびに短距離弾道ミサイルの弾頭といった特定種の非戦略核兵器を撤廃する1991年の誓約の実施を進めるべきである。両国は、最終的な廃棄までのあいだ、すべての非戦略核兵器を自国領土内の中央保管施設に回収することに同意すべきである。また、両国は、検証・透明性・不可逆性を保証する取り決めを前進させることにより、1991年の一方的削減に関する誓約の強化を図るべきである。
勧告22
すべての核保有国は、他国の領土内にいかなる様式の核兵器も配備しないことを誓約すべきである。
勧告23
核兵器システムの代替または近代化を検討している国は、関連条約上のすべての義務および核軍縮に貢献するという責務に照らしてそのような行動を考えなければならない。最低限、新しい軍事能力もったり、新たな任務のための核兵器の開発は慎まなければならない。核兵器と通常兵器の区別をあいまいにしたり、核兵器のしきいを下げるようなシステムや教義を採択してはならない。
勧告24
すべての核保有国、とりわけロシアと米国は、軍事計画において不要となった核分裂性物質をIAEA保障措置下に置くべきである。高濃縮ウランの貯蔵量削減を促進するために、それらを保有する国々は、ウランを核燃料に適した濃縮水準にまで調整して他のNPT締約国に売却するか自国の民生用の核エネルギーとして活用すべきである。
勧告25
すべての核保有国は、軍事上の必要性を超えると見なされたり、軍縮活動によって回収された兵器用核分裂性物質の取り扱いに関して厳格な基準をもうけなければならない。米国の保管兵器ならびに使用済み燃料に対する基準は一例である。
勧告26
軍縮会議(CD)は、遅れている兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の交渉を無条件で即時に開始すべきである。これらの交渉前に、あるいは少なくとも交渉中に、CDは条約の技術的側面を吟味するために科学専門家グループを設立すべきである。
勧告27
CDにおけるカットオフ条約交渉を円滑にするため、5NPT締約核兵器国は、他の核保有国も加えて、相互の間で兵器用核分裂性物質の生産停止の合意をすべきである。それらの国は、ユーラトムのフランスや英国における活動を基に、各国の生産施設をIAEAの査察に開放すべきである。これ8カ国は、核兵器に使用可能な核物質の既存の貯蔵量を検証可能な形で制限する問題にも対処していかなければならない。
勧告28
まだ済ましていない国々は、無条件かつ遅滞なく包括的核実験禁止条約(CTBT)に調印、批准しなければならない。未批准の米国は、米国の批准が必要とされるその他の国の批准を誘い条約発効への一歩になるであろうことを認識し、その立場を見直し条約の批准に進むべきである。条約発効まで、すべての核保有国は引き続き核実験を慎むべきである。また、2007年のCTBT調印国会議は条約の暫定発効の可能性を検討すべきである。
勧告29
すべての調印国は、国際監視制度(IMS)、国際データセンター(IDC)、事務局を含めた検証体制の継続的な発展と運営に対して、資金面、政治面、技術面での支援を提提供すべきである。これにより、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)を、条約発効の際に、条約遵守状況の監視・検証を即座に開始できる態勢に置くことが可能となる。調印国はそれぞれの施設を整備し、いかなる状況においてもデータ送付を継続することを誓約しなければならない。
核兵器の規制から非合法化へ
勧告30
すべての核保有国は、非核の安全保障に向けた計画策定に着手すべきである。それらの国々は、核軍縮における定義や基準、透明性に関する要求などを含む、実際的かつ漸進的な共同措置を通じて、核兵器の非合法化に備え始めるべきである。
大量破壊兵器の運搬手段、ミサイル防衛、宇宙における兵器
勧告43
ミサイル関連技術管理体制(MTCR)参加国は、関連物質および技術に関する輸出管理のより効果的な実施および拡大に向けた新たな努力を行うべきである。ハーグ行動規範の署名国は、その対象範囲を巡航ミサイルおよび無人航空機(UAV)を含むところにまで拡大すべきである。各国は、早期警戒システムによるミサイル発射に関するデータ交換についての米ロイニシアティブに基づき、多国間のデータ交換センターを設立すべきである。地域的および国際的な不拡散措置は、情報交換、発射通告、そして特定の品目や能力の制限または禁止を含むものでなければならない。
