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包括的核実験禁止条約(CTBT) 更新:2019年4月16日

概要
経緯
関連資料

概要 

核兵器の実験を禁止することは、新たな国に核兵器が広がることを防ぐとともに、すでに核兵器を保有している国がそれらの兵器を質的に改良することを防ぐことにつながるため、核軍縮・不拡散の前進にとって極めて重要な要素と考えられている。

包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty、CTBT)(日本語英語)は、宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる場所における核爆発実験およびその他の核爆発を禁止する国際条約である。条約の目的を達成するために、第2条に基づき、条約の独自機関であるCTBT機関(CTBTO。ウィーン)が設立されている。条約は1996年9月24日に署名開放され、現在までに184カ国が署名、168カ国が批准している。条約の発効には、附属書Ⅱに記載された原子炉を保有する44カ国すべての批准が求められるが、44カ国のうち8か国の批准が済んでいないため、条約は未だ発効していない。中国、エジプト、イラン、イスラエル、米国の5か国が署名済みであるが未批准であり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、インド、パキスタンの3か国においては署名も批准もなされていない。

CTBTにおいては、条約の遵守を検証することを目的として、監視施設のグローバルなネットワーク(「国際監視制度(IMS)」)や、核爆発実験等を疑わせる事態が発生した場合に当該国に査察団が派遣される「現地査察」制度などが設けられている。IMSとは、4種類の監視観測所(「地震学的監視観測所」「放射性核種監視観測所」「水中音波監視観測所」「微気圧振動監視観測所」)を世界337カ所に網の目のように設置することにより、地球上のいかなる場所で核爆発実験その他の核爆発の実施が行われようともそれを探知できるグローバルなシステムを確立することを目指したものである。すでに300カ所以上で設置が完了し、各地の監視観測所からのデータがウィーンのCTBTOにある国際データセンター(IDC)に送信されている。一方、現地査察体制が動き出すためにはCTBTの発効を待たなければならない。

核保有国が継続的に実施している未臨界核実験その他の核爆発を伴わない実験は、それが核兵器の維持・開発に関連したものであっても、CTBTでは明示的に禁止されていない。これらの実験がCTBTの精神に反するものであるとして、広島市・長崎市をはじめ市民社会は核保有国の姿勢を繰り返し批判し、中止を求めてきている。これまでに米国が行った「未臨界核実験」及び「Zマシン核実験」の一覧はこちら

1945年7月16日に米国がニューメキシコ州アラモゴードで初の核爆発実験(「トリニティ」)に成功して以降、世界各地では2千回を超える核爆発実験が繰り返されてきた。放射性降下物による人体や環境への影響を懸念する声の高まりは、1963年の部分的核実験禁止条約(Partial Test Ban Treaty、PTBT)の制定につながったが、宇宙空間、大気圏及び水中における核爆発実験は禁止されたものの、地下における核爆発実験は継続された。

冷戦の終結を受けた1994年、唯一の常設的多国間軍縮交渉機関であるジュネーブ軍縮会議(CD)においてCTBTの条約交渉が開始された。しかし、全会一致(コンセンサス)方式をとるCDでは、インドがコンセンサスをブロックしたために条約案は否決され、オーストラリアを中心とする国々がCDで作成した条約案を国連総会へあらためて自国提案として提出するという変則的な手順を経て、1996年9月10日にCTBTは国連総会で採択された(決議番号A/RES/50/245)。CTBTの採択以降、核爆発実験を行った国は、インド、パキスタン(ともに1998年)、北朝鮮(2006年、09年、13年、16年(2回)、17年)の3カ国のみである。

CTBTの早期発効を促す取り組みとして、第14条2項に基づき、1999年から外相レベルの発効促進会議が隔年で開催されてきた。発効促進会議のない年には、日本、オーストラリア、オランダのイニシアティブによる発効促進のためのCTBTフレンズ外相会合も開催されている。2009年には、旧ソ最大の核実験場であったセミパラチンスク核実験場を抱えるカザフスタンの提案を受けて、8月29日(セミパラチンスク核実験場閉鎖の日)が「核実験に反対する国際デー」と国連によって定められた。

上述したように、44の発効要件国のうち8カ国が批准を済ませていない。米国は1999年に上院がCTBTの批准を否決した。2009年に誕生したオバマ政権は批准承認を上院に求める意向を示したが、実現には至らなかった。中国も繰り返し批准の意向を表明しているが、具体化はしていない。オバマ大統領任期終了間近の2016年9月23日には、国連安保理においてCTBTの早期発効を求める内容の安保理決議第2310号(英語)が採択された。しかしトランプ米大統領はCTBTの批准を目指さない意向を明言しており、条約の発効の目途は立ってない。

関連資料 

米国がこれまでに実施したZマシン核実験と未臨界実験
未臨界核実験「ポルックス」に関する米NNSAプレスリリース(2012年12月6日)

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