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核分裂性物質生産禁止条約(FMCT) 更新:2019年4月16日

概要
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概要 

核兵器の材料となる「高濃縮ウラン(HEU)」や「プルトニウム」の生産禁止は、核兵器の量的拡大の抑制に繋がることから、核実験の禁止と並んで核軍縮・不拡散体制における重要な柱と考えられている。1994年以降、唯一の核軍縮交渉の場であるジュネーブ軍縮会議(CD)では核兵器用の核分裂性物質生産禁止条約(Fissile Material Cut-off Treaty、FMCT、カットオフ条約)の議論が続けられているものの、未だ条約交渉の開始には至っていない。条約交渉の即時開始は、毎年の国連総会で採択される決議において、また、過去の核不拡散条約(NPT)合意文書、すなわち1995年再検討・延長会議で合意された「核不拡散と核軍縮のための原則と目標に関する決定」(英語)、2000年再検討会議で合意された13項目の実際的措置(英語)、2010年再検討会議で合意された64項目の行動計画(日本語英語)において繰り要請されてきた。

合意に至らない要因の一つが、どこまでを条約の禁止の範囲とするかをめぐっての各国の意見の相違である。世界には、広島原爆・長崎原爆に換算して10万発分以上になる核分裂性物質が存在している。米国、ロシア、フランス、英国、中国の5核兵器国や日本などはこれら既存の核分裂性物質は条約の対象範囲外とすべきとの立場をとっている。他方、パキスタンは、将来の生産のみを禁止する条約が自国にとって不利な立場を固定化し、安全を脅かすものであるとみなしており、よって既存の核分裂性物質も対象範囲に含めるべきと強く主張している。65カ国が参加するCDは全会一致(コンセンサス)方式をとっており、FMCTの交渉開始にはパキスタンの同意が必須であるため、今後の見通しは不透明である。

1993年12月、国連総会は、核分裂性物質の生産禁止に関する初の国連決議48/75(「核兵器あるいは他の核爆発装置のための核分裂性物質の生産の禁止」)を採択した。同決議は、適切な国際機関において、差別的でなく、多国間で、国際的かつ効果的に検証可能な兵器用核分裂性物質を交渉するよう勧告するものである。

これを受けて翌94年、条約交渉を開始するための検討がCDにおいて開始され、同年Ⅰ月25日に特別コーディネーターとしてカナダのジェラルド・シャノン大使が任命された。1995年に出された報告(CD/1229。シャノン・マンデートと呼ばれる)(日本語英語)はCDにFMCT交渉のための特別委員会を設立することを提案した。上述した条約の対象範囲の問題についてシャノン・マンデートは、「将来の生産についてのみ」対象を絞るべき、「将来のみならず過去の生産についても」対象にすべき、さらには「(過去や将来の)核分裂性物質の生産に関するのみならず、それらの管理に関しても」対象にすべき、と多様な意見があったことを記し、「何人も(これらの意見を)特別委員会で提起することを妨げるものではないということで、各国代表は一致している」と述べた。条約交渉には至らなかったが、シャノン・マンデートはその後もFMCT交渉における基本方針と位置付けられている。

前述したように、国連はFMCTの即時交渉開始を繰り返し要請している。加えて、2012年には国連総会がFMCTに関する政府専門家会合(GGE)の開催を決定した。2014年、15年に行われた会議の報告書は国連事務総長に提出された。また、2016年にはFMCTに関するハイレベル専門家準備グループの設置が決定された。2年間の会議開催を経て、FMCTに含まれる実質的な要素についての勧告を作成した。

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