勧告44
各国は、ミサイルの脅威の除去に関する交渉を第一に試みることなく、いかなるミサイル防衛システムの配備やさらなる配備を検討すべきではない。交渉決裂の場合、当該システムの配備は、軍備競争の発生や激化の危険性といった、国際の平和と安全に対する否定的影響を低減するために、共同開発計画や信頼醸成措置を伴うものとすべきである。
勧告45
すべての国家は、大気圏外における兵器の配備を放棄すべきである。各国は、宇宙条約の普遍的支持を促進するとともに、宇宙におけるあらゆる兵器の禁止をうたった議定書をもってその対象範囲を拡大しなければならない。そのような議定書の締結までの間、各国は、宇宙プラットフォームからの宇宙空間の物体または地上の標的に対するあらゆる実験を含む、この目的に反するような行動を慎むべきである。各国は、軍民両面において同じ文脈が適用されるよう、宇宙の問題に関する国際体制や法を受け入れるべきである。また、各国は、宇宙の安全保障体制および行動規範――とりわけ宇宙兵器の実験や配備の禁止をうたったもの――の様々な部分を監視・検証する諸策の開発を行う専門家集団を立ち上げるべきである。
勧告46
2007年には、宇宙条約の発効から40年の節目の再検討会議が開催されるべきである。会議では、条約強化および対象範囲拡大の必要性が議題となるべきである。批准を促すとともに、条約に基づく宇宙安全保障体制の強化について未署名・未批准国とのパイプ役となる特別コーディネーターが任命されるべきである。
輸出管理、国際支援、非政府主体
勧告47
すべての国は、効果的な任務遂行を保証すべく、それぞれの国における輸出管理の執行機関(税関、警察、沿岸警備隊、国境管理、軍隊)に対する監査を行うべきである。各国は、基準の一致、透明性の強化、実施における具体的支援などを提供しつつ、輸出管理の普遍的システムの確立を目指していくべきである。5つの輸出管理体制の参加国は、参加国の拡大促進に努めるとともに、法に則った貿易および経済発展を阻害することなく、現在の安全保障環境における課題を考慮して、実施状況の改善に取り組むべきである。
勧告48
G8グローバル・パートナーシップは、不拡散支援における地理的・機能的対象範囲を拡大していくべきである。G8は、兵器級プルトニウム生産中止(EWGPP)計画に対する全面的な財政支援を行うべきである。支援可能国は、すべての地域の国家が国連安保理決議1540を実施することが可能となるよう、いかなる技術的援助、訓練、設備、財政援助の提供が可能であるかを検討しなければならない。
勧告49
大量破壊兵器に関連した業務に従事している企業は、当該兵器の拡散防止に協力する能力および責任があり、また、国内、国際の義務の完全遵守や公共的透明性といった責任を果たしていることを立証することに利害関係を持っている。貿易協会は、こうした目的に向かった努力を推進すべきである。
勧告50
国家、国際機関、専門団体は、適切な学術および産業団体に対し、大量破壊兵器関連分野における科学・研究に関する実施規範や行動規範を取り入れ、効果的な実施を行うよう奨励すべきである。
勧告51
大量破壊兵器を保有する国家の政府は、当該兵器の保有状況や削減・撤廃に向けた動きについて、完全かつ最新の情報を絶えず議会に報告しなければならない。議会は、そのような情報を積極的に求めていくとともに、大量破壊兵器問題に関する諸政策を立案していく責任を認識すべきである。大量破壊兵器問題において、議会間での協力体制の強化が必要である。
勧告52
各国は、国際的な会合や会議における非政府組織(NGO)の積極的な参加を支援するとともに、情報を提供し、大量破壊兵器の分野におけるキャンペーンを支援すべきである。民間財団は、グローバルな大量破壊兵器の脅威の除去にとり組んでいる組織に対する実質的な支援を拡大すべきである。
勧告53
安全保障関連の課題にとり組んでいる組織は、2002年の「軍縮・不拡散教育に関する国連の研究」を再考するとともに、そのような教育および情報を与えられた市民による広範な議論を促進、支援すべきである。各国政府は、大量破壊兵器問題にとり組んでいる多国間組織での学生インターンシップへの助成を行うべきである。
