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核不拡散条約(NPT) 更新:2019年4月15日

概要
主な経緯
関連資料

概要 

核不拡散条約(正式名称「核兵器の不拡散に関する条約」、Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons、NPT)(日本語英語)は、「核兵器の不拡散」「核軍縮の促進」「原子力の平和利用の推進」を3本柱とする多国間条約である。1968年7月1日に署名開放され、1970年3月5日に発効した。2019年3月現在、191カ国が参加しており※1、既存の軍備管理・軍縮条約の中ではもっとも多くの締約国を擁する国際条約である。非締約国は、インド、パキスタン、イスラエル、南スーダンの4カ国。

NPTは、締約国を2つに分類している。1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造し且つ爆発させた国(米国、ソ連(ロシア)、英国、フランス、中国の5か国)を「核兵器国(Nuclear Weapon States)」、それ以外の国々を「非核兵器国(Non-nuclear Weapon States)」と定義し、それぞれに異なる条約上の義務を課している。
条約の主な内容は以下の通り。

<核不拡散>
「核兵器国」は、核兵器国・非核兵器国を問わずに他の国に核爆発装置を譲渡したり、非核兵器国による核爆発装置の取得を援助、奨励したりしないこと。(第1条)
「非核兵器国」は、核爆発装置の開発、製造、取得を行わないこと。(第2条)

<核軍縮>
すべての締約国、特に「核兵器国」は、核兵器廃絶のための条約を誠実に交渉すること。(第6条)

<原子力の平和利用>
すべての締約国に対し、原子力の平和利用の権利を「奪い得ない権利」として認める。締約国は平和利用の促進のために国際的に協力すること(第4条)

平和利用の名の下で「非核兵器国」が秘密裡に核兵器開発を進めることのないよう、国際原子力機関(IAEA)が監視するシステムが設けられている(これを「保障措置」という)。「非核兵器国」は、IAEAとの間で保障措置協定を締結する義務を負っている(第3条)。

以上のように、NPTは、3本柱における「核兵器国」と「非核兵器国」の間の義務のバランス、すなわち「グランド・バーゲン」をその基礎としている。過去のNPT合意文書は核軍縮と不拡散が相互依存の関係であることを再確認してきた。しかしながら、どの柱を重視し優先するかについては各国間の見解に大きな相違がある。伝統的に、非核兵器国、とりわけ非同盟諸国(NAM)が核軍縮を重視するのに対し、核兵器国は拡散問題への対応が最優先、と主張してきた。NPTが法的拘束力のある形で核軍縮義務を定めた唯一の条約であるにもかかわらず、核兵器国の軍縮努力が不十分であることに、多くの非核兵器国は繰り返し不満を表明してきた。
 
条約第8条3項は、5年に一度、条約の履行状況を検討する「再検討会議」を開催することを定めており、1975年に第1回会議が開かれた。再検討会議においては、全会一致ルールに基づき、合意文書の作成が追求される。再検討会議を実効的なものするために1995年の条約の無期限延長に際し再検討プロセスの強化が併せて合意され、現在ではインターバルの5年の間に3回の準備委員会が開催されている。次回再検討会議は2020年である。

※1 191カ国には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を含む。2003年、北朝鮮はNPTからの脱退を一方的に宣言し、核兵器保有へと進んだ。現在同国がNPT体制下にあるか否かについては異なる見解がある。

<1995年再検討・延長会議>
条約第10条の規定に従い、条約発効の25年後(1995年)に、条約を無期限延長するか、あるいは追加的に一定期間延長をするかを決定する会議が開催された。会議は、締約国の圧倒的多数が無期限延長を支持していることを確認するとともに、「条約の再検討プロセスの強化に関する決定」(英語)及び「核不拡散と核軍縮のための原則と目標に関する決定」(英語)を無投票採択した。後者には、1996年までの包括的核実験禁止条約(CTBT)締結、核兵器削減に向けての体系的・積極的努力の約束などが盛り込まれた。また、イスラエルの核保有に対するアラブ諸国の懸念を背景に、中東に大量破壊兵器の存在しない地帯を設立することを決定した「中東に関する決議」(日本語英語)が採択された。

<2000年再検討会議>
「核兵器を廃絶するという核兵器国による明確な約束」など13項目から成る核軍縮の実際的措置を含む最終文書(英語)が全会一致で採択された。

<2005年再検討会議>
ブッシュ政権下の米国の一国主義に対する非同盟諸国(NAM)の強い反発などを背景に、実質的な内容の最終文書は合意されなかった。

<2010年再検討会議>
米オバマ政権の誕生による核軍縮機運の増大を背景として、3本柱にまたがる64項目の具体的な「行動計画」を含む最終文書(日本語英語)が採択された。最終文書において、核兵器使用の「壊滅的な人道上の結末への深い憂慮」が「国際人道法」の文脈で言及され、核兵器禁止条約に「留意」があったことは、核兵器禁止条約の策定に向けて国際社会が大きく動き出す端緒となった。しかし、多くの項目で具体的なタイムスケジュールへの言及には至らなかったという点では不満を残した。また、中東非大量破壊兵器地帯の実現に向けた国際会議の開催も決定された。

<2015年再検討会議>
実質的な内容の最終文書は合意されなかった。決裂の直接的な原因は、中東非大量破壊兵器地帯会議の開催プロセスをめぐっての見解の対立であったが、核軍縮をめぐる核兵器国、非核兵器国の対立も激しさを増した。

関連資料 

★もっと知りたい人は、RECNAスタッフがNPT会議を傍聴し、議論の様子を報告したNPTブログをお読みください。

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