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米印共同声明(抜粋訳)

ワシントンDC
2005年7月18日

 マンモハン・シン首相とブッシュ大統領は、両国間の関係を転換し、グローバル・パートナーシップを樹立することの決意を今日宣言する。人間の自由、民主主義、及び法の支配に関与する諸国民の指導国として、米印間の新しい関係は世界の安定・民主主義・繁栄及び平和を促進させるであろう。共通の関心と利益を有する諸地域における、グローバルなリーダーシップを提供するために協力する我々の能力を、それは高めるであろう。

 

共通の諸価値と諸利益の上に両首脳は決意する。

●より開かれより多面的なあり方を望む諸社会において、民主的価値を促進し、民主的行動を強化することに資する、国際的な環境を創出する。

●テロリズムと容赦なしに戦う。両国の活発で精力的なカウンターテロリズムの協力を称え、この方向におけるより大きな国際的な努力を支持する。テロリズムはグローバルな脅威であり、われわれはどこにおいてもそれと戦う。両首脳は9月までに行われる国連の包括的対国際テロリズム協定の締結へ向かう関与を強力に支持する。

 

首相の訪問は、2004年1月に着手された「戦略的パートナーシップにおける次の諸ステップ」(NSSP)イニシャティブの完成と時を同じくする。両首脳は、このことが宇宙空間、民生用核エネルギー及び両用技術における2国間の諸活動や交易の拡大の基礎を提供することに合意する。

 米印関係にとっての共通のヴィジョン、また強力で長期に亘る民主主義国としての共同の目的を引き寄せるために、両首脳は次の諸点に関して合意する。

 

<経済のために>(略)

 

<エネルギー及び環境のために>
●十分に入手可能なエネルギー供給、及び持続可能な発展のためのエネルギー需要の意識を確実にする目的のために、インドにおけるエネルギー安全保障を強化し、安定かつ効率的なエネルギー市場の開発を促進する。これらの問題は米印間のエネルギーに関する対話を通じて取り組まれる。

●環境の開発と保全への緊急の対応を促進し、よりクリーンかつ効率的な、また入手可能で多様なエネルギー技術の開発・配備を実施することの必要に関して合意する。

 

 <民主主義と開発のために>(略)

 

 <不拡散と安全保障のために>
●防衛技術の分野を含めての将来における協力の基礎として、米印間の防衛関係の新しい枠組みに満足の意を表明する。

●大量破壊兵器の拡散防止のための国際的な努力に指導的な役割を果す。米国はインドが大量破壊兵器に関する法制化(「違法活動防止法案」)を採択したことを歓迎する。

●災害救助活動を準備し実施する協力を強化するために、ツナミ・コア・グループの経験に基づいて新たな米印災害救助イニシャティブを立ち上げる。

 

 <高度技術と宇宙空間のために>
●共同の開発とトレーニング、及び公民にわたるパートナーシップの機関を提供するために、米印の「高度技術協力グループ」(HTCG)を基礎にする「科学・技術枠組み協定」に署名する。

●宇宙探査、衛星操縦・発射、及び米印の「民間宇宙協力グループ」のような機構を通じての商業宇宙空間領域において、より密接な関係を構築する。

●NSSPにおいて実施されている強化された不拡散行動の上に立って、商務省の法人リストからインドの組織を削除する。 グローバルなエネルギー需要の増大に対し、よりクリーンでより効率的な方法で対処するために民生用核エネルギーの重要性を認識し、両首脳はインドの民生用核エネルギーの開発計画について議論した。

 ブッシュ大統領は、大量破壊兵器拡散防止のためのインドの強力な関与に謝意を表し、進んだ核兵器技術を有する責任ある国として、インドが他のこうした諸国と同様の便益と優位性を獲得すべきであると述べた。大統領は首相に対し、インドが原子力発電を推進し、エネルギー安全保障を達成するという目的を実現するにあたって、完全な民生用核エネルギーにおける協力を行うと述べた。大統領はまた、米国の法律と政策を合致させるため、議会の同意を追求するであろう。米国は、インドとの民生用核技術の協力と貿易――IAEAの査察下にあるタラプールの原子炉へ核燃料を迅速に供給することを含むが、しかしそれに限定されない――を可能にする国際的レジームの調整を友好国及び同盟国と協力して行うであろう。当分の間、米国はこの迅速な要求(タラプール原子炉への核__燃料の供給)を友好国に働きかけるであろう。インドは「国際熱核融合実験炉」(ITER)への関心を示し、参加の意向を表明した。インドの参加を考慮して米国は関係国と協議するであろう。米国は他の関係国と「第4世代国際フォーラム」へのインドの参加を協議するであろう。

 シン首相は、自国の立場として、インドは双方向的に米国のような進んだ核技術を有する諸国と同様の責任と実行を負い、また利益と優位性を獲得する用意があることに同意を表明した。このような責任と実行は次の諸点からなる。民生用及び軍事用の核施設・計画を段階的に区別・分離し、民生用施設に関しては「国際原子力機関」(IAEA)への申告に登録する。民生用核施設に関して自主的にIAEAの査察のもとに置くことを決定する。民生用核施設に関して追加議定書に署名し遵守する。核兵器実験に関してインドの一方的なモラトリアムを継続する。多国家間の「兵器用核分裂物質生産禁止条約」の締結に向かって米国と協力する。ウラン濃縮及び再処理技術がそれらの技術をもたない諸国に移転するのを防止し、それらの拡散を制限する国際的な努力を支持する。核物質や核技術の安全確保のために包括的な輸出管理の法制を通じ、また「ミサイル技術管理レジーム」や「原子力供給国グループ」のガイドラインとの調整・遵守を通じて、必要な措置がとられることを確認する。

 大統領は首相のこうした保証を歓迎した。両首脳は、これらの誓約を満たすために必要な行動を段階的に実行する目的で、ここ数ヶ月中にワーキング・グループを立ち上げることに同意した。大統領と首相はまた、2006年の大統領のインド訪問時に、こうしたことの進捗を検証することに合意した。

 両首脳は、核・化学・兵器・放射線兵器を含む大量破壊兵器の拡散防止のための国際的努力において、両国が指導的役割を果すことを再確認した。

 このより密接な関係において、また地域的・世界的な安全保障におけるインドの増大する役割を認識するに当り、大統領と首相は、1945年以後に起った世界的なシナリオの変化を国際機関は十全に反映すべきことに同意した。大統領は、インドの中心的かつ増大する役割を反映するように国際機関は対応すべきだとの彼の見解を繰り返した。両首脳は、世界の諸フォーラムにおいて、インドと米国が協力を強化するであろうとの期待を表明した。(以下略)

 

(翻訳:特定非営利活動法人ピースデポ)

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