遵守、検証、執行および国連の役割
勧告54
追加議定書を通して、国際原子力機関(IAEA)が採択した保障措置制度の強化が核不拡散条約(NPT)締約国に対する規範となるべきである。同時に、供給国は、核関連物資を含む契約において、受け入れ側がこの規範を受諾することを契約の条件とすべきである。
勧告55
各国政府は、それぞれの情報機関に対し、検証システムの独立性を阻害することなく関連情報を提供し、国際検証機関を支援するよう指示すべきである。
勧告56
国連安保理は、専門的な技術情報を提供したり、大量破壊兵器に関連する事項について勧告を行う小規模の下部機関を設置すべきである。理事会または事務総長の要求があるとき、その下部機関は訓練を積んだ最新の登録査察官を活用して、特別の現地査察や監視を実行すべきである。
勧告57
大量破壊兵器に関する国際法上の義務は執行されなければならない。国際的な強制執行は、信頼性の高い調査と権限のある調査結果による法的義務不履行の判明があったのちにのみ実行されうる。
勧告58
ジュネーブ軍縮会議の正常化のためには、その場に出席し投票を行う参加国の3分の2の特定多数決をもって作業計画の採択が可能となるべきである、その他の事務および手続き上の事項も、同様の必要条件のもとで決定されるべきである。
勧告59
国連総会は、周到な準備を経て、軍縮、不拡散、テロリストによる大量破壊兵器の使用に関する世界サミットを開催すべきである。この世界サミットは、国連軍縮機構の有効性および効率性の改善を目指した改革に関する議論・決定を行う場ともなるべきである。
勧告60
国連安保理は、大量破壊兵器による脅威の削減や除去に向けて、それが現存の保有兵器、拡散、テロリストのいずれの問題と関連しているにせよ、その潜在能力をいっそう活用していくべきである。大量破壊兵器を取得しないという義務からの離脱や不履行に関しても議論の時間が割かれるべきである。全加盟国に拘束力のある決定を下せるという国連憲章下の権限を活用し、安保理はとりわけ以下の事項を行うことができる。
●個々の国家に対し、有効かつ包括的な監視、査察、検証の受け入れを要求する。
●参加国に対し、特定の規則や措置のグローバルな履行を保証していくための法制定を要求する。
●最後の手段として、経済および軍事的な強制措置に訴えることを決定する。
国連改革によって安保理が今以上に国連加盟国の総意を示すものとなるまでのあいだは、拘束力のある決定に先立ち、その決定が国連加盟国に支持されており、また受け入れられ、尊重されていくであろうことが担保されるような効果的な協議が行われることが極めて重要である。
大量破壊兵器委員会(WMDC)委員
ハンス・ブリックス
IAEA事務局長を経て元国連イラク査察団委員長。スウェーデン。(委員長)
デウィ・フォルツナ・アンワール
インドネシア科学研究所「社会科学と人間」副部長。
アレクセイ・G・アルバトフ
ロシア科学アカデミー通信委員、世界経済・国際関係研究所(IMEMO)国際安全保障センター所長。
マルコス・ド・アザンブジャ
元ブラジル国連代表部大使、ジュネーブ軍縮大使。
アリソン・J・K・バイレス
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)所長。
ジャヤンタ・ダナパラ
元国連事務次長。1995年NPT再検討延長会議議長。スリランカ。
ギャレス・エバンス
ブラッセルの国際危機グループ代表。元オーストラリア上院議員、外務大臣。
パトリシア・ルイス
国連軍縮研究所(UNIDIR)所長。元検証技術情報センター(VERTIC)所長。カナダ。
西原正(まさし)
平和・安全保障研究所理事長。前防衛大学校長。
ウィリアム・J・ペリー
元米国国防長官。スタンフォード大学教授。
バサンタ・ラガバン
デリー・ポリシー・グループ理事長。安全保障分析センター(チェンナイ)所長。
チェイク・シラ
ブルキナ・ファソ駐在セネガル大使。国連イラク査察団(UNMOVIC)委員。
皇太子エル・ハッサン・ビン・タラル
アラブ思想フォーラム議長。ローマクラブ代表。ヨルダン。
パン・ツェンキャン
国際研究及び科学変革中国財団副会長。元中国国防大学戦略研究所長。
(翻訳:特定非営利活動法人ピースデポ)